韓国家計・企業負債4500兆ウォン...GDPの約2.25倍で過去最大という話

韓国の家計負債、企業債務が過去最大を更新しました。GDPのおよそ2.25倍の4500兆ウォンとなっています。
特に企業の債務では中小企業は減っていますが、大企業は逆に増加率が高く、2021年の第4四半期の増加率が2.5%だったのに対し、2022年の第4四半期は18.2%へと急増しています。

 



ヘラルド経済の記事からです。

家計・企業の借金4500兆ウォン、過去最大


(前略)

韓国銀行が23日発表した「2023年3月金融安定状況報告書」によると、昨年第4四半期の名目国内総生産GDP)対比民間信用(家計負債+企業負債)の比率は225.1%だった。関連統計を作成して以来最高値だった。1年前に比べて6.5%ポイント上昇した。

借金の急増を招いたのは企業だった。企業信用は昨年末2590兆ウォンで、前年末(2355兆4000億ウォン)に比べて10%も急増した。大企業向け融資が急速に増えた。大企業が借りた借金の増加率(前年同期比)は2021年第4四半期の2.5%から2022年第1四半期に7.8%、第2四半期に11.1%、第3四半期に15.0%、第4四半期に18.2%へと急増した。

資産のうち負債が占める企業負債比率も昨年第3四半期基準で84.5%に急騰した。特に中小企業の負債比率は2021年末の54.7%から昨年第3四半期に50.3%に減った反面、大企業はこの期間に81.6%から86.5%に急増した。

韓銀は「主要国の通貨緊縮とSVB破綻など対外要因が国内景気鈍化および不動産市場不振などとかみ合えば外国為替市場変動性の拡大と拡大不良棄権増大などに繋がりかねない」と話した。

韓銀は2020年末以降から非銀行圏が参加したPF事業場の危険水準が高まっていると見た。2022年9月末基準でセマウル金庫*1を除いて集計したノンバンク全体の不動産PFエクスポージャー規模は115兆5000億ウォンと推算される。韓銀は不動産景気の萎縮で事業推進の不確実性が拡大し、売れ残り住宅が増加しPF償還リスクが拡大していると説明した。

行政安全部が共に民主党のオ・ヨンファ議員室に提出したセマウル金庫のPF貸出の一種である管理型土地信託事業費貸出額は昨年末の15兆5079億ウォンで、2019年末の1694億ウォンから9倍以上急増した。関連延滞額も2021年末に60億ウォンから昨年末に602億ウォンへと10倍ほど増えた

韓銀は「市場安定化措置などで金融市場不安は多少落ち着いたが、経済主体の信用危険および対外部門に対する警戒感が増大し、依然として金融不安指数(FSI)は21.8で危険段階水準を維持している」とし「脆弱家計市場に対する選別支援で不良を最小化し、不動産市場軟着陸計画およびSVB事態と不動産PFリスクを点検するなど政策共助を強化する」と明らかにした。



ヘラルド経済「가계·기업 빚 4500조원 사상 최대(家計・企業の借金4500兆ウォン、過去最大)」より一部抜粋

記事のタイトルは家計と企業なのに内容は企業の方しか触れられていませんので、家計負債の状況については別ソースから紹介します。それぞれの記事が情報ソースとしているのは同じ「2023年3月金融安定状況報告書(韓国銀行発表)」です。

 

 



ニューシースの記事からです。

借主100人中9人、月給で「元利金」返せない…全世界2位


(前略)

韓国銀行が23日発表した「金融安定状況(2023年3月)報告書」によると、昨年末基準で全体借主のうち総負債元利金償還比率(DSR)が100%以上の借主が全体の8.8%に達した。これら借主の貸出比重は全体貸出規模の29.4%を占めた。

所得対比全体融資負債の元利金償還比率を意味するDSRが100%を超過するということは、元金と利子を合わせた年間元利金償還負担額が月の所得を超えることを意味する。毎月稼ぐお金を全て融資を返済するのに使っても返済が難しいために延滞の可能性が高い。

昨年末基準で家計貸出借主の平均DSRは40.6%だった。年齢別では60代以上が43.6%で最も高く、40代(42.4%)、30代以下(39.1%)、50代(38.1%)などの順だった。所得水準別では低所得が64.7%で中所得(37.7%)と高所得(39.1%)より大幅に高かった。

(中略)

韓国家計の国際決済銀行(BIS)基準のDSRは昨年第3四半期13.7%でオーストラリア(14.9%)に続き主要国で2番目に高い水準であり、新型コロナウィルス感染症以後の上昇幅(2019年末対比+1.5%ポイント)も最も大きいことが分かった。

(後略)



ニューシース「차주 100명중 9명, 월급으로 '원리금` 못 갚는다...전세계 2위(借主100人中9人、月給で「元利金」返せない…全世界2位)」より一部抜粋

先にヘラルド経済で出てきた数字も、家計負債の数字もあくまで「公式に」統計データがあるものだけです。個々人間の貸し借りやいわゆる「ヤ〇金」など、規制の「外側」にある債務は含まれていません。
他にも、先日紹介したP2Pレンディングの扱いが債務・債権とカウントされているのか、いまいちよく分かりません。
ひとつだけ言えることは、現状すでにデータに表れているだけで相当悪化している家計・企業債務ですが、実態はこれよりも悪いだろうということです。

*1:町内単位で設立される相互金融機関。イメージとして、同じ長屋に住む人たちでお金を出し合う共済組合の大型版。監督機関が金融委員会ではなく行政安全部になるのでここでは集計から外されたと思われる。