家計負債、DSR100超過割合8.9%、高リスク世帯1年間で2倍に増加した話

住宅を担保とした融資の延滞額の総額が2021年末と比べて54.7%増の1兆20億ウォンとなりました。こちらは担保がある分まだマシ(?)かもしれません。担保無しの信用貸付は、貸付残高自体は減ったものの、延滞額は増えて初めて2兆ウォン台に達しました。
また、保有資産を全額処分しても債務が完済できない高リスク世帯が61万5000世帯と推算され、これは1年間で2倍に増加した数字です。
DSR100%超過(年収全額ローン返済に費やしても足りない)率は8.9%と推算されました。

このような状況でも韓国銀行は「家計全般の不良危険は低い」との判断です。

 



中央日報の記事からです。

担保のない信用融資延滞史上最高...急を要する貯蓄銀行の管理


(前略)

2021年8月から続いた基準金利引き上げの余波で貸出金利は1年半ぶりに0.5%から3.5%に大きく上がり、延滞率が急騰している。また、資産より借金が多い高危険世帯も同様に急激に増えている。貸出金利がちょうど基準金利だけ上がったとしても全体貸出者が追加で負担しなければならない利子だけで既に数十兆ウォン以上増えたことによる後遺症だ。

26日の国会で、ヤン・ジョンスク議員室によると昨年末、主要金融会社(5大都市銀行貯蓄銀行・保険・与信専門金融会社)の住宅担保融資の延滞額の総額は2021年末と比べ54.7%増の1兆20億ウォンを記録した。不動産価格の下落傾向が続いているのも負担だ。担保が無く損失を金融界がのまま抱え込まなければならない信用貸出はさらに問題だ。信用貸出残高は減ったが延滞額はむしろ大きく増え、史上初めて2兆ウォン台を超えた。市中銀行が危機管理の次元で専制的に信用貸出を減らす中、貯蓄銀行は逆に信用貸出を増やし延滞率上昇に繋がったためだ。

先だって韓国銀行が発表した金融安定状況報告書では保有資産を全て処分しても借金を返済できない高危険世帯が61万5000世帯を超えたと推定した。1年間で2倍に増えた数値だ。また全体家計貸出者の総負債元利金償還比率(DSR)は40.6%で2018年(40.4%)以後初めて40%を超えた。所得の40%を元利金償還に使うという意味だ。さらに追加で借金をしてこそ元利金を払えるDSR100%超過融資者の割合も8.9%に達した。

(中略)

韓国の金融不安指数(FSI)は先月21.8と集計され、すでに5ヵ月間危機水準が続いている。FSIは金融安定に影響を及ぼす実物・金融指標を土台に算出するが、金利引き上げと不動産価格下落に伴う家計負債急増と不動産プロジェクトファイナンス(PF)不良危険が大きくなったためだ。

このような状況でSVB事態のような対外悪材料が襲えば国内金融システムはいくらでも揺れかねない。明らかに見える危機だと安心するのではなく、むしろ予想可能な危険要因を先制的に防御できるきめ細かい対応シナリオを準備しなければならない時期だ。引当金と資本拡充など金融会社の健全性確保が必須だ。



中央日報「담보 없는 신용대출 연체 사상 최고…시급한 저축은행 관리(担保のない信用融資延滞史上最高...急を要する貯蓄銀行の管理)」より一部抜粋

金融で怖いのは一つ崩れると連鎖的に崩れることです。ジェンガみたいに。

記事はそれを見据えて対策すべきだ、と言っているわけですが具体的(?)には「危険要因を先制的に防御」、「引当金と資本拡充」と言っています。実際にコレをやろうと思うとどうすべきだと思いますか?私は「引き剝がし」と「貸し渋り」だと思います。
「危険要因」とはすなわち「高リスク貸出者」のことです。その人たちが限界に達する前に少しでも元金を回収すること。これが「先制的防御」。
引当金」の確保と「資本拡充」は、そもそも「貸さない」という選択。金融機関は中央銀行に預けている口座に預金金利が付きますので預けているだけで「利子」という収益が出ます。高金利のときは有利です。

もちろん、記事にはハッキリとは書かれていません。私の読み方でしょうが、そうとしか受け取れないというか...それ以外に記事が求めるような対策の取りようがあるんだろうか?と疑問というか...。
しかしこうなると、いよいよトドメって気がします。