韓国の政府負債が歴代最高水準に達し、財政リスクが懸念される状況にあります。国際決済銀行(BIS)による最新の報告によれば、2023年の第1四半期末における韓国のGDPに対する政府負債比率が45.4%となり、1990年にBISが関連統計を提供し始めて以来、過去最高を記録したとのことです。ユン政権は発足当初から財政健全化を唱え、色々出し渋っているようでしたが成果はイマイチだったようですね。
また上昇速度も速く、2020年第1四半期に40%を超え、45%を超えたのは今年の第1四半期、わずか4年です。
毎日経済の記事からです。
BIS、韓国の借金また警告「GDP対比負債比率最高」
(前略)
20日、国際決済銀行(BIS)によれば韓国のGDP対比政府負債比率を意味する「政府部門マクロレバレッジ」は3月末基準で45.4%と集計された。該当数値が45%台を超えたのは今年第1四半期末が初めてで、BISが関連統計を提供し始めた1990年第4四半期末以後の最高値だ。
BIS基準マクロ・レバレッジは、国際通貨基金(IMF)や経済協力開発機構(OECD)基準で非営利公共機関と非金融公企業を除いた狭義の国家債務水準を示している。この基準によるGDP対比政府負債比率は2020年第1四半期末40.3%で初めて40%台を越えた後、傾向的に上昇曲線を続けてきた。
2022年第3四半期末には41.2%まで下がったが、同年第4四半期末には41.5%に反騰し、昨年第1四半期末には44.1%、第2四半期末には44.2%、第3四半期末には43.1%、第4四半期末には44.0%と横ばいだった。
(後略)
毎日経済「BIS, 韓 나랏빚 또 경고 "GDP대비 부채비율 최고"(BIS、韓国の借金また警告「GDP対比負債比率最高」)」より一部抜粋
民間がシンドイときほど国の頑張り時、というのは自論ですが、これは国内向けの話でもあります。民間に対して、国が全力で支えるという、ある種の意思表示をして信頼してもらわないといけないからです。
しかし、外向きに対してはそれだけでは不十分です。市場が「あれ、韓国ってやばくね?」となって資金を引き揚げ始めたら、ハードカレンシーを持たない韓国政府に韓国経済は支えきれません。
恐らく、ユン政権はそれが分かっていて何とかしたいのでしょうけど、今の所なんともなってなさそうですね。
まあ、不動産PFを軟着陸させると言って情報を小出し小出しにすることで「危機説」を否定してみせたり(発表のたびに規模も延滞率も増えていく。そのうち慣れてマヒする)、DSR規制を直前になって2ヵ月延長してFRBの金利引き下げまで粘ってみたり…これは韓国銀行が追随して即金利を引き下げることを期待する狙いがあったのだろうと思うのですが...この程度のその場しのぎ(と書いて「軟着陸」と読む?)しか出来ていない時点で、ユン政権の実力はお察しな気がしないでもありません。
今の韓国銀行の総裁は割と真っ向から、こうした韓国政府の経済政策を批判していて、政府負債に警鐘を鳴らしています。財政赤字が長期化すれば経済成長に深刻な影響を与えるだけでなく、社会保障と公共サービスへの負担も増加するからです。韓国は日本以上の速度で少子高齢化が進んでいますから、今後、社会保障費問題は日本以上に深刻になってくるはずです。
結果的に財政赤字の長期化は国民生活に大きな悪影響を及ぼす可能性があるとして韓国銀行は韓国政府に対して緊急性の高い問題として対応を促しています。
結局のところ、ユン政権では力及ばず感が強いですが、これで次の政権が左派に移ったらもっとスゴイことになる気がします。