「GSOMIA正常化(終了猶予措置の撤回)」は「象徴的な意味」という話

韓国外交部長官から訪米中に出てきた「GSOMIA正常化」発言。日本メディアは全くと言っていいほど報道していませんが、韓国メディアは熱心に報じています。

韓国側の認識では「GSOMIA終了」および「GSOMIA終了猶予措置(GSOMIAを終了することを猶予)」は日本の輸出管理強化の撤回(アチラで言う「輸出規制」)とセットのものだからです。さらにもれなく「徴用訴訟」というオマケも付いてきます。
「輸出管理+徴用訴訟」と「GSOMIA」はトレードオフの関係になるべきものであり、日本が何もしていないのに韓国だけがGSOMIA終了猶予を取り下げれば韓国側が無条件に譲歩することになる... こんな風に考えているようです。

 



JTBCの記事からです。

「日本と強制動員問題解決前にGSOMIAから解かない」


パク・ジン外交部長官が最近、米国を訪問しトニー・ブリンケン米国務長官と会談後の記者会見で「GSOMIA(韓日軍事情報保護協定)正常化」に言及し、今後の韓日関係について様々な疑問が生じました。JTBC取材の結果、韓国政府が先に乗り出してGSOMIAから解くことはないとみられます。

■「対話ムード作りのために我々が先に解かない」

パク長官は先だってワシントンで「GSOMIAをできるだけ早く正常化させることを願う」と話しました。この発言が出て以降、色々な推測が出ました。韓日関係改善のために韓国政府がGSOMIAを先に解決するのではないか、という観測などです。あつ外交筋はJTBCに「まだそのような動きはない」とし「対話ムード作りのために私たちが先に(GSOMIAを)解決するのではないようだ」と話しました。事実上、韓日間の懸案解決を差し置いてGSOMIAから解決しない方向に政府が筋道を示したのです。韓国政府はパク長官の言及は原則的な説明に過ぎず、まだ日本政府と関連事案について議論しているわけではないと説明しました。

■強制動員問題が核心

韓日間の安保協力の重要性は両国とも共感しています。現在、GSOMIAが条件付き延長状態を維持しているため曖昧ではありますが、実は韓日間の安保協力は正常に行われているそうです。そのためGSOMIA解除は「象徴性」の問題です。外交筋は「日本の関心事は強制動員問題」とし「日本も懸案の解決策が出てこない限り輸出規制を解くはずがない」と話しました。このような状況で韓国が先に日本に融和ジェスチャーを取ることは韓国国民の情緒上、受け入れがたいことだという点を韓国政府も認識しています。

(後略)



JTBC「"일본과 강제동원 문제 해결 전 지소미아부터 안 푼다"(「日本と強制動員問題解決前にGSOMIAから解かない」)」より一部抜粋

「解く」が指すのは「GSOMIA終了猶予措置の解除」と思われます。
「正常化」という言葉を使っていない(使えない)のは「安保協力は正常に行われている」と記事中で言及しているためでしょうか。

とは言え記事中で明記してあるように、安保協力という観点でGSOMIAは正常稼働しています。わざわざ「終了猶予措置」を解除してもらわなくても問題ありません。

これを輸出管理強化や徴用訴訟などと絡めて外交カードとする理屈は、一見ちょっとよく分かりません。
恐らく、そこで出てくるのが「GSOMIA解除は象徴性」という話なんでしょう。GSOMIAを日韓(+米)の安保協力関係の象徴、ひいては日韓関係改善の象徴と位置付けることで「輸出管理強化」「徴用訴訟」「慰安婦」などなどの懸案とリンクさせてしまおう、というわけです。しかしこれは話のスリ替えではないでしょうか?
「GSOMIA終了猶予措置の解除」というパフォーマンス(象徴ってそういうことよね?)をわざわざやる必要はありませんので何の意味もないです。

この「GSOMIA終了猶予措置の解除は象徴」という考え方、どことなく「終戦宣言は象徴」と言っていたムン政権と似ている気がします。