サムスン、ファウンドリ・HBM・折りたたみスマホ…すべてパっとしない話

サムスンが、ファウンドリ市場シェアでTSMCに格差を広げられています。
また、主にAI分野で必要とされるHBM(広帯域メモリ)の分野においても先行企業であるSKハイニックスに追いつける見通しが立っていません。(それどころか下手をすると中国政府に後押しされて開発に着手しているファーウェイにも抜かれるかもしれません)
スマートフォン市場に目を向けると、プルタブルフォン、いわゆる折りたたみスマホでの存在感もいまいちです。
さすがに「サムスンやばいのでは?」という記事がちらほら出てきました。

 



国民日報の記事からです。

ファウンドリ・HBMに折りたたみスマホも...危機のサムスン電子、どうする


(前略)

26日、カウンターポイントリサーチによると、TSMCは今年第1四半期、全世界のファウンドリ売上高62%を占め、シェア1位を記録した。TSMCは昨年第1四半期に歴代最高シェア(61%)を記録した後、50%台に下がったが今年第1四半期に再び歴代最高シェアを記録した。人工知能(AI)半導体市場の急成長が影響を及ぼした。TSMCはAI半導体の収益が2028年までに年平均50%成長するものと見ている。カウンターポイントリサーチは、TSMCのAI半導体パッケージング技術の容量を年末まで倍に増やしたとしても急増する需要を満たすのは難しいと分析した。

サムスン電子は今年第1四半期に13%のシェアで2位を維持したがTSMCとの格差が広がっている。格差は昨年第2四半期の46%ポイントから昨年第4四半期には47%ポイントに大きくなった。 今年第1四半期には49%ポイントに広がった。AI半導体市場でTSMC依存度が高いだけに格差はさらに広がる可能性がある。

サムスン電子はメモリ半導体でもAIブームに乗れなかったものと評価される。サムスン電子NVIDIAに対するHBM3E製品の供給がライバル会社に比べて遅れ危機感が高まっている状態だ。HBM供給契約を通じたメモリ半導体分野の収益性を引き上げる機会を逃したためだ。

(中略)

スマートフォン市場でもリーダーシップの維持が容易ではないという指摘が出ている。サムスン電子は技術競争力で市場を先導すると評価されたプルタブルフォン占有率で「コストパフォーマンス」を前面に押し出した中国業者に押された。市場調査会社のテックインサイトによると、中国のファーウェイは今年第1四半期、全世界のプルタブルフォン市場で前年比257%成長し、サムスン電子を抜いて1位に上がった。同期間、サムスン電子のシェアは25%減少した。

(中略)

サムスン電子は最近「対内外の雰囲気を一新し、半導体の未来競争力を強化する」とし半導体事業のトップを変える人事を断行した。7月にAI機能を搭載したギャラクシーZ新製品シリーズを発表し、プルタブルフォンリーダーシップを強固にするという計画だ。

(後略)



国民日報「파운드리·HBM에 폴더블폰도… 위기의 삼성전자, 어쩌나(ファウンドリ・HBMに折りたたみスマホも...危機のサムスン電子、どうする)」より一部抜粋

2023年9月の時点で報道された内容によると、サムスン電子ファウンドリの2023年第1四半期の市場シェアは9.9%でした。続く第2四半期は11.7%となり、1.8%ポイントの上昇です。
対して、TSMCの第2四半期の市場シェアは56.4%、第1四半期より3.8%ポイント下落した状態でした。
両者の市場シェアの差は第1四半期の50.3%ポイントから第2四半期は44.7%ポイントに減少していることになります。

当時、韓国メディアはこの点を取り上げ、サムスンの市場シェア拡大という解釈のもとTSMCを猛追しているかのように報じていました。
もちろん、すべての韓国メディアがそのように報じていたというわけではありませんが、サムスンの命運は韓国の命運と言っても過言ではありません。まだ「半導体さえ回復すれば輸出が回復する、そうなれば大丈夫」という雰囲気が蔓延していた時期でもありますし、わざわざ不都合な側面を報じるメディアはあまりありませんでした。

しかし、この第1四半期、第2四半期というスケールをもう少し広げてみると...具体的には2年ほど遡り2021年7月時点で見てみると、サムスン電子ファウンドリ市場シェアは17.1%もあったのです。当時、TSMCは53.1%です。
2年でTSMCの市場シェアが3%ほど拡大(53.1%→56.4%)したのに対し、サムスンは-5.4%の逆成長(17.1%→11.7%)となります。

これで見え方はガラリと変わりますよね?サムスンTSMCを猛追しているとはとても思えません。韓国メディアが提示しているデータは決して嘘ではないんですけれどもデータの区切り方やデータに前提をつけることで、見え方を自分たちの希望的観測に寄せようとする傾向がどうしても強いように思います。

本記事で言及した市場シェアの推移を整理しておきますと...

TSMC:53.1%→56.4%→62%(2021Q2→2023Q2→2024Q1)
サムスン:17.1%→11.7%→13%(2021Q2→2023Q2→2024Q1)

このように、TSMCが着実にシェア拡大している一方で、サムスンはまだ2021年水準まで回復していないことがわかります。サムスンの危機はとっくに予兆がでていたということです。