半導体関連の登録特許件数、韓国は2000年台前半がピークで実は近年競争力が鈍化し続けているという話

韓国ご自慢の半導体ですけれど、2000年以降、実は特許登録数においては競争力がずっと落ち続けているということが分かりました。

具体的には2002〜2005年集計の特許登録件数で米国に次いで2位になったのが最高位で、その後、2007〜2011年の段階で日本に抜かれ、2012〜2016年の時点で中国に抜かれ4位に。直近5年間の2017〜2021年も4位、ただし、5位の欧州が猛追してきている状態だそうです。

ただ、当該期間の特許の登録件数だけで言えば韓国も増えてはいます。(4万2000件→5万5000件→5万5000件→5万7000件)他の4ヵ国地域がそれを上回る速度で登録件数が伸びているため、相対的に韓国の順位が落ちているということです。

 



韓国経済新聞の記事からです。

「日本・中国に押されて結局...」韓国の半導体競争力「超緊急」


過去20年間、韓国の半導体特許競争力が持続的に下落したことが分かった。特許は科学技術に対する排他的権利で、長期間富を創出できる知的財産(IP)だ。

23日、本誌が確認した2017〜2021年の特許多出願5ヵ国(IP5:米国、韓国、日本、中国、欧州)の半導体特許動向によると、欧州連合EU)の登録特許は前の5年(2012〜2016年)より77%、中国は50%急増した。一方、韓国は同期間4.2%増に留まった。登録特許はどれだけ「使える」技術を開発したかを判断する基準だ。単純に出せばいいだけの出願特許より高い指標だ。

韓国はこの5年、半導体特許を5万7939件登録した。20年間不動の1位を守っている米国(14万619件)の41.2%に過ぎない。応酬は上昇率1位(77%)だった。中国は直近5年に50%増の9万2780件を登録し、日本(6万9670件)を抜いて2位に躍り出た。このような半導体知的財産の弱化傾向を反映するように、最近欧州半導体企業の歴訪を終えて帰国したサムスン電子のイ・ジェヨン副会長が帰国途中で「一番目も技術、二番目も技術、三番目も技術」と危機感を吐露した。

時間帯を20年単位に広げてみると、韓国の半導体競争力低下の推移がさらに目立つ。韓国は2002〜2006年に米国(8万7959件)に続き2位(4万2417件)だった。その後、5年には日本に押され2位の座を明け渡した。次の5年には中国(6万2162件)に追いつかれ4位(5万5600件)に落ちた。2017〜2021年には中国の62%水準に大きく離された。5ヵ国のうち4位をかろうじて守っているが、全体登録特許数さえ欧州に追われている。

モリー半導体に偏重した産業構造がこのような結果に繋がったという分析だ。世界半導体市場(2020年基準で5000億ドル)で最も大きな比重を占めるのはシステム半導体だ。データを演算・制御・変換・処理するシステム半導体人工知能(AI)機器が急増する第4次産業革命時代に重要性が日増しに大きくなっている。

(中略)

6大分野(AI、自動車、IoT、ロボット、エネルギーなど)のシステム半導体特許影響力を分析した結果、韓国は全分野で最下位圏にとどまっていることが分かった。自動車半導体は米国(1.31)と台湾(0.68)、日本(0.49)などにはるかに遅れた0.21に過ぎなかった。IoT半導体とロボット半導体もそれぞれ0.51、0.46にとどまり、最下位圏にとどまった。

多数の半導体特許を保有する科学技術情報通信部のイ・ジョンホ長官は「世界最高水準のメモリーとは異なり、システム半導体は先導国対比で59%水準の技術劣位状態」と最近明らかにした。ユン・ソンニョル大統領は「半導体は国家安保資産であり、韓国経済の根幹」と強調し、連日特段の人材要請を注文している。

(中略)

特許庁関係者は「最先端半導体技術競争が深化している」として「核心IPを保有し、後発組の進入を遮断できるかが生存のカギ」と話した。



韓国経済新聞「"일본·중국에 밀리더니 결국…" 한국 반도체 경쟁력 '초비상'(「日本・中国に押されて結局...」韓国の半導体競争力「超緊急」)」より一部抜粋


ユン・ソンニョル政権になって半導体人員養成を政策として打ち出していたのはこうした事情もあったようです。

ただ人を増やす以前に、どういった方向で研究開発(R&D)を進めていくのか?という方向性の見極めも大事でしょう。
記事によると2016〜2020年には、トランジスタの構造として4方向360度を完全にゲートで囲まれたGAA(ゲート・オール・アラウンド)に関する特許が大幅に増え、それまでの水平+垂直の3方向が囲まれたトライゲート構造の特許が減少しています。(GAAに関する特許は台湾のTSMCが最多で、サムスンの倍近い)

つまり現行技術ではなく、技術の先取り流行の先読みが必要になってきます。後追いでは絶対に無理で、そのためには研究計画は必須です。また、読みが外れたときのためにある程度の分散投資も必要になるでしょうね。