「弔問外交」の話

昨日の安倍さんの葬儀を多くの韓国メディアが報じています。国葬論議についてや犯行の動機なども報じられており、まだまだ関心が高いようです。

参院選関連では「改憲」関連報道一色と言えます。改憲勢力が3分の2議席を確保したことで「弾みが付いた」と改憲を警戒したり、「改憲は難しいだろう」とする見方(願望)を示したり、なんかワチャワチャしています。
ひとつだけ一貫しているのは、「参院選が終われば関係改善する」主張が一切無くなったことです。

その代わりと言ってはなんですが、関係改善は「弔問外交」という耳慣れないものに託されたようです。
ユンさんが日本大使館に設置された焼香所を訪れた件や弔問団の派遣を決定した件などを外交戦略として「これを機に関係改善を〜」とやるわけです。

 



朝鮮日報の記事からです。

大統領室「大統領の故・安倍弔問、韓日関係の新たな出発点になることを期待」


ユン・ソンニョル大統領は12日午後、故・安倍晋三元日本総理の焼香所を訪れ弔問した。大統領室は「韓日関係の新たな出発点になることを期待する」と伝えた。

大統領室によると、ユン大統領は同日午後4時頃、ソウル鍾路区安国洞の駐韓日本大使館公館文科院に安倍元総理の焼香所を訪れ弔問した。案内は相星孝一駐韓日本大使が行った。
ユン大統領は黙祷した後、弔問録に「アジアの繁栄と発展のために献身された故・安倍晋三前総理さまのご冥福を祈ります。遺族と日本国民にも深くお見舞い申し上げます。最も近い隣国である韓国と日本が今後、緊密に協力していくことを願っています」と書いた。

(中略)

カン・イルソン大統領室報道官はブリーフィングを通じて「ユン大統領の今回の弔問が韓日両国が近い隣国であり、価値と規範を共有する間柄という点をもう一度確認する契機になることを願う」とし「また韓日関係の新しい出発点になることを期待する」と伝えた。



朝鮮日報「대통령실 “尹대통령의 故 아베 조문, 한일관계 새 출발점 되길 기대”(大統領の故・安倍弔問、韓日関係の新たな出発点になることを期待)」より一部抜粋

ユンさんが焼香に来てくれたことには素直に感謝したいのですけれど、大統領室の発表でイロイロ台無しです。

これじゃ弔問は完全に口実じゃないですか。メディアや識者が勝手に主張するなら結構ですが、大統領室が言い出したのですから驚きです。
「弔問に行ってやるんだから見返り寄越せ」と言われているように思えます。日本には弔問に見返りを求める「価値と規範」はありません。

嫌な言い方になってしまいますが、結局の所、韓国の関心事は「安倍さんの死をいかに巧く利用するか」なのかな、と。肚の中で何を考えていても良いですが、せめて隠して欲しいですね。

あ、ちなみにタイトルの安倍呼び捨て表記は原文ママです。