サムスン、SKの株価が急落…メモリ半導体供給過剰による価格下落→企業実績低下の可能性から、という話

まだまだ暑いですが、暦の上ではもう秋です。
好調だったはずの韓国半導体も夏を終え、短い秋を経て冬に突入しそうな気配がします。

半導体業界、特にメモリ半導体に関して、かつての好調さから一転、今後数年間は不安定な時期に突入するのでは、と見られています。代表的なメモリ半導体であるDRAMとNANDが供給過剰により価格が下落すると予測されており、これにより企業の実績が低下すると見られるからです。
それを象徴するように、モルガン・スタンレーは9月15日、SKの目標株価を従来の26万ウォンから半値以下の12万ウォンへと大幅下方修正しました。このニュースを受けてSKの株は一時10%以上下落し、本日19日には14万ウォン台まで下げています。
サムスンも同様に目標株価が10万5000ウォンから7万6000ウォンへと30%近く引き下げられています。

 



毎経エコノミーの記事からです。

モルガン・スタンレー、SKハイニックスの目標を半分…一時10%台急落


19日午前10時28分基準、SKハイニックスは前日比1万6500ウォン(10.14%)下落した14万6300ウォンで取引されている。同時間、サムスン電子も前日比1600ウォン(2.48%)安の6万2800ウォンで取引している。

これはモルガン・スタンレーが目標価格を大幅に下方修正すると、投資心理が冷めたものと見られる。モルガン・スタンレーは9月15日の報告書でSKハイニックスの目標株価を既存の26万ウォンから12万ウォンに下方修正した。投資意見も「比率拡大」から「比率縮小」に一度に2段階下げた。サムスン電子の目標株価も同様に10万5000ウォンから7万6000ウォンへと27%引き下げた。

モルガン・スタンレーは目標下方の背景として「メモリー半導体市況悪化」を挙げた。DRAM価格上昇速度が鈍化しており、DRAM需要と供給不均衡が発生するものと予想すると伝えた。2025年からはDRAMとNAND平均販売価格(ASP)が下落するだろうとし、これに伴い実績成長が鈍化すると予測した。

(後略)



毎経エコノミー「모건스탠리, SK하이닉스 목표가 반토막…한때 10%대 급락(モルガン・スタンレー、SKハイニックスの目標を半分…一時10%台急落)」より一部抜粋

モルガン・スタンレーはSKについて「今や私たちが扱うグローバルメモリー株式の中で最も好まれない銘柄」とまで言っているそうです。

DRAMやNANDがダメでも韓国にはHBM(高帯域幅メモリ)関連の「超技術格差」があるはずですが、そちらがどうなっているかというと、同じく毎経エコノミーの別記事で触れられていますので、こちらも紹介しておきます。

「13万電子」と叫んで…証券街ではふたたび「サムスン電子危機論」


(前略)

一部では、サムスン電子半導体事業の中核として浮上したHBMも、ただ良い状況ではないと見ている。人工知能(AI)バブル論が続いているためだ。HBMの需要はAI加速器市場の状況によって決定される。

6月、ゴールドマンサックスは「Gen AI:too much spend、too little benefit?」報告書を出し「ビッグテックのAI投資成果が微々たるものだ」と憂慮した。最近、モルガン・スタンレーも「高点に備えよ(preparing for a peak)」とAIバブル論に火をつけた。

早くからこのような懸念を目標株価に反映した証券会社もある。iM証券(旧ハイ投資証券)は今年8月の報告書でサムスン電子の目標株価を10万1000ウォンから9万7000ウォンに下方修正した。レポートを作成したiM証券のソン・ミョンソプ・アナリストは「HBM競争が深刻化すると予想する」として「サムスン電子NVIDIA向けHBM3E出荷の可能性が高くなったのは事実だが、2025年HBM需給鈍化の可能性が存在する」と話した。

ソンアナリストは該当報告書で具体的な数値も提示した。今年のHBMの最大需要量は8.8億GB水準だが、HBM3社(サムスン電子、SKハイニックス、マイクロン)の生産計画は13.8億GBに達し、需要を上回るという。ソンアナリストは「今年SKハイニックスの供給量だけで需要を全て充当できたNVIDIAサムスン電子のHBM3E製品を本格的に購買し始める場合、HBM部門が競争深化と供給過剰状態に入るものと見られる」と説明した。



毎経エコノミー「‘13만전자’ 외치더니…증권가선 다시 삼성전자 위기론(「13万電子」と叫んで…証券街ではふたたび「サムスン電子危機論」)」より一部抜粋

HBMもDRAMやNAND同様「供給過剰」状態に陥るというわけです。
マイクロンはともかくとして、SKとサムスンは同じ韓国企業同士で一つのパイを奪い合っていることになります。しかも、それが韓国の輸出産業の中核産業です。韓国経済全体へも影響するでしょうし、ただでさえ足りてない韓国の国税収入(法人税収入)にも影響します。