韓国でお金を使わない日本人観光客の話

昨日の「日韓関係が回復すれば日本人観光客が増えて5兆ウォンの経済効果がある」との分析記事とちょっと関係します。(記事が出たのはこちらが先)
5兆ウォンの経済効果どころか、「日本人観光客は韓国でお金を使えなくなっている」し「日本人観光客自体が減ってる」とのことです。
詳しくは後述しますが日本人観光客が「減っている」というのは必ずしもそうとは言えません。

 



韓国経済の記事からです。

「韓国でお金をたくさん使うことができません」...日観光客が急変した理由[イ・ミンギョのインサイト


(前略)

10日、韓国観光公社日本政府観光局によると、今年1月に韓国を訪問した外国人は計43万4429人で、新型コロナウィルス感染症の流行前の2019年1月(110万4803人)の39.3%にとどまった。今年1月に日本を訪れた外国人は149万8300人で、2019年1月(268万9339人)の55.7%水準に跳ね上がった。

(中略)

日本が韓国より早く回復し、入国者数の格差が新型コロナウィルス感染症の前よりさらに広がったという話しだ。

このような流れには日本人の訪韓が急激に減ったのが決定的な影響を及ぼした。日本を訪れた韓国人は昨年11月に31万5400人→12月に45万6100人→今年1月に56万5200人と、毎月10万人以上増えた。反面、韓国を訪れた日本人は昨年11月に45万9906人から12月に53万9273人と増えたが、今年1月には43万4429人へと19.4%急減した。

(中略)

最大の要因としては為替レートが上げられる。為替レートは伝統的に両国間の旅行市場の核心変数だった。2020年2月に1191ウォン台だったウォン・円為替レートは今月に入って970ウォン台前半に留まっている。「韓国旅行が正常化した当初は『長い間行けなかった韓国に早くいきたい』という日本人の心が大きかったが、今は再び電卓を叩く雰囲気」というのが旅行業界関係者の説明だ。

インフレが本格化し、韓国の物価を負担に感じる日本人もいる。グローバル比較統計サイト・ナンベオ*1によると、今年の韓国の生活費指数は70.37で、日本(64.59)より高い。

(中略)

一部では「コロナ19パンデミック(大流行)期間に政府と地方自治体が観光インフラ拡充に速度を上げるべきだったが手放していたのではないか」という指摘も出ている。日本だけでも2000年代初めから続いた観光産業育成策を空の道が閉ざされているときも続けた。

日本国内の旅行活性化を目的に昨年末に展開した「全国旅行支援」政策がそのような事例だ。日本国民が国内旅行をすれば1人当たり1日最大1000円を政府が支援する政策だ。

このような努力に支えられ、世界経済フォーラム(WEF)が発表した「2021観光発展指数」評価で日本は117ヵ国中1位に上がった。

(後略)



韓国経済「"한국서 돈 많이 못 쓰겠어요"…日 관광객 돌변한 이유 [이미경의 인사이트](「韓国でお金をたくさん使うことができません」...日観光客が急変した理由[イ・ミンギョのインサイト])」より一部抜粋

「2021観光発展指数」は基準が少し変わったそうで、それが日本に有利に働いた側面があったようです。記事でも指摘されているように、コロナ後を見据えたインバウンド需要への環境作りがされていることが評価され、前回2位からランクアップです。
ちなみに韓国は15位です。


話が結構あっちこっちに飛ぶ印象の記事です。通しでは観光の話をしていることはしているんですが...「外国人観光客が増えた」「日本人観光客は減ってる」「韓国人は日本に行く」「日韓の観光格差が広がる」「為替レートと韓国の物価高が原因だ」「やっぱり観光インフラ整備が不十分だ」...結局何が言いたいのかというと、やっぱり一番最後の「観光インフラ整備」なんでしょう。しかし、それだと日本人観光客の人数に触れたのがノイズ情報のように思えますよね。
なぜ日本人観光客数に触れたのか。はっきりとは書かれていませんが、「観光インフラ整備」をして「インバウンド需要を呼び込む」...その最重要ターゲットが、なんだかんだで「日本人観光客」だからでしょう。

