制度圏最後の砦が2022年、申込者のおよそ8割に融資を断っていた話

韓国の第1金融圏(銀行圏)が貸出基準を厳しくする前から既に第3金融圏では事実上融資が受けられない状態が続いていました。
第3金融圏は日本だと消費者金融に該当します。合法金融の一番外側ですね。銀行圏で融資を受けられない低信用者の最後の砦でした。そこが貸し出しを渋るのは、2021年7月1日から法定最高金利が20%に引き下げられた影響が大きいとされています。金利の上昇で資金調達に掛かるコストは上がったのに、貸出で得られる利益(法定金利)は引き下げられたからです。

これにより困るのは融資が受けられなくなった人たちです。少し古いデータですが、2022年には申込者のおよそ8割が融資を断られていたのだそうです。
こうした人たちが私金融(サグミョン)と呼ばれる不法な貸金業者に相当数流れている可能性は前々から指摘されていましたが、具体的にどの程度の規模の人が合法金融圏から取りこぼされてしまっているのかは分かりません。以下で紹介する気に記事にも「5万から9万人」との推算値が出てきています。しかし、貸付業者が融資を断った人数(これはハッキリ分かっています)に対して少ないような気がしなくもありません。

 



韓経ビジネスの記事からです。

「融資が下りず」...「不法私債」に追い込まれる庶民たち


(前略)

19日、コリアクレジットビューロー(KCB)の「金融圏別債務現況」資料によると、全体貸金業圏貸出残額は7月末基準で22兆7888億ウォンで、2021年末(30兆4108億ウォン)と比較して25%(7兆6219億ウォン)程度減った。法定最高金利(20%)上限による資金調達負担に高金利基調が重なり、逆マージンを憂慮した貸付業界が低信用者に対する貸出をなかなか実行しなかったためと分析される。

貸付業は金融委員会が定めた法定最高金利に従って、年20%金利内で事業を営む。「不法私金融」とは違いがある。不法私金融は法定最高金利を守らないところがほとんどだ。

(中略)

貸金業の利用者数も減った。金融監督院によると、昨年末基準の貸付業利用者数は同期間72万8000人と集計され、昨年6月末の84万8000人に比べ12万人(14.2%)減少した。2021年には貸金業利用者数は112万人に達したが、以後持続的に減少した。

しかし、制度圏の最後の砦である貸金業者から融資を断られた彼らは、不法私金融に押し出されていることが分かった

金融消費者学会が8月に発表した「韓国庶民金融の現況と発表」を見てみよう。2021年、貸付業者に融資を申請した104万7000人のうち69%の72万7000人が融資承認を断られた。法定最高金利が引き下げられた翌年の2022年には、111万人のうち78%である86万1000人余りが融資を受けられなかった

不法私金融移動人員数は2020年の2万7000人から2022年は3万3000人増えたと推算される。

庶民金融振興院も6月に発表した「低信用者(貸付業・不法私金融利用者)および優秀貸付業者を対象にアンケート調査分析」報告書を通じて、昨年貸付業者から不法私金融に移動した低信用者(6~10等級)が少なくとも5万3000人、最大9万1000人に達すると推算した。

(中略)

事情がこうなので、不法私金融市場の規模は毎年増えている。 金融監督院の2017~2022年の不法私金融市場の実態調査によると、2017年に52万人と推算された不法私金融利用者数は2022年に82万人と2倍近く増加した。



韓経ビジネス「"대출이 안 나와서"...'불법 사채' 내몰리는 서민들(「融資が下りず」...「不法私債」に追い込まれる庶民たち)」より一部抜粋

2022年に合法圏内の貸付業者から融資を断られた人が約25万人いるわけですが、このうち不法私金融に流れた人数として、記事では「2022年は3万3000人」と推算されています。およそ8分の1水準に減っているわけですが...残りは一体どうなったのでしょう?