徴用訴訟解決案、結局そのまま発表されるも原告・野党は大反発、日本は淡々としている話

徴用訴訟解決案として、結局事前報道されていた内容がそのままで発表されました。日本との合意済み発表では無く、韓国政府の単独発表です。

解決策の中身を一応まとめておくと、

  • 三者弁済(代位弁済)による賠償金支給
  • 資金は経団連、全経連設立の基金により造成
  • 日本企業の参加強制は無し
  • 日本政府は日韓共同宣言の立場を継承する(追加の直接謝罪等は無し)


基金参加企業は、今のところ「ポスコ」の名前が報道に上がっています。ポスコ側が参加の意思を表明したのかは分かりませんが、恐らく「参加して当然」の雰囲気があるんじゃないでしょうか?

 



聯合ニュースの記事からです。

岸田「歴代内閣の歴史認識継承...韓日協力一層の強化」(総合2報)


岸田文雄日本総理は6日、日帝強占期強制徴用被害者問題と関連し「歴史認識に関しては歴代内閣の立場を全面的に継承してきたし、今後も継承する」と明らかにした。

岸田総理はこの日午前、参議院予算委員会に出席し与党自民党の議員の韓日関係に対する質問にこのように答えた後「このような政府の立場を今後も適切に表現し発信していくことが重要だと認識している」と述べた。

(中略 ※これは1998年の「小渕-金大中共同宣言」を継承するってことだよね、と確認。)

ただ、岸田総理は「反省と謝罪」を総理が直接言うべきではないという佐藤議員の質問に対し「両国の外交当局間で調整が行われており、具体的に申し上げるのは適切ではないと思う」と述べ、明確な回答を避けた。

合わせて韓国に対する半導体素材輸出規制解除と輸出管理優待国再指定に対しては「徴用賠償問題とは別」としながらも「韓国が始めた世界貿易機構(WTO)紛争解決プロセスの停止を含め、韓国側の適切な対応を経済産業省などが要請したと理解している」と説明した。

ユン・ソンニョル大統領を5月の広島主要7ヵ国(G7)首脳会議に招待する案についても「決まったことはない」と線を引いた。

林芳正日本外相は、徴用問題で日本側の謝罪と被告企業の賠償は無い、という日本政府の従来の立場に変わりはないか、という質問に「日本の一貫した立場に基づいて韓国と緊密に意思疎通をする、という点に変わりはない」と話した。

(中略)

林外相は韓国の徴用問題解決策発表後の略式記者会見で「日本政府は1998年10月に発表された韓日共同宣言を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体的に継承していると確認する」と明らかにした。

彼は「日本企業の自発的な韓国財団寄付を容認する考えはあるか」との質問に「今回、韓国政府が発表した措置は日本企業の財団に対する拠出などを前提としない」とし「政府としては民間人または民間企業による国内外の自発的な寄付活動などに対しては特別な立場を持っていない。本件についても特別な立場はない」と答えた。

林外相もやはり半導体素材輸出規制と関連して「2019年7月に公布した韓国に対する輸出管理運用再検討は安保観点から輸出管理を適切に施行したもので労働者問題とは別の問題」と明らかにした。

(後略)



聯合ニュース「기시다 "역대 내각 역사 인식 계승…한일 협력 한층 강화"(종합2보)(岸田「歴代内閣の歴史認識継承...韓日協力一層の強化」(総合2報))」より一部抜粋

発表前とか昨夜の時点では一部で楽観報道もあり「シャトル外交復活に拍車が掛かった」とか「3月中に首脳会談か」、というような話も出ていました。
例えばMBCニュースでは...
「(被害者側の反発が予想されるとした後で)しかし、4年以上続いた賠償問題をひと段落させることにした政府は、すでに韓日首脳間のシャトル外交復元に拍車をかけています。キム・ソンハン室長は『懸案問題がうまくまとまれば』という前置きを付けましたが、外交街では早速3月末の韓日首脳会談の可能性が見込まれています」
と、こんな感じです。

しかし発表後はちょっとイマイチというか...まあ当然なんですけど、原告側と野党の大反発とパっとしない日本側の反応を伝えるに留まっています。日本側の反応を「こんなものじゃないはず」と待っているのかもしれませんが...。

ちなみに、日本製鉄と三菱は「解決済みと認識している。(韓国政府の国内措置について)コメントする立場にない」との公式見解を示しています。


昨日も触れましたが、現状日本は何も変わっていません。
もしこのまま日本企業の基金参加が無ければ、韓国に何一つ「華」を持たせなかったことになります。もしかしたら「解決済み」とピシャっと切らずに韓国側の解決策を「評価」したり「日本の一貫した立場に基づいて韓国と緊密に意思疎通をする」という表現に留めたのが譲歩と言えば譲歩かもしれません。
韓国政府と保守メディアがいかに「日本のやった感」を演出してくれるのか楽しみ(?)です。


そういえば、輸出管理についての政策対話が始まるらしいです。(朝日新聞は「輸出規制強化について、正常化に向けた~」と報道)
やることキチっとやって、ちゃんと管理してくれるなら別にそれで構わないのですから、もし体制に問題なしと判断されてホワイト国再指定となったら勝手に日本の譲歩と判断して満足するんでしょうか?それなら安くつきますね。