韓国10代20代のスマホ選好度、iPhoneが優勢...20代は52%がiPhoneという話

以前も少し紹介しましたが、韓国の若年層のスマホ選好度でiPhoneとGalaxyが逆転している、という件の関連報道になります。

韓国では日本のスマホのシェアに関するニュースが普通に報じられます。日本メディアが韓国のスマホシェアをわざわざ報じることって無いと思うんですが...
MM総研が定期的に発表しているデータをもとにしたもので、毎回Galaxyシェアが上がった/下がったに注目した後、結局iPhoneのシェアが高い、日本人はApple大好きだな!で終わります。もうちょっと突っ込んだ記事とかコメントとかでは、世界ではサムスン人気が凄いのに日本(だけ)が違うのは嫌韓のせいだ、みたいに結び付けようとしたりもします。

しかし現在、韓国でも若者を中心にGalaxy(Android)離れが進んでいるというのは、同様の現象が日本より少し遅れて出てきただけ、そんな風にも思えます。

 



韓国経済の記事からです。

「使わないといじめられる」...iPhoneを買わないと部屋を壊す息子[危機のギャラクシー]


(前略)

最近、ソウルのある小・中学校近くのカフェに中学生4人がテーブルに集まって座った。テーブルに置いた携帯電話はあいくにすべてiPhoneだった。中学1年生のAさんは「iPhoneを使う子同士で『AirDrop』することが出来て写真もよく撮れる。デザインも良くてほとんどがiPhone好きだ」とし「iPhone11や12のように旧バージョンでも良い。必ずしもプロではなくても基本モデル、最低容量の64GBだけでもみんな満足する」と話した。

(中略)

このように最近、若年層の間でAppleiPhoneの躍進が尋常ではない。従来に比べて格差が縮まったとしても、依然としてギャラクシーが史上占有率で優位だが、焦点を狭めてみれば話が変わる。特定年齢層では国内市場の絶対強者であるサムスン電子のギャラクシーがiPhoneに押される現象まで現れるためだ。MZ世代を含む若年層から、2000年半ば以降に生まれた幼い10代「アルファ世代」までiPhone選好が目立つ。このような傾向は幼いほど、最近1~2年の間に明確な変化として感知される。

(中略)

21日、業界によるとこの2年間、国内20代のiPhone使用率は大幅に上昇した。今年7月、韓国ギャラップによると国内20代のうちiPhoneを使う割合は過半数(52%)を記録した。2020年の調査では44と%と集計された。2年ぶりに20代のiPhone使用率がなんと12%ポイントも増えた。同期間ギャラクシーは45%(2020年)から44%(2022年)お2年間で1%ポイント下落した。2021年の20代ギャラクシー使用率は39%まで下がったが、同年4月にLG電子スマートフォン事業部撤収などの影響で反騰したものと推測される。

(中略)

若い10代、20代が特にiPhoneを好む背景には「同年代文化」と「ブランド価値」が大きく作用するものと見られる。一例として学生たちの間でApple機器同士でファイルをやり取りできる「AirDrop」が人気だが、ギャラクシーユーザーという理由でわざわざカカオトークで写真を受け取ることになれば同年代集団で疎外感を感じるということだ。

(中略)

スマートフォンはネットワークを形成、機能させるという点で強力な購買動機として作用する。イ・ウンヘ仁荷大学消費者学科教授は「価格が重要なわけではない。最近の親たちは子供が同年代から疎外されるのではないかと非常に気を使っているが、子供たちのほとんどがiPhoneを使っているのに、うちの子だけ買わないのは容易ではない」と話した。この教授は「特にiPhoneの場合、子供同士で共有する文化があるため過去の『背骨ブレイカー・ダウン』現象より一層強く購買強要を受けることになる」と説明した。

iPhoneのもう一つの人気の秘訣はAppleの独特な生態系が挙げられる。iPhoneを使えばiPadApple WatchiPodMacなどApple機器を相次いで購入する場合が多い。Appleは特有の閉鎖性にも関わらずAppleブランド機器間の強力な連動が与える便利さがあり、自然にApple生態系に陥るのだ。逆にこのような閉鎖性は中高年層には高い進入障壁として作用する。韓国ギャラップのiPhone使用率はそれぞれ4%、1%に過ぎなかった。

シンプルながらも感覚的なiPhoneの外観と写真効果、インスタグラムのような外国産有名アプリとの互換性などもiPhone選好要因の一つに挙げられる。中学生のDさんは「iPhoneで写真を撮ればもっとよく撮れるし、インスタに乗せても画像が崩れない」と話した。「ギャラクシーはデザインが気に入らない」「AirPodsApple)はギャラクシーで使っても良いが、ギャラクシーバッズ(サムスン電子)はiPhoneに連動できない」などの声も出てきた。

大体の親たちは子供に価格負担が少ない中低価格の普及型ギャラクシーシリーズを買っていたため性能満足度が落ち、ブランドイメージが否定的に固まるのではないかという観測もある。普及型がほとんどないiPhoneと性能差が出る可能性があるという話だ。このように一旦否定的なブランドイメージを持つようになれば、今後スマートフォン購買決定時に大きな影響を及ぼしかねない。

