ディスカウント・コリアを解消するとして始まったバリューアッププログラム、その一環として今月24日に韓国取引所は「コリア・バリューアップ指数」なるものを発表しました。日本のJPXプライム150をベンチマークした指数らしいです。
ただ、この「コリア・バリューアップ指数」への編入基準がどうもあやしくて。
韓国取引所は「市場代表性、収益性、株主還元、市場評価、資本効率性」の5つの要素を考慮したとしているのですが、実際には時価総額とPRB(株価純資産倍率)とROE(自己資本利益率)の3点が重視されており、株主還元性はほとんど考慮されていないらしいということが分かりました。
マネートゥデイの記事からです。
株式市場の専門家たち、取引所のバリューアップ指数に首をかしげる
(前略)
韓国取引所は24日、「コリアバリューアップ指数」を発表した。しかし市場では該当指数が真に株主価値向上に努める企業を編入したのかに対する疑問が引き続き提起されている。
取引所はバリューアップ指数編入基準で市場代表性、収益性、株主還元、市場評価、資本効率性など5つの要素を考慮したと明らかにしたが、事実上△時価総額△PBR△ROEなど定量的要素が主要判断基準として作用したことが分かった。株主還元にどれほど真正性があるかを問い詰めるより、PBRとROE値を満たしたかどうかに傍点が付けられたわけだ。
数値に焦点が合わされたため株主還元の可能性が高い企業がバリューアップ指数から排除される現象も現れた。最近、積極的に株主還元の意思を明らかにしたKB金融とサムスン生命は、2022年から2023年の間、低いPBRを記録したという理由で指数に編入されなかった。同様に株主還元の面で優秀な面を見せていたSKテレコムも排除された。
一方、依然として実績が振るわないNCソフトと最近、支配構造再編過程で雑音を起こした斗山ボブキャットは含まれた。バリューアップ指数は配当性向の面ではKOSPI200を小幅に上回ったが、配当収益率は2.2%でKOSPI200(2.3%)に比べて低かった。
iM証券のイ・ウンチャン研究員は「指数の銘柄選定方式が高PBR、高ROEで単純に決定され、政策方向に符合しようとする企業の努力が評価されないという限界点が見える」として「規模や比率ではなく施行可否だけで基準が設定され株主との疎通努力、支配構造改善意志のような定性的要因も評価されにくくなった」と分析した。
(後略)
マネートゥデイ「주식시장 전문가들, 거래소 밸류업 지수에 갸우뚱 갸우뚱(株式市場の専門家たち、取引所のバリューアップ指数に首をかしげる)」より一部抜粋
記事は「コリア・ディスカウント解消のためには何よりも株主価値の向上そのものに集中すべきだ」との視点で書かれているのでこうした書き方になります。確かに、企業が企業価値向上のホワイトペーパーなりロードマップなりを示して、それを込みで株価が評価されるのが自然と言えば自然です(株価は未来の実績期待を織り込むので)。
しかし、一体どれだけの企業がいわゆる「バリューアップ計画」を発表したのでしょうか?この計画表が無いと、企業努力を評価しようにも評価しようがありません。記事では一言も触れられていませんが、少なくとも一カ月ほど前の8月下旬の時点では20社に満たない企業しか発表していなかったはずです。
別に韓国取引所をかばうわけではありませんが、選好基準を「統一」するにあたって、PBRやROEなどの既存の実績数値しか手に入らなかったのではないかと、そんな気がします。