「サード追加」を公約にしたのに中国がユンさんに融和的な祝電を送ってきたのはなぜなのか?な話

正式な「公約」として出されたものがどのくらいあるのか知りませんけれど、大統領選期間にユンさんは結構イロイロなことを言っています。
そのうち安保関連の中には「サード追加配置」と「クアッド加入」があります。
にも関わらず、ユンさんの当選を受けて習さんが「融和的祝典」を送ってきたそうで、その「意図」を分析(?)してみた的な記事がありました。

 



フィナンシャル・タイムズの記事からです。

「サード追加」公約したユン・ソクヨルに融和的祝典を送った習近平の計算は?[グローバルレポート]


習近平中国国家主席が選挙過程で「親米と反中」性向を見せたユン·ソクヨル次期大統領に予想外の融和的な祝典を送り、今後の韓中関係の帰趨が注目される。
ユン次期大統領は中国が極度に警戒してきた高高度ミサイル防御体系(THAAD)の追加配置だけでなく米国·日本·オーストラリア·インドの4カ国協議体である「クアッド(QUAD)」加入を推進すると公約として明らかにしてきた。
このように、尹次期大統領の対中政策が強硬になるという見通しの中でも、習主席は予想外に融和的な祝電を送った。

習主席は祝典で「心からのお祝いと温かい祝言を表する」、「両国は近い隣国」としながらも「初心」に言及し、「友好協力の深化と戦略的パートナー関係の長期的な発展」を強調した。
習主席の祝典内容は表面的にだけ解釈すれば、まず葛藤や摩擦よりも融和的な態度が含まれていると解釈される。

(中略)

しかし、中国がまだ本音を隠しているという懸念が少なくない。習主席は朴槿恵政府時代に米中首脳会談の渦中で「水を飲む時、その水がどこから来たのか考え、感謝しなければならない」という意味の飮水思源について言及し、その後、サード報復は始まった。

戦略的パートナーも現在進行中の米中の対立局面と無関係ではないと分析される。韓国は地理的、経済的、文化的、軍事的側面で両国いずれにも逃せない核心国家に挙げられるだけに、韓国の中立的立場を再確認しようという意図が敷かれたという観測だ。

外交消息筋は「(祝典を伝えた)シン海明駐韓中国大使がユン次期大統領に『良い努力をしたい』と言ったのは、言い換えれば、韓国の態度にかかっているという意味もあるようだ」と説明した。

(後略)



フィナンシャル・タイムズ「'사드 추가' 공약한 윤석열에게 유화적 축전 보낸 시진핑의 셈법은? [글로벌 리포트](「サード追加」公約したユン・ソクヨルに融和的祝典を送った習近平の計算は?[グローバルレポート])」より一部抜粋

後半は国交正常化への流れやそれ以降の中韓関係が書き綴られています。中韓関係の発展・後退に政党の進歩・保守は関係なかった、そんなことが言いたいようです。

まだ就任してもいない、議会は相変わらず左派が過半数を占めている、政治的手腕も未知数の次期大統領に向かっていきなり非難はしないでしょう。そんなことしたら中国という国(大国)のメンツが立たないと考えるんじゃないでしょうか?中国なら。
そもそもその公約は実現可能なのか?なところがありますしね。

 

しかし、韓国の今の立ち位置を「中立的立場」とするのが凄いです。どっちにも「都合の良い顔をする」あるいは、どっちからも「利益を得る」ことが「中立的立場」なのでしょうか。

国益重視であることは当然としても、利益を引き出すために「相手」に対して何を「Give」するのか、ということは全く考慮されていないようです。
それが滲み出ているのが「韓国は地理的、経済的、文化的、軍事的側面で両国いずれにも逃せない核心国家に挙げられる」の部分でしょう。
「韓国は何もしなくていい」、それは前提が、韓国は米国からも中国からも「ラブコール」を一方的に受けている、どちらを選ぶかは韓国が決められる...これが根強くあるからです、多分。駐米大使が「韓国は米中どちらか自主的に選択できる国」と言ったのも同じ道理でしょう。

ただ個人的に、中国も北朝鮮も韓国を構う(?)のは日米韓3カ国協力において韓国が最も脆弱だと見なされているから以外に既に無いのではないか、そんな気がしています。(冠が)触れなば落ちん状態なのでしょう。