日韓首脳会談で「日本に先に供与したのに後から受け取れなかった。先供後得の理論は結局、強者のやり方だ。弱者がやっても上手くいかない」的な記事がありました。
また、日韓首脳会談においてはそもそも後から貰えるという「約束」さえ無かった、とも。確かにその通りで、日本の一貫した主張は変わっておらず、日本が譲歩した部分は何もない（＝日本は何も損してない）状況です。
「先供後得」とは勝手な期待の上での話ですし、徴用訴訟に関してはそもそも日本に「供与」されるものなどないし、だから日本が「お返し」する必要もないだけなんですけどね。相手が期待通りに差し出さないと分かるとグチグチ文句を言うという面倒くさい記事です。
ノーカットニュースの記事からです。
日本発の外交失敗津波...ユン、乗り切れるか［韓半島レビュー］
朝日新聞は先月20日、コラムで最近の韓日首脳会談の結果を「ユン・ソンニョル式太陽政策」に例えた。韓国が過去、北韓にとった融和措置を日本に適用し積極的な関係改善を試みているということだ。
金大中政府の太陽政策は「先供後得」（先に渡して後に受け取る）を一つの基調とした。その点でユン大統領の日本に対する先制的譲歩と似た側面があるのは事実だ。
北韓や日本のような気難しい相手との外交では、いわゆる「大局的決断」が必要かもしれない。
（中略）
しかし先供後得は基本的に強者のやり方だ。弱者は強者の約束違反を制裁する方法が無い。しかも、今回の韓日会談では約束そのものが実現したこともない。ただ、日本の善意に任されただけだ。
トランプ時代に北米関係が座礁したのも考えてみれば弱者の先供後得だったためだ。北韓の立場では豊渓里核実験場爆破のような「主導的措置」にも関わらず、米国は相応の措置無しにむしろ敵対視政策を強化したと認識している。
このような事例に照らしてみると、日本が善意で応えてハッピーエンドで終わる童話のような結末は期待し難い。
むろん、米国が介入することは出来る。カート・キャンベル国家安全保障会議インド・太平洋調整官は30日、ユン大統領の対日譲歩について「国際舞台ではあまり見られない勇気」と評価した後「我々は適切（accordingly）関与する」と述べた。日本の反応を圧迫したものと解釈される。
しかし米国に劣らず右翼勢力の顔色を伺わざるを得ない日本政府としては基本的に身動きの幅が制限される。
たとえ遅れて誠意を示したとしても真正性は色褪せざるを得ない。王れた正義は正義ではないように遅い謝罪と賠償はそれだけ価値が落ちる。
過去史に対する真の反省を要求するのは、ただ国家的自尊心のためではない。それは不幸だった過去が繰り返されることを防ぐための最小限の安全装置だ。これは日本が過去史を否定し、その過去史に対する謝罪まで再び否定し、繰り返し信義を破るためだ。
（中略）
ナム・ギジョン・ソウル大学教授は「（韓日首脳会談は）米日同盟を強化するために米国の要請もあるので行ったものであり、韓国が（会談に）入ってくればいいが、日本にとって決定的に重要な意味を持つカードではなかったようだ」と話した。
続いて「この程度なら十分に管理可能とみたようで、ユン・ソンニョル政府が（日本との合意から）離れていくことはないということがほぼ確認されたので、そうする*1のではないか」と付け加えた。
結局、ユン大統領は日本の「恩返し」どころか、これ以上不意打ちを食らわないことを心配しなければならない立場に置かれた。
（後略）
ノーカットニュース「일본발 외교 실패 쓰나미…尹 감당할 수 있나[한반도 리뷰]（日本発の外交失敗津波...ユン、乗り切れるか［韓半島レビュー］）」より一部抜粋
つまり、「日本＝強者」で「韓国＝弱者」だということですね。だから日本より強者の米国を頼ろう、と。
それと同時に「右翼勢力の顔色を伺わざるを得ない日本」は「身動きが取れない」ので「不利なのは日本だ」と持って行きたいようにも読めます。
日本は強者なのに不利なのは日本...でも結局、一番不利な立場なのはユンさん...と、なんだか錯乱気味のようです。
記事では「米国は韓国の味方」的な解釈となっています。「日本の反応を圧迫したものと解釈」とは恐らくそういう意味でしょう。
私はこの部分、「米国はどっちにも肩入れせず適切な距離を保つ」くらいの意味かと思うんですが。そもそも、現時点において韓国は（少なくとも）「安保は米国」とはっきりさせているのですから、この件について韓国に譲歩してやるよう日本を圧迫する必要無いんですよね。
「過去史に対する反省」という点を強調していますが、それであれば「米国」という「外勢」を引き入れて日本をどうにかしようとしている姿勢をこそ過去史に照らして慎むべきでしょう。過去、朝鮮は「日本」と「中国」という「外勢」を引き入れて内部から割かれたんですから。
