一部の貯蓄銀行が不動産PF不良債権整理の過程で資産運用会社と共謀し、債権を相場より高く売却している事例が確認されました。不動産PF正常化ファンドを活用した方法だったそうです。
まずファンドに資金を投資し、そのファンドに対して帳簿額より高い金額で不良債権を売却、引当金を過剰に還流させ当期純利益として計上していたということです。そして当時に不良債権も処分できているので、6月末の延滞率も2.6%ポイントほど低く出る効果もあったことになります。
韓国経済の記事からです。
不良PF債権「小細工売却」貯蓄銀行・資産運用会社摘発
(前略)
金融監督院によると、サンサンイン貯蓄銀行は今年6月と8月の2度にわたりオハ資産運用の「貯蓄銀行PF正常化ファンド」にそれぞれ908億ウォン、585億ウォンを投資した。その後、該当ファンドに955億ウォン、646億ウォン分の不良債権を売却した。
サンサンイン貯蓄銀行は該当不良債権に積んでおいた引当金の還入などを含め、129億ウォンの純利益を上げたと認識した。その上、不良債権の売却で6月末の延滞率を2.6%ポイント下げる効果も見た。
オハ資産運用は貯蓄銀行の指示を受けて投資を中断するなど、いわゆる「OEM(注文生産)ファンド」を運用してきたことが明らかになった。投資家との裏面契約により投資家の命令・指示・要請などを受けるOEMファンドは資本市場法上禁止されている。
金監院はサンサンイン貯蓄銀行に売却利益の延滞率などを原状復旧するよう措置した。 オハ資産運用にも制裁措置を下す方針だ。
最近、不動産PFの構造調整で貯蓄銀行が不良債権を整理しながらファンドを造成し、不良債権を押し付けかねないという懸念が提起されてきた。貯蓄銀行中央会は今年上半期、2回にわたってPF正常化ファンドを造成した。このファンドでも「自転車取引」という疑惑が提起されるや当局は3次ファンド造成を中断させた。
(後略)
韓国経済「부실 PF 채권 '꼼수매각' 저축은행·자산운용사 적발(不良PF債権「小細工売却」貯蓄銀行・資産運用会社摘発)」より一部抜粋
9月8日にお伝えした「貯蓄銀行の有価証券規模が急激に拡大している」という報道とリンクします。
記事中の「サンサンイン貯蓄銀行」は自己資本が1152億ウォンに対し有価証券が2058億ウォンと、1.8倍の差があると集計されていました。
有価証券規模が過剰拡大している他の貯蓄銀行も似たような状況なのでしょう。当局は是正措置(原状回復)をさせるようですから、そうなれば貯蓄銀行の延滞率は今出ている見かけの数値よりはるかに悪くなる可能性があります。