ユン・ソクヨル陣営の選対外交委員長とのVOAインタビューの話

VOAの「韓国20代大統領選挙特集」、今日は野党「国民の力」(ユン・ソクヨル陣営)の外交安保政策部長のインタビューです。
特集記事としては5本目にあたります。本当なら今日は4本目の「日本との関係改善について」なのですけれど、昨日、イ・ジェミョン陣営の外交委員長のインタビューを紹介したので順番を変えています。

 



VOAの記事からです。

[韓国20代大統領選挙特集]5.キム・ソンハン国民の力選挙対策本部外交安保政策部長インタビュー


(前略)

記者)ユン・ソクヨル候補は米国と韓国の関係で「強力で包括的な韓米同盟」を強調しましたが、具体的に強力にすべき部分はどこであり、包括的に拡張すべき部分は何でしょうか?

キム・ソンハン)やはり強力な部分は軍事同盟が核心にならざるを得ません。北韓の格ミサイルの脅威が高まっている状況の中で、韓米両国が軍事的にそれをどのように抑制するのか、そこに最も核心的な焦点が合わせられなければなりません。(中略)包括的という部分は、21世紀に新しい、いわゆる「脅威」とも言える新たな朝鮮ともいえる安保アジェンダが出現していますよね。新技術だとか環境だとか、テロだとか、こうした部分、エネルギーだとか、さらには宇宙開発に至るまで、様々な、いわゆる「ニューフロンティア」領域がたくさんあります。そのような部分に置いて韓米両国が伝統的な軍事安保を超えて新しい新天地を開拓すると言いましょうか。そうした次元で協力を強化していくことが包括同盟の領域と言えるでしょう。

記者)北韓問題については、「原則のある関与」を強調しました。 具体的にどんな意味ですか?

キム・ソンハン)(前略)北韓を対話に引き出すという理由だけで、北韓の望むことを聞き入れるために汲々とするよりも、韓国が掲げる原則、すなわちいかなる懸案よりも非核化が最優先順位を占めなければならない。第二の原則と言えることは、韓米同盟は絶対に傷ついてはならない。第三に、交渉と対話はしますが北韓の人権問題を軽視せずに重視するというこのような原則を持ってその原則が守られる中で、その原則の下で北韓との積極的な対話を通じて問題を解決していくというそのような意味になります。

(中略)

記者)韓国の立場では、サード追加配備時の中国の反応を考慮しなければならないようです。同時に、バイデン政府は対中国牽制同盟に韓国の積極的な参加も望んでいます。ユン・ソクヨル候補者は対中アプローチはどのようなものですか?

キム・ソンハン)中国との関係はやはり協力的な相互尊重に基づいた関係を作っていかなければなりません。しかし、非常に単純に言えば、米国は韓国の同盟国ですが、中国は協力的パートナー関係にある、そんな国です。(中略)むしろ、韓米関係が安定的に発展するようになれば、また中心軸の役割をしっかりとすれば、中国も韓国をそれ相応に扱い、また韓国も中国を相互尊重の心で扱うことができる、そのようなある基礎が固まる。(後略)

記者)文在寅政府の、いわゆる「THAAD3不政策」は米国と中国の両方の利害が絡んでいるようです。これに対するユン・ソクヨル候補の立場はどうですか?

キム・ソンハン)3不政策といっても、これはあくまで文在寅政府の立場です。ですから何の協定や協約があるわけではありません。そのためユン・ソクヨル政府がもし発足すれば、3不政策を継承したり、継承しなければならないというような義務はありません。ひとまず政権を獲得し、韓半島が置かれている諸般の安保状況を検討して、それに合うユン・ソクヨル政府の立場を定立すればいい。(後略)

記者)ユン・ソクヨル候補は検事出身で、外交経験が皆無です。韓国の大統領は韓半島をめぐる複雑な問題を解決していかなければなりませんが、外交専門家であるキム·ソンハン本部長は「外交司令塔」としてユン·ソクヨル候補の強みと改善すべき点をどのように評価していますか?

キム・ソンハン)やはり検察生活を長くされているため、外交安保の経験はないと言えるかと思います。ですが検察生活の中で様々な、また経済事案だとか、外交事案だとは言えませんが、ローンスター事件だとか国境を越える問題も多く扱った経験があります。そのため国際問題について完璧な門外漢とは言えません。もう少し大きく言うと、自由主義的思考をお持ちになられる方なので、私達が特に大韓民国が多くの恩恵を受けている自由主義的国際秩序に対する信頼がとても確固なのです。(中略)ですから、そのような側面で我々と志を共にする国と歴史の正しい立場に立って、何か国際社会に貢献できるような姿を見せてくれるのではないかと期待しています。改善しなければならない点は、やはり経験不足なので、経験を積むために専門家と多くの討論、集中的な討論、また政策立案の過程で従来の多くの元老たちとの対話諮問を通じて実践経験を多く積んでいく、そんな努力が必要ではないかと思います。(後略)



VOA「[한국 20대 대선 특집] 5. 김성한 국민의힘 선대본부 외교안보정책본부장 인터뷰([韓国20代大統領選挙特集]5.キム・ソンハン国民の力選挙対策本部外交安保政策部長インタビュー)」より一部抜粋

「安保は米国、経済は中国」というのはイ・ジェミョンさん陣営と同じですけれど、決定的に違うのは「安保(米国)に軸足」を乗せることをはっきりさせていることです。
軸足がしっかりしていれば中国に対してもちゃんと物申せると考えているのかもしれません。「3不」に対する立場からも何となくそうした考えが伺えます。

北朝鮮政策については、非核化を最優先に、むやみな宥和政策に慎重な姿勢のようですが、イ・ジェミョン陣営同様に具体的な話には踏み込んでいません。