韓「韓日首脳会談決定しました」、日「まだ何も決まっていません」...なぜ立場が違うのか、韓国メディアの分析の話

昨日、突然韓国側が国連総会開催期間中である20日あるいは21日に日韓首脳会談が開催されることになったと、決定事項として発表しました。大統領府の発表なので公式発表です。
曰く、会談に対して両国とも「快く同意」したとか。
その後、日本側は松野官房長官が「まだ何も決まっていない」と記者からの質問に答えており、両者の公式発表がチグハグなことになっています。

一部の韓国メディアを除いて日韓首脳会談が開催されることが決定している前提で「関係改善の起爆剤」との報道も出ています。大統領府の発表ですから、そりゃ決定事項として報じますよね。一応、日本側が「まだ何も決まっていない」と話したことには触れていますが、それえでも「日韓関係のために韓国政府と緊密に協力していく」と話したことに触れ、首脳会談が開催される前提に結び付けて解釈しています。

一部のメディアでは日韓の公式発表の立場の違いを独自に分析(?)していたりします。
今日紹介するのSBSの分析記事です。SBSも「首脳会談は実施される」前提ではありますが、通常首脳会談開催時には「両国が同時に発表する」のをなぜ今回に限って「韓国が先に発表したのか?」を分析しています。
結論としては「日本が開催発表を渋るので、韓国側の戦略的な選択としての発表だった」という呆れるものです。一応、「悪手だったかもしれない」と付け加えているところに記者の迷いを感じなくはありません。

 



SBSの記事からです。

[取材ファイル]首脳会談に対する韓日両国の食い違った立場発表、なぜ?


昨日(15日)、キム・テヒョ国家安保室第1次長はユン・ソンニョル大統領の国連総会出席を契機に韓日首脳会談が開催されるとブリーフィングを通じて明らかにした。「韓日首脳会談をすることで合意しており、時間を調整中だ」ということだった。大統領室関係者は「日本とは2国間会談をすることで早期に合意しており日程を調整中だ」とし「今回会った方が良いと(韓日両国が)快く合意した」とも述べた。

発表後、韓日首脳会談の開催は確定したようにマスコミに大々的に報道された。

(中略)

しかし韓国側のブリーフィングから数時間後に出た日本側の立場は違った。日本政府報道官格の松野博一官房長官は「岸田首相は諸事情が許されれば国連総会に出席する方向で調整中だが、ニューヨーク訪問の具体的な日程は現時点で全く決まっていない」と明らかにした。

韓国が韓日首脳会談を行うと発表したことに対する立場を問う質問に対する答えだった。注目すべき点は岸田日本総理の国連総会出席についても確定的に明らかにしなかったことだ。

(中略)

これと関連し、日本政府の事情に詳しい外交筋は「岸田総理が国連総会に出席することを日本政府で公式に発表したことはないと聞いている」と明らかにした。「日本では一般的に総理が海外に出るためには国会の承認が必要だが、まだその手続きがなされていない」という説明が付け加えられた。「日本は通常国会承認などの手続きが終われば総理の海外訪問計画などが発表される」という説明も後に続いた。

(中略)

昨日のキム・テヒョ安保室第1次長の韓日首脳会談の開催発表は実は少し異例のことだった。通常、首脳会談の開催が確定すれば両国で同時に発表するのが慣例だ。今年5月に行われた韓米首脳会談も開催事実を韓米両国が同じ時間に同時に発表した。国家安保室もこのような慣例を知らないはずがないのに、昨日はなぜ先に発表したのだろうか。

韓日両国の事情に詳しいある外交筋は「韓日首脳会談を開催することにしたのはすでに数日前に両国が合意したと聞いている」と話す。ところが日本側が韓日首脳会談開催決定発表を継続的に先送りしたり躊躇する姿を見せるや「韓国側の外交安保ラインでは日本側が一種のパワハラをするのではないかと考える人も出てきたと理解している」と付け加えた。

昨日のキム・テヒョ国家安保室第1次長の発表は戦略的な選択だったという解釈だ。韓日首脳会談と関連して「日本側に引きずられない」、昨日の発表を通じて首脳会談開催を既成事実化する戦略と見られるということだ。しかし実際とは関係なく、昨日の両国の立場発表を通じて韓日首脳会談の開催可否が日本の選択にかかっていると映るようになった側面があり、悪手だったという評価も出ている。

(後略)



SBS「[취재파일] 정상회담에 대한 한일 양국의 엇갈린 입장 발표, 왜?([取材ファイル]首脳会談に対する韓日両国の食い違った立場発表、なぜ?)」より一部抜粋

なのかしら?
これって「日本も会いたくて会いたくて震える(死語)状態だったから首脳会談開催は快く受け入れたけれど、いざ発表となると日和って言い出せなかったから韓国が毅然と発表することで引くに引けなくしてやったぜ」、こういう画を描いていると思うんですけど...慣例を破って一方的に発表するなんて、それってただの外交欠礼じゃないんですか?
記事内で触れていますように、日本側は国会承認が得られてから総理のスケジュールを発表するのであればそれまで待てば済む話でしょうに。

ところで、日本にとって今、韓国と会うメリットってなんです?
13日に産経新聞が報じていますが、国連総会での首脳会談の可能性を聞かれて「韓国の対応を見て判断する」と答えたばかりです。仮に首脳会談がすでに決まっていたのなら、わざわざこんな言い方するでしょうか?外相会談で十分だと考えているからこそ、こういう言い方になったような気がします。

最後に邪推ですが、なんのときだったか...ムンさんが菅さんに歩み寄って挨拶したとき。その後の韓国側の報道で本当は首脳会談があったのに日本側がドタキャンした、とかなんとかありましたでしょう。あれの二番煎じを狙っているようにも思えます。



記事へのコメントは13件。ポータルについたものではなく、SBSの記事ページについたものです。

「それでも一国の首長なのに、ここまで無視されながらなぜ日本と親しくなろうとするのか?」(共感4 非共感0)

「大統領室はなに吠えている。合意して日本のやつらをそんなに扱えないのか?いつも入り込もうとする姿勢*1を捨てろ」(共感3 非共感0)

「下の者が許可なく発表してしまったという感じ。上の者は考えてみて承諾するようなこの有様だね。
 会えるだけでも恐縮だというのか。国民の目には外交政策が外面上でも同等ではないと見えるが、やられる当事者たちは何ともないから、その当事者たちは誰のために働くのか。最低限の自尊心もないのか。嘆かわしい」(共感3 非共感0)

ユン政権批判という側面もあるかと思いますが、それでも「なぜそんなに日本に会いたいのか?」が理解できないコメントが多いです。韓国政府側が必死に会おうとしている、その姿を屈辱的に感じている、そんな印象を受けます。



*1:原文「항상 기어 들어가는 자세」。隙あらば取り入ろうとする、というようなニュアンスがあると思う。