同期間、韓国市場は-9.5%・米国市場は+11%という話

年初から今年9月まで、韓国市場に投資した人と米国市場に投資した人とで口座推移を分析した結果、韓国市場に投資した場合だと-9.5%の損失を、米国市場に投資した場合だと+11%の利益を上げていることが分かりました。
そりゃ、みんな韓国市場から抜け出すよ、という話なのですが、問題は「なぜ」そのように明暗が分かれたのか?というところです。なかなかその辺りまで突っ込んでいる記事には出会えません。
今日、紹介する記事も別に突っ込んだ分析を行っているわけではありません。ただ、数字の推移が分かりやすかっただけです。

 



ソウル経済の記事からです。
記事のタイトルを一部意訳しています。「韓国市場」と訳した部分は直訳すると「国場(国内市場の略)」となるのですが、日本語ではあまり一般的な表現ではないので変えています。

韓国-9% vs 米国+10%...アリ、「韓国市場脱出」には理由がある


(前略)

9日、ソウル経済新聞がNH投資証券に依頼し今年9月まで国内証券市場に投資した約297万人、米国証券市場に投資した67万人の口座を分析した結果、韓国証券市場では-9.45%の損失を、米国証券市場では10.94%の収益を上げたことが分かった。実際、コスピ・コスダック指数の収益率は凄惨だ。コスピは昨年12月28日基準で2655.28から先月末基準で2593.27で同期間に2.34%下落した。ナスダック指数を標榜したコスダック指数は同期間、866.57から11.85%減の763.88へと急落した。

(中略)

一方、米国代表指数は一斉に10%以上急騰した。ダウ・ジョーンズ30産業平均指数は昨年末比12.31%増加し、スタンダード・アンド・プアーズS&P)500指数は20.81%、ナスダック指数は21.17%上昇した。

(中略)

市場の内外ではサムスン電子(005930)の人工知能(AI)バリューチェーン(価値連鎖)の疎外、不確実性を増大させた金投税の猶予などを証券市場低迷の主な要因として取り上げている。AI産業を主導している米ビッグテックのバリューチェーンに乗り込んだ国内企業は、NVIDIAに高帯域幅メモリ(HBM)を供給するSKハイニックス(000660)が事実上唯一だ。サムスン電子NVIDIA向け第5世代高帯域幅メモリであるHBM3Eの納品も期待されたが、引き続き遅れているのが現状だ。

(中略)

業界関係者は「AI産業が大きくなりメモリの地位も強化されているが、サムスン電子はむしろこの機会を逃している」として「これが韓国証券市場劣勢の一要因として作用しているのが事実」と話した。

(中略)

中国証券市場が終盤にスパートをかけるのも投資家の立場では虚脱感を生む。バリューアップにもびくともしない韓国証券市場とは確実に対比されるためだ。証券街では、中国内需経済の活性化が韓国企業の輸出増加につながるいわゆる「落水効果」よりは、需給の偏り現象で韓国証券市場に悪材料になるという評価が優勢だ。 ある大手証券会社の役員は「外国人投資家が連日韓国株を売っている状況で、中国が景気浮揚策を出して韓国証券市場に対する投資心理がさらに悪化する恐れがある」とし「(金投税施行猶予などの決定は)すでに期を逃したが、それでも不確実な税金問題を早く解決しなければならない」と批判した。



ソウル経済「한국 -9% vs 미국 +10%…개미들 '국장 탈출' 이유 있다(韓国-9% vs 米国+10%...アリ、「韓国市場脱出」には理由がある)」より一部抜粋

恐らく、韓国メディアにとっては当たり前過ぎて疑問にすら思えないのでしょうが、サムスンが少し思わしくない程度で韓国経済全体に影響が出すぎという構造を、そろそろ疑問視した方が良いと思います。
(メモリ)半導体以外に買うものが無いから(メモリ)半導体の先行きが不確実な間は資金を抜いておこう、となるのでしょう。ショッピング以外はすることが無いからと、観光客がソウルに一極集中してリピーターが少ない韓国観光業とどことなく似たものを感じます。

それはともかく。
そういえば、韓国が長年目指してきたWGBI(世界国債指数)への編入が決まったようです。もちろん、課題はありますけれども。
韓国メディアはこの指数を「先進債権指数」などという意味不明の呼び方をしてたりします。韓国政府も韓国メディアもここにさえ編入されれば市場先進国として信用はバッチリなのだから、海外からの投資がジャンジャカ入ってくる、と前々から皮算用しています。
具体的には、WGBI編入による投資資金流入額は最低でも560億ドル(約75兆ウォン)と試算されており、韓国政府の年間国債発行額に匹敵する額の流動性が確保できるとしています。(海外から投資金が入ってくるということは、ドルが入ってくるということなのでドル売り・ウォン買いが起こるので、通貨安の歯止めになるとの期待も大きい)

バリューアップはいまいちパッとしませんでしたが、今度はどうでしょう?期待通りに行きますでしょうか?見ものです。