「独自核保有」から一転「現状、NPT体制尊重が現実的」という話

ちょうど一週間前に、ユンさんが11日の国防部の業務報告の席で「独自核保有推進」を匂わせるような発言をしたことをお伝えしました(こちら)。記事の発言内容を部分は、「北朝鮮の挑発行為がこのままエスカレートした場合、(最悪)核保有という可能性も(あり得なくはない)」くらいのニュアンスに私には読めたのですけれど、「独自核保有」という発言ばかりが独り歩きして大騒ぎになりました。

昨日公開されたWSJとのインタビューで今度は「NPT(核拡散禁止条約)体制尊重が現実的」と話しました。
ユンさんとしては間違ったことは言っていない…単に「そういうことも可能」という選択肢の一つを提示したつもりだったのでしょうから、「現状は米国の核の傘で十分だ」は何の矛盾も無いでしょう。
しかし「独自核保有推進」で大騒ぎした人たちからすれば、たった一週間で態度が変わったと映ります。WSJも「過去の発言を和らげた(dial back)」と報じていますが、同じ理由でしょう。(dial backは論点や視点を過去に「戻す」の意味がある)

 



韓国日報の記事からです。

ユン大統領「NPT体制尊重が現実的…近いうちに中国を訪問する考え」


ユン・ソンニョル大統領は20日、「現在としては我々が核拡散禁止条約(NPT)体制を尊重することが現実的かつ合理的なことだ」と明らかにした。

ユン大統領は同日公開されたウォールストリートジャーナル(WSJ)とのインタビューで「私と大韓民国の国民は北韓の核の脅威に対する米国の拡張抑制に対して相当な信頼を持っている」とし、このように述べた。

(中略)

ユン大統領は最近、国防部の業務報告で独自の核保有の可能性を示唆し、国内外に波紋が広がる中、国際社会に韓半島非核化の原則を改めて強調したものと分析される。WSJはこれに対し「ユン大統領が核兵器を開発するという過去の発言を和らげた(dial back)」と評価した。ユン大統領はまた「現在、米国の各資産運用に関して共同企画、共同実行というシステムを作り出すために韓米間で議論している」と明らかにした。

日本が最近、反撃能力の保有など安保を強化している動きについては「韓日間で北韓核の脅威に対して安保協力を強化し、共同対処をしていかなければならないので大きく問題にならないと思う」と評価した。中国については「近いうちに中国と協議して中国を一度訪問する考え」と述べ、訪中の可能性を示唆した。

(後略)



「윤 대통령 "NPT 체제 존중이 현실적... 가까운 시일 내 중국 방문할 생각"(ユン大統領「NPT体制尊重が現実的…近いうちに中国を訪問する考え」)」より一部抜粋

ユンさんは自分の言動が捻じ曲がって広まることの危機意識が低いように思います。元検察だ故に、物事は「事実」だけで評価されるとでも考えているのか…。


ウッカリな言動の多い人という印象が常々付きまとうユンさんですけれども、一貫して評価できるポイントがあるとしたら太字で示した部分です。単に相手が日本だから、との理由だけで条件反射的に「反対」を叫ぶわけではないところ。安易に「反日」を利用しない姿勢は素直に評価できると思います。

これで日韓関係が進展するか?というと、また別の話になるでしょうが、それでも「韓国大統領」が「日本の防衛力強化」に対して「問題ない」との考えを示すなんて、今までだったら考えられません。