最近、40代のiPhone使用率が高まっている点もこのような脈絡と解釈できる。40代のiPhone使用率は昨年の11%から今年16%へと1年間で5%ポイント高くなった。同期間40代のギャラクシー使用率は79%から71%へと8%ポイント下落した。業界関係者は「2009年、国内の1世代iPhone利用者が時間が経つにつれ自然と40代になった影響とみられる」と話した。

国内で初めてiPhoneを経験した世代に刻印された「若さ」「革新」などのイメージ効果が長期間維持されているという分析だ。

(中略)
Appleは最近、年間国内店舗に格別に力を入れている。若者のための「クイック」ピックアップゾーンを設け、小規模の「Today at Apple授業」を強化した。未来の潜在消費者を魅了するため製品認知度とブランド経験を増やすことに力を入れている。

その効果を十分に得ている。今年発売した歴代級価格のiPhone14シリーズの販売も好調を見せている。国内移動通信三社は具体的数値を公表しなかったが共通して若年層で効果モデル(155万~250万ウォン)の販売が目立つと口をそろえる。

(後略)



韓国経済「"안 쓰면 왕따"…아이폰 안 사준다고 방문 부순 아들 [위기의 갤럭시 中](「使わないといじめられる」...iPhoneを買わないと部屋を壊す息子[危機のギャラクシー])」より一部抜粋

「背骨ブレイカー」は親に金銭的に大きな負担がのし掛かることを意味します。
2010年代初頭にThe North Faceのダウン(パディング)が子供の間で大流行したことがありました。これが一着7~8万円するもので気軽に買い与えられるようなものではありませんでした。
記事中のiPhoneと同じくこのときも持ってないとイジ〇られるという雰囲気で、生まれたのが「背骨ブレイカー」という言葉です。以降、形を変え何度も同じような流行が起こっています。そのたびに、持ってないとイジ〇られるからの「背骨ブレイカー」です。


パカパカスマホが一部20代女性に人気、という話もあるんですが、それはちょっと分かります。いや、デザイン性の話じゃなくて。デザインだけ見るなら正直「ダサイ」と感じます。多分、日本人の感覚ではパカパカはまだガラケーの印象が強いので前時代的と感じるんでしょう。
そうじゃなくて、最近の女性のバッグは小型化してるんですよ。スマホと小さいお財布とあとリップをねじ込んだらおしまい、みたいな状態です。コスメポーチ入らないし、なんならファンデーション入らないからロングラスティング(長時間保つヤツ)なファンデ使って化粧直しはリップだけで済ます人多いと思います。
女性の服はポケットもないですし、そうなってくるとスマホを折りたためるというのは、それなりにメリットになるのは確かです。ダサイけど。子供のおもちゃのコンパクトみたいで個人的には「無し」なデザインだけど。



記事へのコメントは1891件。反応は「良い情報:158 興味深い:23 非常に共感:81 良い分析:24 続報期待:63」です。

サムスン...深刻に受け止めなければならない話...」(共感3450 非共感72)

「問題はギャラクシーじゃないよ。子供たちが物なんかで萎縮するように自尊心を低く育てたのが問題だよ」(共感1630 非共感97)

「今、イ・ゴンヒ会長がおっしゃった妻子以外はすべて変えなければならないとき*1」(共感869 非共感34)

「ギャラクシー=トラクシーで固まったが、1020代は絶対に買わずGOS事態のため30代も背を向け始めた2022年」(共感985 非共感291)

「GOSなんかしなくてもこの境遇までならなかった自業自得*2だ」(共感533 非共感42)

「放っておきなさい。流行に敏感な時期だから。賢い子たちは気にしない」(共感214 非共感8)

「そもそも海外ではギャラクシーのライバルはiPhoneではなく中国フォン」(共感305 非共感132)

iPhoneを使う理由はハードウェアやソフトウェアの違いではなくカルチャーだと思う。ユーザーだけが共有するカルチャーがギャラクシーにはないと思うけど、端的にテキストメッセージを愛メッセージでやり取りするかどうかによって大きな文化の違いを感じるんだ。Appleは人々の心理文化のような人文学的要素を見事に掘り下げており、サムスンが一番弱い部分がそれだと見ている」(共感144 非共感16)

まあ、日本でも30、40代辺り(だったかな?)の、ある程度高い年齢層ではAndroid使用率(Galaxyとは言ってない)が上がる傾向にあるので、一概に若い世代が使っているからと言って簡単にシェアが逆転するとも思えませんけれども、Galaxyに妙なブランドイメージが付いているのは何とかしないとダメかもですね。



 

*1:1993年当時のサムスン製品は質より「見た目重視」とされていたが、米国の店舗の売り場の片隅でサムスン製品が埃を被っている現場を直接見たイ・ゴンヒ会長がショックを受け「質的成長」を核とした経営戦略を打ち立てた。その際の決意として「妻子以外はすべて変えるくらいのつもりで」と言ったとか。

*2:原文「작업자득」だが、恐らく「자업자득」の誤字。