日本で品種開発されたシャインマスカットがどういうわけか韓国と中国で栽培されていることは周知かと思いますが、いまや韓国のブドウ農家のほとんどは既存の品種では無くシャインマスカットに乗り換え済みだとか。
韓国の輸出するブドウのおよそ9割がシャインマスカットだといいますから偏重具合が伺えます。
ここでもまた一極集中化が起こっていて、つまりはシャインマスカットがコケたらみんなコケるということです。
2021年には中国に対して830万ドル売れていた韓国産ブドウが、去年は138万ドルしか売れなかったことが分かりました。
原因は、中国国内でのシャインマスカット生産が増えたからです。中国のシャインマスカット栽培面積はおよそ800万キロ㎡で、韓国の10倍を超える栽培面積なのだそうです。
とはいえ、韓国のブドウ輸出金額だけを見ると去年は461万ドルと増えています。対中輸出が減少した分、台湾への輸出が2年で20倍に増加しているのだそうです。
これで「良かった良かった」とはなりません。物量と低価格攻勢は中国の得意分野です。専門家いわく、今後は「品質向上」が課題だそうです。
MBNの記事からです。
「貴族の果物」と呼ばれた韓国産シャインマスカット、中国で人気低迷
(前略)
今日(22日)関税庁の輸出入統計によりますと、去年韓国が中国に輸出したブドウは138万ドル(およそ18億4千万ウォン)分で、前の年(273万ドル)より49%減っています。
韓国の対中葡萄の輸出額は2017年までは10万ドルに満たなかったですが、2018年には162万ドルと、1年間で16倍以上に増えた後、2021年には834万ドル(約111億ウォン)でピークに達しました。
2021年と比べると、わずか2年でブドウの輸出額が6分の1水準に急減したのです。
韓国が輸出するブドウ全体でシャインマスカットの割合は去年基準で91%で大部分を占めています。
中国で韓国産のシャインマスカットは中国産より値段が何倍も高いものの、高品質で人気を集めました。しかし、中国でもプレミアム等級と1等級品質のシャインマスカットを栽培する農家が増え、韓国産は急速に押し出されています。
中国現地のメディアによりますと、中国国内でシャインマスカットの栽培面積は去年基準で120万苗(およそ800㎢)で、2013年に比べて60倍に増えています。 韓国の10倍を超える水準です。
(中略)
ただ、韓国の全体のブドウ輸出金額は2021年の386万ドルから2022年には343万ドルに減っていましたが、去年は461万ドルに再び増えました。
台湾が中国の空席を埋め、香港とベトナムを抜いて韓国産シャインマスカットの最大市場に急浮上しました。
台湾に輸出された韓国産ブドウは去年1068万ドル(約143億ウォン)に上ります。 2021年だけでも51万ドルでしたが、2年で20倍に急増しました。同期間、韓国産ブドウの輸出額で台湾が占める割合は1.4%から24%に高くなりました。
韓国産のシャインマスカットは東南アジア市場で日本産、中国産と競争していますが、価格はこれらの国の中間水準です。
専門家たちは長期的にシャインマスカットの輸出を拡大するためには、品質を向上させることが最大の課題だということに声をそろえています。
国内消費者の間でもシャインマスカットの栽培が増え、糖度が落ち、皮も堅いという不満が多い状況です。
(中略)
MBN「'귀족 과일'로 불리던 한국산 샤인머스캣, 중국서 인기 주춤(「貴族の果物」と呼ばれた韓国産シャインマスカット、中国で人気低迷)」より一部抜粋
2017年から2018年のわずか1年で16倍ですから、シャインマスカット効果はすごかったんですね。
記事内では「どこから」「どうやって」シャインマスカットがやってきて、韓国で栽培されることになったのか一言も言及がありませんが、コメント欄を見ると韓国人もちゃんと知っているようで、「言葉で反日を叫びながら口の中に入るのはまだ親日」というものがありました。
日本から苗をパクッてきたことまで知っているかはわかりません(ロイヤリティを支払っていると誤解しているかもしれません)が、まあ、仮に知ったとしても恐らく「悪いこと」とは認識しないんじゃないでしょうか?
シャインマスカットは本来皮ごと食べられるはずですが、「韓国産」シャインマスカットの皮が硬いのは本当らしく、コメント欄でも指摘がありました。
一言で「品質向上」といっても、土壌から作るのですから一朝一夕ではできません。すでにルビーロマンは渡っているようですし、乗り換えた方がお手軽でしょう。
正直、シャインマスカットやらルビーロマンやらが「盗まれた」ことに関しては、腹が立つというより呆れの方が強いです。生産者さんには申し訳ないですが。