ジョンセ金が返してもらえない、いわゆる「ジョンセ詐欺」について何度か取り上げていますが、同じようにジョンセ金が取り返せない状況でも言い様がいくつかあるそうです。
資金繰りが危ないことが明白で、間もなく自己破産の可能性が高い=ジョンセ金を返せない可能性が高いにも関わらず新たに借家人と賃貸契約を結んで(ある意味計画的に)ジョンセ金を受け取ることを「ジョンセ詐欺」。そのつもりは無かったのだけれど、不動産価格が下落したことで値上がることを前提に無理なローンを組んだ投機が破綻してジョンセ金が返せなくなったケースを「乞食ジョンセ(깡통전세)」と言うそうです。「깡통」の本当の意味は「缶詰」なんですけど、なぜか乞食のことをそう呼びます。
この「乞食ジョンセ」として、高リスク危険群が12万1553件、危険群が11万1481件、併せて22万戸以上との集計が出ました。
ノーカットニュースの記事からです。
ソウルのファゴク洞、乞食ジョンセ危機・ギャップ投機1位の汚名
契約満期時に保証金を適時に返してもらえない所謂「乞食ジョンセ」危険群が23万戸以上という分析が出てきた。
正義党シン・サンジョン議員室は国土交通部から2020年1月~2022年8月に提出された住宅資金調達計画書161万件を分析した結果、ジョンセ価格率が80%を超える乞食ジョンセ高危険群が12万1553件と集計されたと21日明らかにした。
ジョンセ価格率が60~80%未満のため今後住宅価格が下落する場合、乞食ジョンセになり得る危険群も11万1481件と集計された。
(中略)
ムン・ジェイン政府時代、住宅価格上昇と新しい賃貸借法施行で住宅価格とジョンセ保証金の両方が急騰し、住宅価格と借家人の保証金の差額だけを支払って住宅を買い入れる所謂「ギャップ投資」が猛威を振るう中で借家人ジョンセ価格率が80%を超える「ギャップ投機」も急増したことが分かった。
住宅価格対比のジョンセ金比率が80%以上の場合は2020年上半期4万1719人から2021年上半期に13万6612人へと1年で227%急増した。特に2020年上半期から2020年下半期までで87.9%増加し、半期の増加率が最も高かった。しかしその後、住宅価格が下落しはじめた2021年下半期からはギャップ投機の数字が前期比30%下がり急激に減少した。
(中略)
彼らの中でジョンセ価格率が80%を超え「ギャップ投機」に分類できる場合は12万1553人で28%を占めた。
(後略)
ノーカットニュース「서울 화곡동, 깡통전세 위험·갭투기 1위 오명(ソウルのファゴク洞、乞食ジョンセ危機・ギャップ投機1位の汚名)」より一部抜粋
ジョンセ価格率とは、ジョンセ金÷住宅価格(時価評価)×100で算出されます。例えば1000万のマンションを600万のジョンセ金で貸す場合、600 / 1000 x 100 でジョンセ価格率は60%となります。
今回の場合、このジョンセ価格率が上がっている原因がジョンセ金の高騰ではなく住宅価格の下落によるものというのを問題視しています。
で、「ギャップ投機」というのは、このジョンセ価格比率が高いのがミソです。例えば1000万で売りに出ている物件の平均ジョンセ金が600万だった場合、購入後すぐに借家人に貸せば実質400万で1000万の家が手に入ることになります(住むのは別の人ですが)。そして契約満了までに住宅価格が上がる(確定事項)ので売ってしまえばいいのです。
ネット上の一部では、韓国人自身がこのカラクリ(=少ない資本金で効率よく稼ぐ方法)を経験的に生み出した、私金融を活発にした、と肯定的に説明しているものがあるのですが、不動産投資はプロの投資家でも難しいものです。今の総崩れは当然の結果のように思えます。しかし恐らく、ギャップ投資・ギャップ投機というものに慣れた人たち、その成功(?)を指をくわえて見ていた人たちは「チャンス」とばかりに狙っていることでしょう。