政府の「競売中止」要請にも11軒が競売に...内1軒が落札された話

昨日の内容と関連してジョンセ金詐欺関連の話題です。
仁川地域で大量の物件が競売に掛けられることになり、ユンさんが急遽「競売中止」指示を出しましたが、基準がはっきりしておらず実効性に欠けるものでした。そのため、指示翌日の19日(昨日)にも新たに11軒が競売に掛けられ、内1軒が落札されました。

 



東亜日報の記事からです。

政府「競売中止」翌日...ジョンセ詐欺11軒競売


ユン・ソンニョル大統領が閣議でジョンセ詐欺被害住宅に対する競売中断、または猶予を指示した翌日の19日も、仁川では被害住宅11軒の競売が予定通り行われた。

(中略)

この日、仁川地方裁判所の競売法廷ではジョンセ詐欺被害住宅11軒に対する競売が行われ、1軒が落札された。仁川の「ミチュホル区アン洞のマンションのジョンセ保証金6200万ウォンのうち、住宅賃貸借保護法による最小返済金2200万ウォンだけを回収したまま近いうちに家を空けなければならない境遇になった。ジョンセ契約は今年10月まで期間が残っているが競売落札者が1ヵ月以内に残金を払って登記移転を完了する場合、既存のジョンセ契約は効力を失うためだ。

(中略)

政界では根本的な対策として被害者が居住中の住宅を競売落札者に先立って購入できるよう優先買収権を付与する法案推進が検討されている。

(中略)

一方、仁川市によると「建築王」ナム氏の他にも「ヴィラ王」キム某氏など、悪質な賃貸人3人が所有している仁川市内の住宅が3008軒に達することが把握された。このうち2523軒がミチュホル区にあるが先月基準で2479軒の借家人が保証金を返してもらえなかった。

(中略)

19日午前11時頃、仁川市ミチュホル区の仁川地方裁判所競売法廷。ジョイン詐欺被害者のチョ・ヒョンギさん(45)は居住中の家が競売で落札されたという裁判所の通報を聞いてため息をついた。チョ氏は2017年10月、ミチュホル区に5300万ウォンのジョンセマンションを取得し、4年後に賃貸人の要求で保証金を6200万ウォンに引き上げた。しかしこの家は「ミチュホル区建築王」ナム某氏(61)が所有するジョンセ詐欺住宅だった。

(中略)

先月、1億4900万ウォンで競売にかけられたチョ氏の家は一度流札となった。同日、2回目の競売では2人が応札したが、このうち1億1289万ウォンをつけたある不動産コンサルティング会社が落札した。残りの10軒は流札となったが、一度流札となるたびに最低入札価格が30%ずつ下がる。

(中略)

前日、ユン・ソンニョル大統領が直接、競売中止の支持を下したが被害住宅11軒に対する競売が行われたのは、政府が直ちに中断させる方法が無いためだ。

仁川市ミチュホル区のジョンセ詐欺被害対策委員会(対策委)によると、対策委に加入した被害住宅1723戸の債権者の中には農協、信協など協同組合が979件(56.6%)で最も多かった。セマウル金庫が304件(17.6%)、都市銀行が50件(2.9%)の順だった。このように債権者が金融機関である場合、任意で競売を猶予すれば金融債権取り立て業務規程上の職務遺棄に該当するというのが金融界の説明だ。このため、金融監督院がジョンセ詐欺被害住宅の場合、競売を猶予しても処罰しないという公文書を送り20日から競売中断指示が施行されるようになった。しかしこれも協力要請に過ぎず、金融会社が履行するという保証が無い。

(中略)

ジョンセ詐欺被害者は政府が19日発表した競売・売却6ヵ月猶予方針に対して「その場しのぎに過ぎない」として根本的対策準備を促している。対策委関係者は「6ヵ月競売猶予が実質的な解決策にはならない」として「いつか競売が再開されれ、家を出ていくよう要求されれば雀の涙ほどの最小返済金だけを受け取って退去するほかない」と話した。

すでに競売で家が落札された被害者に対する支援も必要だという声も出ている。最近、家が競売で落札されたカン某氏(36)は「すでに家が売れたのに政府が言う競売中断は何の意味もない」とし「借金だけが残っており今すぐ引っ越す費用も足りないのに支援を受けられずにいる」と話した。



東亜日報「정부 “경매 중단” 다음날… 전세사기 11채 경매(政府「競売中止」翌日...ジョンセ詐欺11軒競売)」より一部抜粋

記事内に出て来る被害者のチョさんは、もう一度流札となって価格が下がれば自分で応札する考えもあったそうです。この人の場合、職業が分かりませんが40代ですし、1000万くらいの住宅ローンであれば検討の余地は十分あったということでしょう。

最後に出て来るもう1人の事例では引っ越し費用にも事欠いているようですが、確か引っ越し費用は15万くらいの支援準備がすでに行われています。
それはともかく、「ジョンセ金」という「お金」の被害だけでなく、なんというか「家」そのものを「取り上げられる」という視点が被害者の意見の中に入っているような感じを受けます。ジョンセ金という制度の関係上、自身にもこの物件に対する何らかの「権利」が発生していると考えるのでしょうか?

この記事でも具体的な数字が出てきます。最初は約530万円のジョンセ金、それが4年後(2度目の契約更新?)に約620万円にアップというもの。少なくない額ではありますが、それでも住宅ローンと考えると低いです。
また最小返済保証金として約220万円が取り戻せますので、実質損失は約400万円というところです。詐欺で失えば痛いけれども、正社員として平均的な収入を得ているのであれば、やはり人生積むほどの損失とは思えません。韓国人に貯蓄習慣は無いのでしょうか?


記事の視点は「根本的な解決策」の必要性を強調しています。今現在、苦境に立たされている被害者支援ももちろん大事ですが、新たな被害者が生まれないようにする対策も必要でしょう。そのためには「ジョンセ金制度」に対するメス入れが不可欠に思えます。個人間のお金の貸し借りにするには額も規模も大きすぎます。