5月10日に開かれるユンさんの大統領就任式に岸田さんを招待するらしいです。「らしい」というのは、大統領職引き継ぎ委が公式に発表した情報ではないからです。
私がこの報道を読んだ時点では、情報ソースは「日本のマスコミ」となっています。日韓親善協会会長として訪韓した河村建夫さんが帰国後、岸田さんに会って「就任式への出席に期待する韓国側の声を伝えた」とNHKなどが報じたとのこと。
多分、19日の報道のことでしょう。日経なんかも出していたかと。
要するに、公式の正式発表ではありません。にも関わらず「14年振りに就任式に来るか」や「関係復元の信号弾」など、かなり熱心に報じられています。
もうお分かりと思いますが、いつもの「◯◯すれば巧くいく」と同じです。
聯合ニュースの記事からです。
MBのときが最後...日本総理、14年振りに韓国大統領就任式に来るか
（前略）
現職の日本総理の韓国大統領就任式への出席は2008年2月のイ・ミョンバク大統領のときが最後だった。
その後、韓日関係が悪化し両国首脳が相手国を訪れるケースが少なくなり、反日気流の強かったムン・ジェイン政権では両国関係が最悪に突き進んだ。
もし岸田総理が日本の政権党内部の反対気流を押し切ってユン大統領の就任式に出席すれば破綻寸前だった韓日関係が復元される信号弾になるという見通しが出ている。
◇「慰安婦合意」主役の岸田、強硬派の反対を突破できるか
韓国側がユン・ソクヨル次期大統領の大統領就任式に岸田総理の出席を期待するという話は、河村建夫韓日親善協会会長の口から出た。
（中略）
河村会長は訪韓期間の面談などを通じて「ユン次期大統領が韓日関係改善に意欲を持っていると感じた」と岸田総理に話したという。
（中略）
韓国側が岸田総理の大統領就任式への出席を希望するという河村会長の発言が伝えられると、日本の与党自民党の一部からは反対の声が出ている。
共同通信などによると、佐藤正久自民党外交部会長は20日に開かれた党内会議で、ユン・ソクヨル次期大統領の大統領就任式に「総理が出席することはあり得ない」と述べた。
（中略）
会議終了後、記者団に24日から日本を訪問するユン次期大統領側の政策協議団に対し「（韓日歴史の葛藤と関連して）どのような解決策を持ってくるのか聞くことが重要だ」とし「会っても外相級だ」と述べた。
岸田総理が韓国側の政策協議団に会ってはならない、という考えを示したのだ。
（中略）
チョ·ジング慶南大学極東問題研究所日本センター長は「岸田首相は過去の外相時代、日本国内の反対世論を押し切って韓日慰安婦合意を成立させた張本人」とし、「韓日関係改善に否定的な政権与党自民党内の強硬派の反対をどのように克服するかが課題だ」と述べた。
（中略）
悪化した韓日関係は、米国にとっても大きな負担だ。 中国を牽制するためには地政学的に重要な韓国、日本との三角協力体制が緊要であるためだ。
（中略）
このため専門家らは、韓国のユン・ソクヨル政府発足を機に、米国が韓日関係改善のためにある種の役割を果たす可能性が高いと見ている。
バイデン大統領が来月24日ごろ、日本で開かれるクアッド（Quad、米国、日本、オーストラリア、インド協議会）首脳会議への出席に先立ち、韓国を先に訪問し、韓米首脳会談を行う案が推進されているのも、このような意図があるという分析が出ている。
チョ・ジング・センター長は「バイデン大統領の訪韓を契機にソウルで韓米日3国首脳会談を開催する案も検討できるだろう」とし「岸田総理まで招待して韓米日首脳会談が開かれるなら、ユン次期大統領やバイデン大統領が強調してきた3国連携協力が可能だろう」と強調した。
そして「24日から日本を訪問する政策協議団の役割とメッセージが重要だ」とし「過去史問題が障害になる可能性もあるが、岸田総理の就任式出席を機に両国首脳が未来志向的な関係改善に意志を示せば、具体的な懸案に対する解決策も見出せるだろう」と付け加えた。
聯合ニュース「MB 때가 마지막…日총리, 14년 만에 韓대통령 취임식 오나（MBのときが最後...日本総理、14年振りに韓国大統領就任式に来るか）」より一部抜粋
「慰安婦合意を成立させた岸田総理は日韓関係の改善を望んでいる」が前提となった記事です。
だから問題は岸田総理ではない、その周りの強硬派だ。それさえ抑えてしまえば、岸田総理は喜んで韓国の申し出（徴用訴訟賠償、慰安婦合意再交渉、ホワイト国復活等々）を受け入れる...と。
肝心の慰安婦合意を韓国側が一方的に反故にしてしまっている現状を鑑みれば、こうした分析は楽観過ぎるでしょう。別の声がもっと聞こえてきても良さそうなものですけれどねぇ。
「関係改善」の声は韓国側からだけで、日本側からは議員もメディアからもほとんど言われなくなった現実をどう思っているんでしょうね。
