ロシア産のプラ製品原材料、チュニジア経由で韓国へ...ナフサロンダリングの話

プラスチックやビニール袋の原材料になるナフサ(naphtha)、重油の精製過程で作れます。この供給元の多角化について、ここ最近韓国ニュースでわりと頻繁に取り上げられていました。
韓国はロシアからナフサを大量に輸入しており、全体輸入量の約23.9%がロシア産(1位)だったのですけれど、ウクライナ事態以降、ロシアへの制裁が強まると韓国もロシア産ナフサの輸入量を急激に減らします。
韓国石油化学協会の発表によると、今年1~10月の韓国のロシア産ナフサ輸入量は191万5千トンで、昨年同期間より67%減っています。全体量と比較すると8.7%水準です。

その不足分をどこから調達するかが近々の課題となっていました。ハングルでナフサは「나프타」あるいは「납사」と書くので検索してみると関連記事が見つかります。
ロシア産に代わりUAE産が394万5千トン、昨年より23.4%増加で輸入量1位、2位はインド産で昨年より18.2%増、3位カタール産は70.2%増となっています。

しかし、その手の記事には載らないチュニジアからの輸入も急増していることが分かりました。同時にロシアからチュニジアへのナフサ輸出量も急増しています。
チュニジアで生産されているナフサより韓国へ輸出されている物量の方が多い状態だそうなので、チュニジアを経由することで「ロシア産」であることを隠ぺいした迂回輸入である可能性が高いということです。

もしこれが本当なら日本も他人ごとではありません。日本は韓国からナフサを輸入しています。

 



聯合ニュースの記事からです。

「韓国、チュニジアからナフサ輸入開始...対ロ制裁のため」


韓国がチュニジアからナフサの輸入を進めており、これは西側の制裁による通常とは異なる貿易ルートを示しているとロイター通信が24日(現地時間)報じた。ロシア産ナフサのチュニジア流入が急増したということだ。

ロイター通信は「チュニジアから韓国へ:ロシア産ナフサの新たな通商経路」と題した記事でこのように伝えた。

ロイター通信が引用した金融情報業者リフィニティブによると、世界最大のナフサ輸入国である韓国は昨年、全体ナフサ輸入量の4分の1にあたる約59万トンをロシアから輸入したが、最近になって貿易量がほとんどなくなった。

一方、韓国石油公社の資料によると韓国は今年10月、チュニジアからナフサ8万2千トンを輸入したことが確認された。韓国がチュニジアからナウさを輸入したのは2020年11月(約3万500トン)以来23ヵ月ぶりのことだ。
リフィニティブのデータ上、韓国は今月もチュニジアから27万4千トンの供給を受けるものとみられる。

(中略)

ロイターは「特異な交易路」とし「ロシアがウクライナで戦争を繰り広げることに対して西側が制裁を加え始め、チュニジアに向かうロシアのナフサ輸出量が急増し、これと同時にチュニジアを通じた韓国のナフサ輸入が始まった」と指摘した。
エネルギー関連のシンクタンクであるリスッタッド・エナジーのマニッシュ・セズワル市場分析部門副社長は「交易路の変更は西側の調査を避け、安いロシア産原料を利用しようとする次元」と話した。

昨年まではロシアからナフサを全く輸入していなかったチュニジアは、今年に入って8~11月の間だけで41万トンほどの供給を受けていたことが分かった。

(中略)

ナフサ輸出入に関する質疑に韓国とチュニジア当局は公式答弁を拒否したとロイターは伝えた。



聯合ニュース「"한국, 튀니지서 나프타 수입 시작…대러 제재 때문"(「韓国、チュニジアからナフサ輸入開始...対ロ制裁のため」)」より一部抜粋

ナフサは現在価格が高どまっています。財務省の貿易統計を元に大景化学が出した今年第3四半期の平均価格(klあたり)は81,400円です。昨年同期は53,500円、一昨年同期は30,200円です。2年で2.5倍。安いロシア産が手に入れば輸送費を除いても利ザヤが稼げそうです。

記事ではチュニジアも韓国もロイターに対して返答していないことになっていますが、ロイターの追加記事によるとチュニジア当局はちゃんと答えたようです。
曰く「国際企業がチュニジアの貯蔵施設を利用してロシアから韓国にナフサを供給している可能性はあるが、チュニジア政府は関与していない」と。
貯蔵庫はチュニジアの国営石油会社と国営石油配給会社の共同所有とされており、国際企業向けにここの管理のみを業務としています。よって「輸出には関与していない」との意味です。
また、ロシアから向かった9隻の輸送船のうち4隻はUAE企業であるコーラル・エナジーにより提供されていることが分かっています。この会社自体はチュニジアに貯蔵庫は持っておらず、あくまで「顧客のために船舶をチャーターした」とのこと。


日本はナフサを輸入した重油を精製して国内で製造している物量と、ナフサとして輸入している物量がほぼ半々です。
↓の表は今年9月の統計データです。



この表によると、輸入量のほぼ10%は韓国からです。輸出はしていないので最終使用者は日本企業となります。



記事へのコメントは1件。ポータルではなく聯合の記事ページに付いたものですが...思う所が無いわけじゃ無いですけど、あんまりにもアレなので、ここから何を感じ取るかは読んだ人にお任せします。

「韓国が国際社会で自主国家として浮上するためには米国や欧州など、西側のク犬どものク(制裁)はそれなりで、嫌がらせをする制裁遊びに加担してはならない。勉強にしろ企業にしろ国家にしろ、相手にいかなる制限も課さず正当な方法で競争に勝つか生き残るかでなければならない。戦争でも同じだ。仲間として付き合うと、一時役に立つかもしれないが結局は長続きしないことを誰もが知っている。欧州のエネルギー難もこのような嫌がらせをしながら自分の目に釘を刺して起きた事態だ。制裁を加えるかどうかに関係なくロシアから輸入すれば価格が安いはずだが、同じロシアのナフサをあえてチュニジアに回して輸入すれば価格が上がるのは当然だ。このような馬鹿げた行為を企業と国民に負担させるのはまさに傀儡政権の仕業だ。

米国と欧州のク犬どもがアフガニスタンイラクリビア、シリアなどを侵略した時、彼らを制裁した国は一つも無かった。制裁はこれらの国の占有物ではない。制裁は相手をさらに結集させ、より強い反発を招く。すなわち通常兵器の調達が出来なければ核兵器などを使用し、制裁に加担した国も戦争またはこれを似た事態に巻き込まれる恐れがある。過去に存在した超大国の米国はもはや存在しない。米国、英国、日本、ドイツ、フランス、イタリアなどが今没落しているのが目に見えないのか?このような国々はもはや朝鮮*1の核攻撃だけでもCVID固執する国だ。朝鮮よりはるかに強力な中国とロシアなどが後ろで持ちこたえている。彼らと何の制裁で勝利を担うことが出来るだろうか?韓国が没落する前に連中の同類から抜け出して新しい形の生存と発展を追求しなければならない」(共感0 非共感1)

*1:原文「조선(朝鮮)」。通常、韓国人は北朝鮮を「북한(北韓)」と呼ぶ。北朝鮮人は自国を「조선(朝鮮)」と呼ぶ。書き手の意図は不明。