今年5月の韓国の失業率は2.8%と発表されました。数字的に日本とさして変わりません。
ところが、青年層(15~29歳)の正規社員に限ってみると、就業しているのは約235万3000人で、1年前と比べると19万5000人減っています。
60歳以上の雇用が青年層雇用減少をカバーし、失業率が低く出るカラクリですが、この傾向は今に始まったことではなく最近のトレンドです。
全体就業数で見ると5月は2891万5000人で、前年同月と比べ8万人増ですが、青年就業者数に限ってみれば17万3000人減となります。
これに対して韓国政府は対策支援予算を2.7倍にまで増やしているのだそうです。今のところ効果は無いようですが。
ヘラルド経済の記事からです。
予算を2.7倍に増やしたのに...青年雇用の減少、なぜ?
(前略)
政府は今年、人口減少による青年就業者数の減少を防ぐため、関連予算を大幅に増額した。
雇用部の今年の全体予算は前年(34兆9500億ウォン)より1兆2700億ウォン減った33兆6825億ウォンだ。しかし、青年就職支援予算は4463億ウォンで、むしろ前年(1644億ウォン)より2.7倍増やした。
事業別にみると、▷仕事経験の拡大(553億→1718億ウォン)▷青年雇用支援インフラ運営(407億→831億ウォン)▷未来有望分野の高卒人材養成(75億→118億ウォン)▷青年挑戦支援事業(408億→709億ウォン)、K-Moveスクール支援(201億→324億ウォン)などに対する予算が昨年の1644億ウォンから今年は3700億ウォンに計2056億ウォン増えた。ここに空き働き口青年就職支援金、多文化青年対象職業訓練、国家技術資格受験料支援など新規事業を新設し各々499億ウォン、22億ウォン、242億ウォンを配分した。
青年就職支援政策の執行率も無難な水準だ。6月末基準▷仕事経験拡大(執行率65.9%)▷青年雇用支援インフラ運営(69.7%)▷未来有望分野高卒人材養成(63.5%)▷青年挑戦支援事業(86.1%)▷K-Moveスクール支援(69.1%))等が全て60%を上回る。執行率が50%に達しない事業は、国家技術資格受験料支援事業(44.6%)だけだ。
特に中小企業に正規職として就職し3、6ヶ月勤続した青年に各100万ウォン(最大200万ウォン)を支給する「空き働き口青年就職支援金」事業執行率は86.5%に達する。該当事業は政策対象者が2万5000人に過ぎない。2.7倍以上増やした予算でも青年就業者数の減少を防げずにいるわけだ。
雇用労働部の担当者は「青年就業者数が減ったのは80~90%が人口減少効果のせい」と説明した。韓国の15~29歳の青年層人口は2024年現在約784万人で、昨年の790万人対比6万人ほど減ったと推定される。
ただし、減った人口を勘案しても青年就業者数の減少は行き過ぎだという指摘だ。実際、5月には生産可能人口の中で就業者が占める比率を意味する「雇用率」が46.9%で前年より0.7%下落した。ひたすら「休む青年」たちも増えている。5月に「休んだ」と分類された青年層(15~29歳)は1年前より1万3000人増えた39万8000人と集計された。
(後略)
ヘラルド経済「예산 2.7배 늘렸지만...청년취업 감소 왜?(予算を2.7倍に増やしたのに...青年雇用の減少、なぜ?)」より一部抜粋
少し前に少子化対策関連の予算に関する記事がありました。18年間で380兆ウォンという巨額の予算が「少子化対策」に投じられたのですが、これが何の効果も上げられなかったのは最近の韓国の出生率急減を見れば明らかです。
その裏話(?)として低出産高齢社会委員会の元副委員だった人がインタビューで「各省庁は予算を貰うためにあらゆる事業に『低出産』と付ける」と話しました。
政府側も「何もやっていない」と言われるのが怖くて予算を付ける、と。
要するに、事業計画を提出する側は予算を付けてもらうことが目的で、政府の側は予算を付ければ「何かやった気」になるということでしょう。事業そのものの実効性を誰も評価してないんですね。
今回の「青年就職支援予算」についても、全く同じことが起こっているのではないでしょうか?
上半期最後となる6月雇用動向は11日に発表される予定です。