銀行圏の不動産関連PFが2年間で58.5%の急増、昨年1年で14.6兆ウォンという話

韓国の不動産PF関連の貸出が昨年だけで14.6兆ウォン、ここ2年の間に58.5%の急増だそうです。
PF(プロジェクトファイナンス)とは、特定事業のための融資を募り、その事業から得られた利益を原資に返済する仕組みです。集められた融資は対象事業でしか使うことが出来ないので、債権保全と言う意味では良い面もあります。

最近の韓国で不動産PFが問題になるのはマンションが売れなくなっているためです。マンション価格は下落しているし、売れる個数も減っているしで、そもそも「売れる」ことを前提に融資を受けてマンションを建設するビジネスモデルそのものが限界に近付いているということです。

 



イーデイリーの記事からです。

5大銀行、昨年の不動産PF貸出14.6兆ウォン...2年間で58.5%急増


(前略)

26日、金融界によると銀行圏の不動産PF貸し出しは2020年以降、不動産市場の活況と低金利環境の中で大きく増えた。

5大都市銀行(KB国民、新韓、ハナ、ウリ、NH農協)の昨年末基準の不動産PF貸出残高は14兆6645億ウォンに達する。2020年末(9兆2532億ウォン)と比べると、2年間で58.5%も急増した。

ただ金融界では第2金融圏よりは状況が良いという診断だ。関連延滞率が0%近く、大部分が先順位保証を土台に貸出が行われたため、主要銀行の場合、PF関連不良危険が直に大きいと見ていない。

それにも関わらず、銀行圏も万が一の不動産PF発金融危機を防ぐため、先制的な管理プログラムの稼動に入った。 危険事前管理の次元で不動産PF市場流動性支援に乗り出しているのだ。

実際、KB金融グループは13日、約5000億ウォン規模の負債担保証券(CDO)発行を通じた不動産PF市場流動性支援方案を出した。CDOは金融会社の貸出債権などを基礎資産としてキャッシュフローを創出する(流動化)派生商品で、今回のCDO発行にはKB国民銀行、KB証券、KB損害保険、KBキャピタル、KB貯蓄銀行などが投資家として参加する。

(中略)

新韓銀行も原材料・人件費上昇で資金調達が困難な再建築事業場などに流動性を支援することにした。今回の支援は新規資金2500億ウォンにブリッジ貸出満期延長3000億ウォンを加えて5500億ウォン規模で行われる。

(中略)

ハナ銀行は不動産PF関連の政府流動性支援プログラムを活用し、市場に流動性を供給し続ける計画だ。ハナ銀行は最近、大田道安地区の都市開発事業関連建設会社保証ブリッジローン4000億ウォンを土地担保融資に転換した。

NH農協銀行も不動産PFに流動性を支援している。特にPF資産流動化企業手形(ABCP)の買い入れを通じて、従来の貸出中心だった流動性供給チャンネルを拡大し、昨年末から現在まで4000億ウォン余りの流動性を不動産市場に支援した。

(後略)



イーデイリー「5대은행 작년 부동산PF 대출 14.6조…2년새 58.5% 급증(5大銀行、昨年の不動産PF貸出14.6兆ウォン...2年間で58.5%急増)」より一部抜粋

先順位保証というのが良く分からないのですが、多分、優先分譲などである程度「枠」が埋まっているということなんだろうと思います。あちらでは先に抽選申し込みで「契約する権利」を取らないといけないそうなので。


記事は、第2金融圏より状況は良いし、PF関連不良危険が大きくないにも関わらず対策を取っている、と言っていますけれども、大手ではないもののつい先日、HN Incという会社がPF関連の債務が滞り法定管理(会社更生法)を申請しました。
恐らくその影響でモニタリングを強化しているんでしょう。地方の中小建設会社の17%は年間の営業利益で利子が返済できない限界企業との分析もあるようですし(参考)。

そうでなくても2年で60%近い増加率はちょっと注視した方が良いように思います。マンション価格が下落しているのも販売数が落ちているのも事実ですから、そのシワ寄せは必ずどこかが受けているはずです。