韓国金融当局、融資金利のモニターを強化...預金金利に続いて融資金利の上昇も自制要請?の話

韓国の金融当局が融資金利のモニターを強化しており、銀行だけでなく融資商品を取り扱うすべての金融機関を対象に毎週チェックを実施するとのことです。
融資金利モニターだけなら特段問題とも思えません。しかし金融当局がつい最近、銀行に対して預金金利引き上げを自制するよう要請したばかりですから、これも「融資金利引き上げ自制も要請するもの」と受け取られています。

 



朝鮮Bizの記事からです。

今度は貸出金利引き上げ自制...金融当局、貸出金利を毎週点検


(前略)

4日、金融界によると金融当局は都市銀行だけでなく貯蓄銀行、相互金融に至るまで融資商品を取り扱う金融会社の融資金利の上昇傾向を週単位で調べることにした。金融当局が預金金利だけでなく貸出金利上昇推移も直接管理するという趣旨と見られる。

金融当局は貸出金利が過度に上がった場合、史上最大(今年第3四半期基準で1870兆ウォン)まで増えた家計負債に衝撃を与えるものと憂慮している。韓国銀行によると今年10月の預金銀行の家計貸出金利(加重平均・新規取扱額基準)は年5.34%で、1ヶ月間で0.19%ポイント上昇した。これは2012年6月(5.38%)以来10年4ヶ月ぶりの最高値でもある。

先立って当局は市中銀行が受信金利引き上げ競争を繰り広げるために第2金融圏から銀行圏(第1金融圏)に「資金集中」が起きたと見ている。銀行が高い金利で市中資金を吸い込めば相対的に健全性が脆弱な貯蓄銀行など第2金融圏の流動性不足を引き起こす恐れがあるためだ。


(中略)

これに対し、主要都市銀行では韓国銀行が最近基準金利を0.25%ポイント引き上げたにもかかわらず年5%台の預金金利商品が消えている。ただ一部ではこれについて市場金利に対する過度な介入という指摘も出ている。
金融当局もこのような見解を意識したようで、最近の状況が非常に例外的であるため介入が避けられないという立場を数回表明している。

(中略)

金融監督院が最近施行に入った「銀行業監督業務思考細則」改正案によれば、銀行は預貸金利差算定の細部項目である貯蓄性受信金利、貸出平均・家計・企業貸出金利などを毎月銀行連合会ホームページを通じて公示しなければならない。

金融当局は来年1月から施行される銀行連合会の「貸出金利模範基準」改正案が施行される場合貸出金利追加引き下げ要因になると見ている。貸出金利模範基準改正案によると、銀行は貸出金利預金保険料と支給準備金を反映できなくなる。
預金保険料と支払準備金は貸出者ではなく預金者のための項目であるのに貸出者に重複して負担させてきたという指摘に加重金利反映項目から削除することにした。



朝鮮Biz「이번엔 대출금리 인상 자제… 금융당국, 대출금리 매주 점검 전망(今度は貸出金利引き上げ自制...金融当局、貸出金利を毎週点検)」より一部抜粋

金融機関が破綻して預金が引き出せなくなったとき、韓国では利子を含めて5000万ウォンまで保護されます。預金者保護法によって法的に定められた仕組みで、そのために銀行は預金保険公社に預金保険料を支払っています。その保険料を「貸出者」も負担するのはオカシイって話です。
支払準備金はすぐに預金引き出しに応じられるよう銀行が準備しておく現金のことです。これもやはり「貸出者」には関係のない話です。


アジア経済の記事によると家計向け融資は減り続けています。特に信用融資が急激に減っていて、先月基準で家計貸出残高は121兆5888億ウォン、今年に入ってから合計で18兆ウォンほど減っています。
膨れ上がった家計負債は大きな問題なものの、家計負債を膨らませることで経済を回したきたため、急に止めるわけにもいかずというところでしょうか。
急激な金利上昇→ローンの需要減少→不動産市場の萎縮→価格下落→ヨンクル悲惨......こうした流れが急速に起こっていることが問題で、どこかで動きを緩めたいんでしょうが、基準金利は引き上げておいて(それも急激に)、金融機関には「金利は据え置け」というのは随分無茶な話に思えます。