イ・ジェミョン陣営の選対外交委員長とのVOAインタビューの話

VOAの「韓国20代大統領選挙特集」の第3回目は与党「共に民主党」(イ・ジェミョン陣営)の選挙対策委員外交委員長をのインタビューとなっています。
対北、対米、対中などの外交政策について聞いています。

 

 

VOAの記事からです。

[韓国20代大統領選挙特集]3.ウィ・ソンラク


(前略)

記者)イ・ジェミョン候補は国益を優先した実用外交を強調しています。そこでまず、米韓関係、米韓同盟では実用外交は具体的にどのように適用されるでしょうか?

ウィ・ソンラク)(前略)これまで韓国が目指してきた価値だとか、政治・経済の発展過程で同盟が寄与したことを勘案し、また韓国が直面した地政学だとか、アジア太平洋地域の力学構造の変化を総合的に見ると、韓国外交の基盤は韓米同盟というのが実用外交の観点です。(後略)

記者)(前略)イ・ジェミョン候補が当選したらムン・ジェイン政府の対北韓政策で受け継ぐ点は何で、再考すべき点は何だと考えますか?

ウィ・ソンラクムン・ジェイン政府とイ・ジェミョン政府のいずれも民主党政権であるため対北韓政策の大筋は続きます。ただ、ムン・ジェイン政府は韓半島の平和に重点を置いたのですが、イ・ジェミョン政府は平和と非核化の両方を重視する接近をするでしょう。(中略)その中の1つは対話と交渉とともに制裁と圧迫も駆使するということです。(中略)2つめの複合的なアプローチは非核化プロセスと平和プロセスを共に相互補完的に進めるという考えを持っているということです。非核化プロセスと平和プロセスを相互補完的に扱うには国際協力と南北対話もバランス良く運営されなければなりません。したがって、国際協力と南北対話を互いにシナジー効果的に運営する、これが複合アプローチの3番目の要素だといえます。(後略)

(中略)

記者)米中競争がますます激化している状況で、バイデン政府は対中国牽制に同盟国の積極的な参加を期待しているようです。台湾問題、中国人権問題などで韓国と日本の立場を比較する見方もあります。つまり、韓国は一歩引いている、との指摘ですが、イ・ジェミョン候補の対中アプローとはどうですか?

ウィ・ソンラク)イ・ジェミョン候補は、韓国は米国と中国の間で自らのアイデンティティを基盤にして政策方向を能動的に選択していかなければならないと注文しています。そして、そのアイデンティティは当然、米国と共有する部分がとても大きい。しかも米国は韓国の同盟で中国は同盟に及ばないパートナーです。ですから韓国が進むべき方向は、米国との同盟を基盤にして、中国とのパートナー関係も発展させていくということです。(中略)例えば、クアッドについて、イ・ジェミョン候補は韓国がクアッドの主要イシューについて現在より多く協力する余地があると話していて、インドが協力していることを韓国ができない理由はないのではないかそのような観点を表明したこともあります。

(中略)

記者)韓国大統領が解決しなければならない韓国の外交懸案は容易ではありませんが、イ・ジェミョン候補は直接外交経験がありません。外交専門家のウィ・ソンラク委員長から見て「外交司令塔」としてのイ・ジェミョン候補の強みと解決すべき点はなんだと思いますか?

ウィ・ソンラク)イ・ジェミョン候補は外交を扱った経験が多くないとの話ですが、一定部分確かにそういう点もありますが、まずはそう考えるよりも相対的に相手候補のユン・ソクヨル候補ですが、相手の候補と比較すればイ・ジェミョン候補がはるかに経験があると見なければなりません。(後略)



VOA「[한국 20대 대선 특집] 3. 위성락 더불어민주당 선대위 실용외교위원장 인터뷰」より一部抜粋

対北政策については、記者から聞かれたこと以外は答えておらず、具体的なことは何も言っていません。
省略箇所をまとめておくと終戦宣言は「平和プロセスとしては価値ありだけど、非核化とセットで行うべきで今はこれ以上進展できないんじゃないか?」という見方を示し、米朝対話は「対話環境を作る必要があるけれど今すぐは難しい。人道支援なども北朝鮮が受け入れるか不透明。北に対する効果的な誘引カードが無い」と手詰まりであることを認めています。

 

対中政策については変わらず「安米経中(安保は米国、経済は中国)」を突き進むと宣言したようなものです。安保と経済を完全に切り離して考えるのは難しいということはTHAAD事態等々で韓国が誰よりも知っていそうなものですが...。

個人的に一番おもしろかった(?)のは最後の質問です。
イ・ジェミョンさんの外交面での「強みと弱み」を聞いているのに「ユンさんと比べればマシ」を真っ先に挙げる、いかにも韓国らしい評価方法だなという気がしています。

イ・ジェミョンさんが「京畿道知事」経験者であること、北朝鮮と国境を接していること、などにも触れていますが、イ・ジェミョンさんが知事時代にどういった政策を取り、それが彼の外交力をどのように示しているかなどの話が出てこないのも「らしい」感じがします。