首脳会談の有無への注目が高すぎて外相会談のペラペラさが霞んでいる話

日韓外相会談がありましたけれど進展はなかったようです。(まあ、知ってました)
メディアの注目は既に「日韓首脳会談は?」に移っています。

ニューヨークは日本と半日ほど時差がありますから、この記事が上がるころにはまだお昼です。が、ユンさんは明日にはカナダとの首相会談が予定されているのでニューヨークを離れます。時間はそれほど残っていません。それなのに、いまだに何のスケジュール発表も出ていません。(というか、米韓首脳会談のスケジュールも出ていないっぽいんですけど、これは一体どういうことなんでしょう?)

韓国メディアは「韓国側が先に発表するという外交慣例を無視した行為を行ったせいで日本が会うのをやめた」と言わんばかりの記事を載せています。

 



ハンギョレの記事からです。

韓日首脳会談、強制動員解決策意見の食い違いに最後まで五里霧


(前略)

米ニューヨークを訪問中のパク・ジン外交長官は19日午後(現地時間)、林芳正日本外相に会い、就任後4度目の二国間会談を行った。イム主席外交部報道官は20日、ソウルの定例ブリーフィングで「パク長官は強制徴用被害者たちに直接会って傾聴した声と4回にわたって行われた官民協議会などを契機に聞き取った国内各界各層の多様な意見を具体的に日本側に伝達し、誠意ある呼応を要求した」と話した。
外交部当局者の説明を総合すると、パク長官は官民協議会などを通じて出た様々な解決策と被害者側の要求などをかなり具体的に伝えた。特に5日に活動を終えた官民協議会で政府予算を投入して賠償金財源を用意することは望ましくないという指摘が出てきたので、韓日企業など民間主導で財源を造成しなければならないという点を日本側に説明したものと見られる。 被害者側は三菱重工業など日本加害戦犯企業が謝罪して賠償に参加することを「最小限の限定」として掲げてきた。
しかし日本政府側は謝罪、賠償と関連して具体的な態度を明らかにしていないようだ。日本側は両国関係改善のために強制動員被害者賠償問題解決の必要性には共感するが、韓国側が先に適切な解決策を講じるべきだという従来の立場を伝えたという。朝日新聞などは「林外相がユン・ソンニョル大統領の100日記者会見などで日韓関係改善に意欲を示したことを歓迎するという意見を伝えた」と伝えながらも、強制動員被害者問題は1965年の韓日請求権協定ですでに解決されただけに「韓国側が解決策を講じるべきだという日本の一貫した立場を改めて強調した」と報じた。

外交長官会議で双方の立場が激しく対立し、韓日首脳会談が実現するかどうかも依然として霧の中だ。外交部当局者は両国の閣僚会談で首脳会談関連の議論が行われたかについて「会談の具体的状況について追加で申し上げる言葉はない」と延べ言及を避けた。

ユン・ソンニョル大統領は18日、出国前の<ニューヨークタイムズ>とのインタビューで強制徴用問題を含め韓日安保協力、経済・貿易懸案などをすべて一つのテーブルの上に乗せ「一括妥結」したいという考えを明らかにした。北韓の核に対応する韓米日安保協力強化のために韓日関係の改善を急がなければならないということだった。

(後略)



ハンギョレ「한-일 정상회담, 강제동원 해법 이견에 막판까지 오리무중(韓日首脳会談、強制動員解決策意見の食い違いに最後まで五里霧中)」より一部抜粋

この記事だと、そもそも本当に「日韓首脳会談は予定されていたのか?」は分かりませんね。まあ、韓国大統領室の公式発表ですから「ある前提」記事を書くことに問題はないんですが、それでも当初大統領室が発表した「快く同意」とは随分雰囲気が違うようです。

同じハンギョレが別の記事でニューヨーク出立前に岸田さんが日韓首脳会談の有無について聞かれ「まだ決まっていない」と答えたことを報じています。

 

「岸田総理、首脳会談の一方的発表に『会わない』と強い不快感」

岸田文雄日本総理が国連総会を契機に推進された韓日首脳会談の開催を韓国側が一方的に発表したとし、強い不快感を示したという。
朝日新聞>は韓国大統領室が15日、韓日首脳会談が合意されたという公式発表をしたことについて「岸田総理が『それなら(ユン・ソンニョル大統領に)会うのは止めよう』と韓国側の一方的な発表に強い不快感を示した」と政府関係者の話として21日付で報じた。
岸田総理のこのような反応は首脳会談の場合、該当国家と話し合った後、発表時期を決める外交慣例に韓国側が従わなかったと判断したためと分析される。韓国大統領室が韓日首脳会談の合意を発表すると当日、日本政府報道官の松野博一官房長官は「何も決まっていない」と否定している。岸田総理も20日、国連総会に出席するためニューヨークに出国する前に記者団に会い、ユン・ソンニョル大統領と会うかどうかについて「何も決まっていない」と述べた。

(後略)



ハンギョレ「“기시다 총리, 정상회담 일방 발표에 ‘만나지 말자’ 강한 불쾌감”(「岸田総理、首脳会談の一方的発表に『会わない』と強い不快感」)」より一部抜粋

こちらも「首脳会談は実施される予定だった」が前提です。その方が政権への攻撃に都合が良いからでしょう。
どういうことかと言うと...他にも複数のメディアをザっと流し読みしましたが大体同じ書き方なんですけど、まず「首脳会談は決まっていた」→「韓国側が慣例を破って先に発表する」→「日本側が不快感を示し翻意する」→「首脳会談が流れる」→「ユン政権の外交参事」...こうした流れに持っていけます。その方が決まってもいないものを勝手に「決まった」と発表したことより政権批判に好都合です。(勝手に発表して後から「そんな話はない」は韓国ではよくありますからね)
昨日、「対日問題」「対日外交」は韓国にとって政権を批判するための「題材」となるという話をしましたが、これも同じことです。


どうでもいいんですが、なんだか外相会談の内容云々より日韓首脳会談の有無が注目され過ぎて、外相会談の中身の薄さに対する批判は躱せそうですよね...まさかこれが狙い?いやいや、まさかねぇ?