メモリ半導体需要減によりサムスン、SKのグローバルシェアがワンランクずつダウン...「対中依存し過ぎた」という話

今年下半期はメモリ半導体の需要が低下すると前々から言われていた通り、第3四半期は前四半期比27%減となりました。
これによりメモリ半導体が主力のサムスンとSKはそれぞれ28.1%と26.2%の売上減を記録しました。サムスンはグローバルシェアランク1位をIntelに明け渡し2位に、SKは3位の座をクアルコムに明け渡して4位へと1ランクずつダウンしました。NAND型フラッシュメモリに限定するとSKは2位の座をキオクシア(旧・東芝メモリ)に奪われ3位に落ちています。

 



ニュース1の記事からです。

「K半導体」に特に冷たい寒波...信じていたメモリが「ブーメラン」になった


メモリ半導体不況が深刻化し、これを主力事業とするサムスン電子、SKハイニクスのグローバル半導体市場占有率が大幅に低くなったことが分かった。メモリ好況の時期には良かったが、今のようなダウンサイクルにはメモリに偏った事業構造がむしろ足を引っ張ったという指摘だ。

28日、市場調査会社のオムディアによるとサムスン電子は今年第3四半期(7~9月)に全世界の半導体市場で146億ドル(約19兆3000億ウォン)の売り上げを記録し2位につけた。SKハイニクスも79億6700万ドル(約10兆6000億ウォン)の売り上げを上げ4位を記録した。

これは第2四半期(4~6月)よりそれぞれ1ランクずつ下落した順位だ。インテルは第3四半期に148億5100万ドルの売り上げを記録しサムスン電子を抜いてグローバル半導体1位を奪還した。第2四半期の売上規模が4位だったクアルコムも第3四半期には99億4000万ドルでSKハイニクスを上回った3位に上がった。

(中略)

第3四半期のサムスン電子とSKハイニクスの半導体売上は前四半期に比べてそれぞれ28.1%と26.2%減少した。サムスン、SKに続きメモリ半導体3位のマイクロンも第3四半期の売上が27.7%減った。反面、同期間インテルの売上は0.1減にとどまり、クアルコムはむしろ5.6%増となった。

メモリ半導体であるNAND型フラッシュ市場でも国内企業の実績がライバル会社より低調であることが分かった。トレンドフォースによるとサムスン電子は第3四半期、NAND型フラッシュ市場シェア31.4%を記録して1位を維持したが前四半期(33.0%)と比べると1.6%ポイント減少した。不動の2位だったSKハイニクスは前四半期より1.4%p下落した18.5%のシェアを記録し、日本のキオクシア(20.6%)に2位の座を明け渡した。

オムディアは「第2四半期の市場下落はPC市場の弱化によるインテルの業績不振のためだったが、第3四半期の市場下落の原因はメモリ市場の劣勢のため」とし「顧客会社の在庫調整とデータセンター・PC・モバイル需要減少で全体メモリ市場の売上は前期対比27%減った」と明らかにした。

(中略)

各社の事業報告書によると、サムスン電子は全体半導体売上でメモリ半導体が占める割合が第3四半期基準66%であり、SKハイニクスの場合、第4四半期に赤字転換の可能性があると見通している。

(中略)

業界関係者は「メモリダウンサイクルは来年初めまでさらに深刻化するだろうがファウンダリー需要は人工知能(AI)。モノのインターネット(IoT)など先端技術産業の発展で一層増えるだろう」とし「今後、関連産業の成長性がより一層大きくなると見られるだけにファウンダリー事業拡大はリスク分散の次元ではなく生存のために必ず必要だ」と話した。



ニュース1「'K-반도체'에 유독 차가운 한파…믿었던 메모리 '부메랑' 됐다(「K半導体」に特に冷たい寒波...信じていたメモリーが「ブーメラン」になった)」より一部抜粋

NAND型フラッシュメモリを含むメモリ半導体は需要減・供給過多により、販売店が在庫調整を行うため第3四半期~第4四半期は低迷する、とは前々から言われていたことで、実際その通りになっているんだなぁ、という程度の記事でしかありません。
が、これを「半導体輸出の減少」と捉え、その原因が「中国への依存度が過ぎたため」と分析している記事がありました。

 

 



韓国経済TVの記事からです。

半導体輸出減少の懸念...中国依存度が過ぎたため


(前略)

28日、韓国貿易協会の統計によると今年1~9月の韓国の対中半導体輸出額は420億2500万ドルで全体輸出額(1千36億ドル)の40.6%を占めた。

今年9月まで中国が占める輸出比重は昨年(39.3%)より1.3%ポイント上昇し、依存度はむしろ高くなった。
 対中半導体輸出比重は2015年に44.2%まで増えたが、翌年38.9%に縮小された後、引き続き40%台を超えている。

(中略)

問題は40%に達する対中半導体輸出依存度が今年の韓国の半導体輸出減少の主要原因として作用しているという点だ。
今年に入って韓国の月別半導体輸出増加率は着実に下落し、8月からマイナスに転じ、1~9月の累積半導体輸出額が昨年同期より19.1%減少したと集計された。
同期間、対中半導体輸出額は16.3%減少した。中国の景気鈍化でサーバ用半導体需要が減少し、メモリ半導体価格が下落した影響だ。

(後略)



韓国経済TV「반도체 수출 감소세 우려…중국 의존 지나친 탓(半導体輸出減少の懸念...中国依存度が過ぎたため)」より一部抜粋

対中半導体輸出比重が38.9%まで下がった2016年はTHAADで揉めていた頃です。
半導体輸出額に占める%しか出てきていないので、もっと具体的に「金額」ベースでまとめると以下になります。

【韓国半導体輸出額(ドルベース)】
 2015年 629億
 2016年 622億
 2017年 979億
 2018年 1267億
 2019年 939億
 2020年 992億
 2021年 1280億

どうでしょう?2015~16年と2021年を比べるとほぼ倍増しているのが分かります。
このうちの40%前後をコンスタントに中国が占めていたわけです。いかに中国依存度が大きいかが分かります。

THAADで揉めていたはずの2016年においても、実績自体は2015年とさして変わっていません。2017年には1.5倍になっています。実はこのときに「THAAD報復に実害はなかった」的な記事がチラホラ出ていまして...時はトランプ政権とムン政権。米中対立は既に表面化していました。それによって日米台が中国市場へアクセスし辛くなっていたタイミングだっただけに、韓国は例の「戦略的あいまい性」を取ることで「優位性がある」と市場を拡大していったのではないかと。

記事は対中依存度を上げ過ぎた「せいで」こうなった、と言いたいようですが、逆に対中依存度を上げた「おかげで」半導体輸出額は2015年に比べて倍増した、とも言えるのではないでしょうか?