韓銀「中国リオープニングの肯定的波及効果はまだ不十分。下半期の半導体景気回復は不透明」としつつも「下半期には効果が出て来るので国内景気は大丈夫」という話

韓国の輸出鈍化について、韓国政府や韓国銀行(中央銀行)は「中国がリオープニングすれば回復する」と言い張ってきました。特に何らかの対策を講じることもなく「耐えて待つ」方策です。
関連内容を報じる韓国メディアも、一部では中間財の対中輸出が10年前から減少傾向にあった点を指摘し「半導体好調による錯視効果だっただけで、構造変化は進んでいた」とするものもありましたが、主流は「米中どちらにも韓国は必要だ。だから米中どちらかを選ばなければ上手くいく」でした。

しかし本日、韓国銀行が国会に提出した報告書により中国のリオープニングが内需中心に進んだため、韓国の対中輸出に肯定的な波及効果はまだ起こっていないことが分かりました。また、報告書では中国が国産化努力で自給力が上がったため、中間財輸入の需要回復が遅れていることにも触れています。
そして「下半期に半導体需要が回復すればそれで全て解決する」的なことを言い続けていた韓銀が「思ってたんと違う。分かんなくなったかも」と言い出しました。それでも「国内景気は下半期には大丈夫」と。

 



ニューシースの記事からです。

韓銀「中国のリオープニング・IT輸出不振で景気鈍化が続く」


(前略)

韓銀は8日、国会に提出した「通貨信用政策報告書」で「中国経済の回復がリオープニング(経済再開)以後、内需中心に行われ対中輸出増加を通じた肯定的波及効果はまだ不十分な様子」とし「中国内製造業在庫が依然として高い水準である上に、これまでのサプライチェーン内在化努力で自給率が上昇し、中間財輸入需要の回復が遅れている」と診断した。

産業通商資源部によると今年1~5月の対中輸出額は497億ドルで、前回同期(684億ドル)と比べ27.3%減少した。対中国輸出マイナスは昨年6月から12ヵ月連続だ。対中国貿易収支はこの1年間、昨年9月に6億ドルの黒字を記録したことを除けばいずれも赤字だ。これに伴い韓国の総輸出で中国が占める比重も2021年の25.3%から昨年は22.8%に下がり、今年第1四半期(1~3月)には19.5%にさらに減った。

韓銀は半導体輸出の不振も景気回復の不振要素として指摘した。韓銀によると、韓国経済の主力輸出品目である半導体輸出は。グローバル需要鈍化などに伴う単価下落と物量減少が伴われ、大幅な減少傾向を見せている。国内最大輸出品目である半導体は今年1~4月の輸出額が昨年同期より40.3%減り、先月も36.2%減少した。

韓国銀行は「主要な展望機関は下半期中に半導体景気が反騰すると見通すが、過去に比べて高い在庫水準、高金利持続に伴う耐久財消費制約の可能性などで回復時点に対しては不確実性が高い状況」と評価した。

(中略)

ただし、国内景気は下半期にますます改善されると見通した。韓銀は「中国のリオープニング影響可視化とIT景気回復など、対外条件改善に力づけられ輸出を中心に次第に改善傾向を見せるだろう」とし「高金利と高物価による家計購買力と民間投資余力弱化、不動産景気不振などが成長に対する下方圧力として作用しうる主要リスクの展開様相と、国内経済に及ぼす影響を綿密に点検する」と話した。



ニューシース「한은 "중국 리오프닝·IT수출 부진에 경기 둔화 지속"(韓銀「中国のリオープニング・IT輸出不振で景気鈍化が続く」)」より一部抜粋

結局、「中国リオープニングの効果が出て来るから大丈夫」となっています。うーん...どうでしょう?中間財が国産に置き換わったなら、韓国の中間財輸出が回復するとは思えません。その分も半導体が穴埋めしてくれるから問題ないということでしょうか?

先日、安保戦略研究院が中国に米韓同盟強化を「既定路線として受け入れてもらわなければ」とする報告書を出した件をお伝えしたとき、状況を変える(打破する)ために「私ではなく、周りが変わるべきだ」と韓国は考える、それが外交戦略にも表れている、としました。今回も同じ発想の気配を感じます。