韓国の政策金利は24日にまた引き上げられるだろうとの見方が優勢です。そんな中、家計負債が歴代最大規模の1870兆6000億ウォンとの報道が出ました。
高金利に伴う家計貸出減少により増加幅自体は減少しているものの、住宅担保貸出は1007兆9000億ウォン。その80%は変動金利の借主です。また、ジョンセ保証金貸出と集団ローンの増加傾向は持続しているとのことです。
デイリアンの記事からです。
家計負債、史上最大の「借金」...利子時限爆弾「チクタク」
(前略)
韓国銀行は今年第3四半期末、国内家計信用残高(家計貸出+販売信用)が1870兆6000億ウォンで前四半期対比2兆2000億ウォン増加したと発表した。これは歴代最大値で家計信用は2013年の第2四半期以降、38四半期連続で前四半期対比増加の流れを続けている。ただ、前年比増減率は昨年の第3四半期以降、持続的に下落し歴代最小値を記録した。今年の第1~第3四半期の累積家計信用は1年前の同期比7兆7000億ウォンの増加に留まった。
家計信用増加傾向の鈍化は家計信用の大部分を占める家計貸出が高金利によって減少したためだ。第3四半期の家計貸出残高は3000億ウォン減少の1756兆8000億ウォンを記録した。減少幅は歴代2番目で前年同期比11兆8000億ウォン(0.7%)増え、歴代最小増加幅を示した。住宅担保融資の増加幅は減り、その他の融資が減少傾向を続けた影響だ。
販売信用はソーシャルディスタンス解除以後、民間消費の増加傾向持続で前四半期対比2兆5000億ウォン増加した113兆8000億ウォンを記録した。歴代最大規模だ。
(中略)
家計負債増加傾向が一段落したのは嬉しいニュースだが高金利行進の中で経済不良の震源になるという心配は変わらない。家計信用の大部分を占める家計貸出残高は1756兆ウォンを超えた中で最も多い比重を含めた住宅担保貸出は歴代最大値の1007兆9000億ウォンを記録した。増加幅(6兆5000億ウォン)は前四半期(8兆7000億ウォン)に比べてやや減ったが、住宅担保融資の約80%が金利上昇にさらされる変動金利の借主であることを考慮すれば利子負担が深刻化する見通しだ。
特にジョンセ貸出と集団貸出の増加傾向は持続することが憂慮される部分だ。パクチーム長*1は家計貸出の住宅担保貸出の増加拡大の背景について「個別住宅担保貸出は住宅市場の萎縮にともなう買収心理弱化で不振だったが、集団貸出とジョンセ資金貸出需要の増加影響が持続した」と分析した。
(中略)
18日基準で4大銀行(KB国民・新韓・ハナ・ウリ)の変動型住宅担保貸出金利は年5.28~7.80%まで上がった。これらの銀行の変動型金利の上限は昨年6月中旬までは年3.99%水準だった。わずか1年5ヶ月で上限金利は8%に近づき、下限金利は5%を超えた。信用貸出、ジョンセ貸出金利も同様の水準まで上がるものと見られる。利子負担だけで2倍をはるかに超えると予想されるだけに、昨年数億ウォンの貸出を受けて家を買った人や脆弱階層が直撃弾を受けるという憂慮だ。
実際、OECD分析によると昨年基準で韓国の仮処分所得対比家計負債比率は206.6%で、26ヵ国主要国のうち5位を占めた。簡単に言えば韓国の家計が平均的に負っている負債は、2年分稼いだお金をすべてつぎ込んでこそ返済できるという水準だ。このような高い水準の家計負債は5%台の高物価、高金利、通貨緊縮基調とあいまって韓国経済の脆弱性をさらに浮き彫りにする要因となっている。
1871兆規模の家計負債は直ちに24日、韓銀の基準金利引き上げ決定にも影響を及ぼす展望だ。債権市場はレゴランド事態で資金梗塞の憂慮が大きくなった中で莫大な家計負債にともなう利子負担などで韓銀がビッグステップ(基準金利を0.5%p引き上げ)ではなくベビーステップ(基準金利0.25%p引き上げ)を断行すると見ている。ただ、こうなれば韓国と米国の基準金利の格差は1%pからさらに拡大する見通しだ。
デイリアン「가계부채 사상 최대 '빚더미'…이자 시한폭탄 '째깍째깍'(家計負債、史上最大の「借金」...利子時限爆弾「チクタク」)」より一部抜粋
「集団貸出」とは日本には無い制度なのですが、新規分譲マンションなどを購入する際、同じマンションを購入する人たちでグループを作ってローンを申し込む集団ローンのことです。審査が個別ではなくグループ単位で行われるため、脆弱世帯でもローンが組めるようになります。私はコレ、韓国版サブプライムローンだと思ってます。
一部では身の丈に合わないローンを背負ったせいだ、との指摘も出ているようです。確かに最もな意見でしょう。
しかしそうした人たちが勝手に力尽きればそれで済むという時点を既に超えています。
*1:韓国銀行の経済統計局金融統計チーム長