韓国国内リコール300万台超え...国内登録車のうち8台に1台の割合という話

今月6日時点で韓国での自動車のリコールが300万台を超えました。318万1496台だそうです。
これは国内で登録されている全自動車(国産・輸入車)の8台に1台の割合に相当します。
特に電装品回りの不具合が多いらしく、新車開発期間の短縮や電装部品の相互連携時の不具合、他にもそもそも部品メーカーの力量不足ではないか、との指摘が挙がっています。

 



朝鮮日報の記事からです。

今年リコール300万台...自動車8台中1台は欠陥を抱えて走った


今年、国内自動車の自発的リコール(是正措置)対象台数が史上初めて300万台を超えたことが分かった。現行法上リコールは「設計、製造または性能上の問題で安全に支障をきたす欠陥がある場合」に施行される。国内に登録された全体車両が2491万台であることを勘案すれば単純計算で8台に1台の割合で欠陥が発生したということだ。(一車種の重複リコール除外)

韓国交通安全公団によると今年に入って6日までに318万1496台の車両が自発的にリコール措置された。昨年(265万5115台)より20%増加した数値で、2019年(200万9110件)より60%ほど増えた数値だ。

表面的にこのようなリコール増加は自動車が車輪付きコンピュータに進化し、搭載される電子装備(電算)が増えたのが理由として挙げられる。しかし業界の専門家らは部品メーカーの力量不足、部品間の相互問題、短くなった新車開発サイクルなど、製造過程での構造的問題が反映された結果だと指摘する。

(中略)

 オンライン自動車コミュニティでは各種車両の事故事例に簡単に接することができる。例えば、GGM(光州グローバルモーターズ)が作った軽SUVキャスパーの場合、エアコン、熱線を付けて走行すると車が前後にガタガタと震える現象が報告されている。消費者の間で「乗馬」と呼ばれる症状だ。この他にもエンジン漏れ(起亜ソレント)、エンジン停止(現代自動車パリセード)、低速走行時ハンドルが重くなる(テスラモデルS)、ディスプレイ誤作動(ベンツEクラス)など、様々な現象に対する不満の書き込みが掲載されている。
 
 完成車業界では電動化転換過程などで様々な構造的問題が発生していると見ている。例えば、現代自動車は昨年と今年、C社とS社など7社をバッテリーパック協力会社に追加選定した。しかしこれらはドア、サンルーフ、マフラーなど内燃機関部品を作ってきた会社だ。イハング韓国自動車研究院専門委員は「完成車メーカーが電気自動車部品業力が足りない内燃機関部品メーカーからも部品を受け取らなければならない状況」とし「一部の性能下落は避けられない」と述べた。自動車電装の開発と製造を一次協力会社が担当するため部品間の互換問題が発生することもある。ある完成車メーカーの研究員は「複雑になったコンピュータをいちいち統合、調整するわけだが過程が甘くエラーも発生する」と話した。
 
 新車開発周期が徐々に早まるのも理由として挙げられる。過去7~8年掛かっていた開発周期が最近は5~6年に減った。そのため十分な自主テストを経ないということだ。ある完成車メーカーの関係者は「品質テストは法規で要求される最小条件を超える程度のものと認識されている」とし「最近のリコール理由の一部はテストを繰り返していれば十分に把握できた問題」と述べた。
 
(後略)



朝鮮日報「올해 리콜 300만대… 자동차 8대중 1대는 결함을 안고 달렸다(今年リコール300万台...自動車8台中1台は欠陥を抱えて走った)」より一部抜粋

日本は今年3月末時点での自動車保有台数が8217万4944台で、令和3年度(2021年度)リコール件数は369件、対象は425万7931台となっています(参考データ12)。20台に1台くらいですか...基準がはっきりしないので多いのか少ないのか正直分からんですが、まあ日本と比べれば割合的に倍以上ですね。日本との比較で考えれば韓国は「多い」と言えるでしょう。
また、件数・対象台数ともに日本は令和元年度(2019年度)以降、減少傾向にあります。(令和元年度:415件1053万4492台、令和2年度:384件、661万557台)


リコールが増えた大きな要因としては2つですね。
1つ目が開発周期が短くなったために十分な品質テストが行われず不具合が見逃されたこと。2つ目が電装部品が増えたことにより相互連携で不具合を内包しやすくなったこと。これに関しては、今まで内燃機関を作っていた会社が十分なノウハウの無いままに電装部品を製造しているという構造上の問題である、と。

うーん...「リコール」が増えている原因としては記事の指摘通りかもしれませんけれど、その根底にあるのは安全意識の問題ではないかとも感じます。
日本では道路工事や大きな工事現場の車両出入り口に交通整理のガードマンさんが立っている光景は当たり前ですけど、韓国では「ありえない光景」としてたまにコラム記事が出ていたりします。こういう「安全」に支払うコストをどう(必要/無駄)捉えるかの違い、そんなところも実は関係しているんじゃないでしょうか?