「NYで築いた信頼関係を丈夫に育ててユンー岸田パートナーシップが困難を乗り越えるのに貢献することを期待する」という話

「日韓関係改善は岸田ーユンのパートナーシップに掛かってる、相手の立場を理解して配慮した上に築いた信頼関係で難局を打破してくれ」...こう書くとなんとも大雑把ですけれども、そんな内容のコラムがありましたので紹介します。
信頼関係ですべて解決できると思っている信頼至上主義みたいに感じますけれども、ユンさんが主張する「グランドバーゲン(一括妥結)」も似たような発想(理屈)から出てきた構想なんじゃないかと思います。基本的に相手との「関係」に強く依存する傾向があるんでしょう。「情」と根っこは同じです。

それはともかく、このコラムの読みどころはそこではありません。ネタバレになってしまいますが、この岸田ーユンパートナーシップに期待する「根拠」ともいうべき部分です。
それが先月NYで行われた国連総会の期間中、ユンさんが岸田さんに会いに行ったこと。このときに二人が「個人レベルで信頼関係を築いた」としているのです。その信頼を丈夫に育てて頑張れ、と。
岸田さんとユンさんってNYで信頼を築いてましたっけ?どっちかというと岸田さんは「不快感」を露わにしていたように思いますけど...。(あと、記事では「ニューヨーク宿舎を訪れた」となっていますが違いますね)

 



韓国経済の記事からです。

[多産コラム]ユン・ソンニョルー岸田パートナーシップへの期待


韓米日合同軍事訓練を「親日国防」とし波紋を呼んだイ・ジェミョンや同代表が「日本軍進駐」の可能性に言及し波紋を大きくした。自信を締め付けてくる法の網を避けようと彼がそのような表現を使ったと多くの人が考える。野党が北韓核兵器の脅威について何も言えないという事実から市民の目をそらすために刺激的な表現を使ったとの指摘もある。

彼の発言には実はもう一つの側面がある。米国の東アジア安全保障政策は1952年のサンフランシスコ条約に基づいている。米国は韓国、日本、フィリピン、中華民国、自由ベトナムと二国間同盟を結び、こうした体制はまだ続いている。したがって韓米日が協力する三角安保で韓国と日本の関係は弱い輪にならざるを得ない。

北韓はこの弱点に食い込む。いわゆる「冠の紐戦術」だ。韓日協力と言う紐さえ断ち切れば、韓米日協力と言う笠が飛ぶという話だ。イ代表の発言は、随分前にキム・イルソン主席が立てたこのような戦略を実践するもので、彼が認識していようがなかろうが韓国の安保を根本的なレベルで害する。

(中略)

両国間の不幸な歴史のため解放後、韓国と日本が関係を正常化することは非常に難しかった。パク・チョンヒ大統領は韓国の生存と発展には日本との関係を正常化することが基本条件であることを認識した。そのため、国民の多数が反対した日本との国交樹立を政権の運命をかけて推進した。

(中略)

外交はもちろん一人でするものではない。幸い当時、日本には佐藤栄作という優れた指導者がいた。パク大統領が直面した政治的困難を理解し最大限配慮した。日本に対する請求権の価値を実際に検証してみると7000万ドルを超えることができなかった。そのような金額ではパク大統領が国内の逆風に耐えられないということを佐藤総理は理解した。そして「独立祝賀金」と「発展途上国支援」の名目で8億ドル以上を有償無償として提供することにした。このように韓日関係正常化でパク・佐藤パートナーシップは決定的要素だった。

国交樹立は両国に大きな恩恵を与え、韓国は「漢江の奇跡」を成し遂げた。30年後、排他的経済水域EEZ)が発効すると両国はEEZを設定しなければならなかった。両国の漁民の生計がかかっていたので交渉は大変だった。幸い金大中大統領と小渕恵三総理は相手に配慮する態度で協力し、新しい漁業協定を引き出した。韓国実務者の無知で「二重引き漁船」が抜けていたことが明らかになり、金大統領の立場が厳しくなると、小渕総理が再交渉を快く受け入れたエピソードは、金・小渕パートナーシップの真正性を証言する。

ユン・ソクリョル大統領と岸田文雄総理は支持率が非常に低い。自然、関係改善において果敢ではない。

(中略)

そのような事情で岸田総理が韓国との交渉を敬遠していることを察知したユン大統領は、国内の批判を押し切って日本総理のニューヨーク宿舎を訪れた。このおかげで両指導者は個人レベルでの信頼を築いた。これはユン大統領特有の自信と大胆さが成し遂げた充実した成果だ。

国際秩序が根本的に変わる今、私たちは韓米日連合の弱い輪である韓日関係を強固にすることに気を使わなければならない。残念ながら韓日関係では両指導者とも退く余地が少ない。そのため相手の立場を理解し配慮する態度が重要だ。そのような態度が築いた信頼の上で難題を迂回する戦略的柔軟性が発揮され得る。芽生えたばかりのユンー岸田パートナーシップが、パクー佐藤とキムー小渕のパートナーシップのように丈夫に育ち、両国が共に困難を乗り越えるのに貢献することを期待する。



韓国経済「[다산 칼럼] 윤석열-기시다 파트너십에 거는 기대([多産コラム]ユン・ソンニョルー岸田パートナーシップへの期待)」より一部抜粋

日米韓の三角関係で日本と韓国が「弱い輪」になるという主張が最近増えてきたように思います。前にも無かったわけじゃありませんでしたけど、保守の間では韓国を冠、日米をヒモに見立て、どちらかのヒモを切れば冠は勝手に落ちる「冠のヒモ」論においては「弱いのは韓国」が主流でした。韓国を真ん中に置いて両サイドを日米で支えている、という構図ですね。

ところがユン・ソンニョル政権発足後、「韓国はもう米国と共にする路線になった」が共通認識になると、「弱いのは韓国だけじゃない日本もだ」という主張が強くなったように思います。それに伴い、本来韓国を指す冠は米国あるいは日米韓の協力関係を指し、ヒモは日本と韓国を指すというように認識が歪んできています。歪んでいるとしたのは、これも一種の認知的不協和ではないかと思うからです。

この主張が便利なのは日韓関係が上手くいかないと「日本も」困るのだから、「日本も」譲歩すべきだ、と持っていけることです。関係改善によって両国にメリットがある、相手も関係改善を望んでいるのだから乗ってやればいいじゃないか、と。
ただその割に「韓国にとってのメリット」ばかりで日本にとってのメリットは全然出てきませんねぇ。相手の立場を理解する配慮、と言いますが、記事中に出てくる事例も「日本が韓国に配慮」したものばかりです。
まあ、だからこそ現状、これだけ韓国に配慮し利益を提供してきたのにその結果が慰安婦像バラマキ・慰安婦訴訟・徴用訴訟・輸出管理強化への難癖・No Japan・哨戒機レーダー照射...etcか、とウンザリしてるんですが。
韓国にとっては「生存と発展」のために日韓関係が必要なのだそうですが、日本にとって韓国がそれほどの存在とはどうしても思えません。(安保的には肉壁としての価値がありますけども)

それどころか、韓国にとっても単に「生存と発展」のためだけなのであれば別に日米じゃなくて中国でも良いとのでは?とさえ思ってしまいます。どうも韓国の保守論客はこのあたりボンヤリしてて、なぜ中国じゃダメなのか、なぜ韓国の発展は西側陣営でなのか、という所がきちんと示されていないような気がします。
その結果が経済安保が理解できず安保は米国、経済は中国と言い切ってしまう部分なのではないかと思います。