ところで、日本人観光客が「急減」したというのは、事実誤認とまでは言えないものの、錯誤と言えます。
2019年の訪韓日本人観光客は327万1706人です。それを踏まえると、1月実績の43万4429人(13.27%)は「平年並み」であり決して「急減」とは言えないペースです。
これだと単に訪日韓国人と訪韓日本人を人数ベースで比較して「韓国人はこんなに日本に行っているのに...っ!」と言いたいだけに思えてしまいます。観光客は交換制じゃありません。

日本人観光客の減少(ホントは違うけど)の最大の原因として「為替レート」が上げられていますけれど、韓国の「物価高」と日本人の35%が「二度と旅行しない」と答えたのもそれなりに影響高いのでは?と思えます。
コロナにより可処分時間(自由に使える時間)への意識自体が変わった人が多いんでしょうね。




記事へのコメントは459件。反応は「おすすめ:45 いいね:40 感動:19 怒り:1208 悲しい:19」です。

「大統領からして土着倭寇なのに当然のことではないか?
 天皇陛下の皇国市民たちが、とにかくもろ手を挙げて本国に旅行に行って賞賛してお金を使ってあげないと。
 偉大なあなたの本国の国民が卑しい朝鮮に来ればいいのか?
 今後、祝日に日の丸を掛けて君が代を斉唱しハングルの使用も禁止せよ」(共感779 非共感23)
 
「政権が変わってよくなったことは無くすべてが悪くなるのに、それを指摘するマスコミがないね...ww
 パク・クネ政府>>中国人観光客減少
 ムン・ジェイン大統領>>コロナで全世界観光麻痺。
 ユン閣下>>日本さえも減少...。
 上手だね...前政権のときはコロナ前には中国を除いた全世界の観光客が殺到したが...。
 今度の政府は本当に上手だよ...このままじゃ、アルゼンチンまたはフィリピンになりそう...」(共感583 非共感23)

「日本人自体がお金が無くて日本より貧しく物価が安いと思った韓国が日本と物価があまり変わらないからとお金を使えないという。日本人は韓国で何か一つ食べ物を買うのも大変だと思う。それで屋台の食べ物だけを買って食べるのが日本人だ。
 反面、中国人は貧しいようでむしろ金遣いが韓中日の中で一番強い中国中産層以上だけが海外旅行をして韓国観光をしているのでお金を解く使うのに韓国人は嫌中でで中国人が嫌いで中国人たちは日本に行って金を使っていく」(共感438 非共感11)

「物価が日本より高いからね。本当に韓国の物価はやばい」(共感256 非共感3)

「国民もしっかりしろ。海外旅行を減らして。
 いざ、目の前に迫れば気が付くのか。
 政府も国民に警戒心を与えなければならない。
 漠然とした希望的見通しではなく。
 そうでないと第2のIMFに。また大変なことになるだろう」(共感216 非共感11)

「日本人はお金が無い」...うん、それはあるかもしれません。韓国の観光戦略が「安い層」をターゲットに絞っているからですけどね...。

昔の冬ソナとかの頃に熱中していたマダムたちはお金があった人たちでしょう。そのブームが去った後は比較的若い10代~20代前半がターゲット層です。Qoo10なんかで買い漁られている韓国コスメもいわゆる「プチプラ」です。デパコスの高級路線で韓国コスメを日常的に使っている人は見たことありません。
※高級路線も進出はしてきているみたいですが定着しません。課題として「韓国コスメ=若者向けのプチプラ」のイメージが強くついてしまっていることと、日本人向けのローカライズが出来ていないことが上げられます。韓国コスメのファンデは日本人の肌色には明らかに白すぎます。リップの色も、例えば同じピンク系で同じ東アジア圏でも中国、韓国、日本で好まれるトーンが違うんですけど、そういう細かい調整もしません。日本で売れてる海外ブランドって、ちゃんと「アジア人の肌向け」とか「日本限定色」とか展開してきてるんですけどねぇ~...。

コメントに「日本より貧しく物価が安いと思った韓国が~」とありますが、それだけじゃないんです。日本人にとって韓国が押し出しているKpopや韓国コスメが「プチプラ(=安価に楽しめるもの)」なイメージなんです。
なのに韓国旅行が「お手頃価格」じゃないとか、「ショッピング」を観光資源にしているのに現地で買うよりネットでポチった方が安いとか、流通インフラが整うにつれ本末転倒になってしまってる面もあるかと思います。



*1:Numbeo。生活費比較サイト。NYを100として指数化。