韓国の家計負債がGDP対比100%以下に…でも延滞率は急騰&総額は増えているという話

韓国の家計負債比率がGDP比で3年半ぶりに100%を下回りました。調査対象国34ヵ国中では依然として1位ですが、1年間で2.6%ポイント下落したとのこと。

しかし喜んではいられません。今まで韓国の家計負債は「量は多いが質が高い」と言われていました。これは借り手のほとんどが信用評価点数の高い人たち、つまり延滞率が低いという意味でした。

ところが、最近の高金利傾向を受けて余力のある人たちは返せる分をどんどん返してしまっています。残っているのは返せない人たちであり、それは家計負債の質が低下しているということです。こうした現状が、延滞率の上昇という形で目に見えるようになってきました。

 



ハンギョレの記事からです。

家計負債3年半ぶりにGDP100%以下に…延滞率は急騰


(前略)

9日、国際金融協会(IIF)が公開した「世界負債(GlobalDebt)報告書」によると、今年第1四半期の韓国の国内総生産に対する家計負債残高の割合は98.9%だった。韓国の家計負債比率は2020年第3四半期に100.5%を記録し国家経済規模を超えた後、2022年第1四半期に105.5%で頂点を記録したが3年半ぶりに90%台に下がった。2021年下半期の基準金利引き上げを皮切りに高金利基調が維持され、家計負債のバブルがやや消えた様子だ。

(中略)

しかし、今年第1四半期の韓国の家計負債比率は調査対象の世界34カ国(ユーロ地域は単一統計)の中で最も高い水準であることが分かった。 続いて香港(92.5%)、タイ(91.8%)、英国(78.1%)、米国(71.8%)、中国(63.7%)、日本(63%)などが後に続いた。 負債減少(デレバレッジング)の1次目標は達成したが、依然として主要国に比べて家計負債の危険性が大きいわけだ。

(中略)

安定的な総量管理とは別に家計負債の質がますます悪化している点もやはり通貨・金融当局の課題だ。高物価・高金利の余波で償還能力が大きく落ちた庶民・自営業者などの延滞率急騰傾向が尋常でない姿であるためだ。金融界によると、国内5大都市銀行(KB国民·新韓·ハナ·ウリ·NH農協)で1カ月以上延滞した個人事業者の貸出総額は、今年第1四半期基準で1兆3560億ウォンで、1年前(9870億ウォン)より37.4%急増した。「急な出費」が必要な時によく使われるカードローン・キャッシュサービスなどカード会社の延滞率は昨年末基準で1.63%で前年(1.21%)より0.42%ポイント跳ね上がり、同期間貯蓄銀行の延滞率も3.41%から6.55%へと2倍近く跳ね上がった。「ヘッサルローン15」など限界借主のための庶民金融商品の延滞率(代位弁済率)も昨年20%台を上回るなど大幅な上昇傾向を見せている。

イ・ユンス西江大学教授(経済学)は「総量管理の観点からは目立たない家計負債の質的悪化が深刻な社会問題につながりかねない」とし、「負債総量を安定的に管理するとともに、限界借主の状況を把握し彼らが正常な経済生活から離脱しないよう支援する細心な政策組合が必要だ」と述べた。



ハンギョレ「가계부채 3년 반 만에 GDP 100% 밑으로…연체율은 급등(家計負債3年半ぶりにGDP100%以下に…延滞率は急騰)」より一部抜粋

国際金融協会は毎年韓国銀行の資金循環表の個人負債資料を基準にしているそうなのですが、今回の第1四半期の数値は韓国銀行が現在集計中のため利用できなかったとのことで、関連データからの推定値として出されています。

GDP対比での家計負債の数値は100%を切りましたが韓国銀行が発表した2024年4月の金融市場動向によると、家計融資は逆に増えています。
3月と比べ5兆1000億ウォン増加し、家計負債の総額は1103兆6000億ウォン...歴代最高額です。おかしくないですか? GDP対比で100%を切った、と言っているのに総額はむしろ増えているなんて...。

これは韓国の第1四半期の成長率が想定よりも高かったことと関係します。
第1四半期GDPは、前四半期(2023年第4四半期)比1.3%増、前年同期比3.4%増という好成績でした。輸出が回復したことによる恩恵とされています。輸出の中でも特に半導体によるけん引です。
3月の全体輸出額は565億7200万ドルですが、前年同期比で3.1%増です。でも実は、半導体を除くと逆に3%減少します。
去年4月から今年3月の累積貿易収支は215億ドルの黒字を記録していますが、これも半導体を除くと逆に240億ドルの赤字となります。

つまり、GDP対比で家計負債を見るということは、実は半導体ノイズが掛かった状態と言っても過言ではないということです。
そう、ノイズなんです、半導体は。なぜなら、半導体が伸びれば伸びるほど逆に中小企業は厳しい状況に追い詰められていることが生産指数から伺える(詳しくはこちら)のが現実だからです。