2040年には生産年齢人口が56.8%に...「2000年代以降、大韓民国の産業は『失われた20年』に陥っている」という話

「失われた20年」とか「30年」という表現は、韓国メディアでは基本的に「日本経済はもう終わった」の意味で使われます。たまに反面教師として「このままでは韓国もそうなる」の意味で使われることもありました。

しかし最近、2000年代以降、実は韓国は「失われた20年」に陥っている、という主張が出てきました。半導体など一部の主力産業が好調だったから「錯視」が起こっていただけで、全体的には競争力で押されているというのです。

 



朝鮮Bizの記事からです。

「『失われた20年』...産業構造を改善しなければ10年後の大危機」


「2000年代以降、大韓民国の産業は『失われた20年』に陥っている。20年間、新しいビジネスの創出に失敗し、10大品目中心の輸出、生産構造が固着化した。今、韓国産業の構造的問題*1を改善しなければ、10年後に迫ってくる危機を克服することは難しい」

「韓国は最近まで生産年齢人口は多いが扶養人口は少ない『人口ボーナス』を活用して成長を維持することができた。今は世界で最も速い速度で仕事をする人が減り『人口オーナス』を心配する境遇だ」

26日、ソウル大韓商工会議所で開かれた「第1次産業大転換フォーラム座長会議」では韓国産業の現実に対する赤裸々な診断と解決しなければならない課題があふれた。

(中略)

参加者たちは半導体、ディスプレイ、バッテリーを除いた韓国の主力産業が後発走者である中国の追撃に直面し、主力輸出市場である中国ではメモリ半導体など少数製品だけが辛うじて競争力を維持していると批判した。対中貿易収支が2018年から持続的に減少し、半導体を除いた対中貿易収支は2018年の180億ドル黒字から、2022年に240億ドル赤字に転換された。半導体産業の好調による「錯視効果」があるだけで全産業で競争力が押されているというのが会議参加者の診断だ。

(中略)

同日の会議では、韓国産業の危機要因として▲人材減少▲急速な海外投資増加による産業空洞化への懸念▲後進的な企業環境▲新たな成長動力の不在▲グローバル対外環境などを挙げた。

特に少子高齢化で働く人が減る状況に対する憂慮が大きかった。現在、韓国の生産年齢人口比重は全体の71%だが、2040年になれば56.8%に減ると見通される。これと関連して学会では生産年齢人口は減り、扶養人口は増え、経済成長が停滞する「人口オーナス」が発生するという憂慮が出ている。

さらに国内で養成された核心人材が米国や中国などに急速に流出している状況だ。国内人材に代わる外国人材の流入も順調ではない。

(中略)

対立的・後進的労使関係による企業経営支障に対する難関も飛び出した。ある出席者は「米国、EUは自動車工場の誘致・建設に死活をかけて迅速に進めている反面、国内では久しぶりに自動車工場の新設決定にも関わらず、労使協議などで速度感のある工場設立が行われていない」とし「労使の過激なストライキと職場占拠は経済全体に甚大な被害をもたらし、重大災害処罰法など刑事処罰にまでつながる脅威的な企業環境は起業家を委縮させる」と指摘した。

(中略)

技術開発と関連してはR&Dが実際の事業化にまともに寄与できない「コリアR&Dパラドクス」が固着化したという指摘が出てきた。「半導体、バッテリーなど一部の先端産業を除いては全般的に日米の技術水準に達しておらずAI、量子など未来戦略産業の核心時術はむしろ中国が圧倒的にリードしている」ということだ。


(後略)



朝鮮Biz「“‘잃어버린 20년’…산업 구조 개선 않으면 10년 후 대위기”(「『失われた20年』...産業構造を改善しなければ10年後の大危機」)」より一部抜粋

生産構造改善云々と言っていますが、「10年後の大危機」としているように、一番重きを置いているのが人口問題ということが分かります。

最近発表された11月の人口動向によると出生児数は1万8982人で、統計作成が始まった1981年以降、最も少なかったことが分かりました。ひと月前の10月は2万658人でしたので、初めて2万人ラインを割り込んだことになります。

2022年時点の韓国の生産年齢人口比重は全体の71%となっています。これが今の出生率でいくと、2040年になれば56.8%(-14.2%)に減ります。
中国はこれが現在69%、2040年には62.9%(-6.1%)、米国は64.9%→61.5%(-3.4%)、日本は58.5%→53.8%(-4.7%)です。2040年時点でも日本よりは韓国の方が高いですが、-14.2%という急激な減少幅は経済的・社会的影響が大きいでしょう。経済は間違いなく委縮しますし、社会保障システムも崩壊しかねません。



*1:原文「문재」。これは「文才」との意味になるので「문제(問題)」の誤字と思われる。