韓国のバリューアッププログラムに水を差すようなことが起こりました。
高麗亜鉛という精製亜鉛の大手企業が既存の株主に一切の告知無しに突然、新株発行計画を出したのです。しかも、大幅な割引価格で。
規模は発行済み株式の約18%に相当する373万株、価格は1株67万ウォン前後とされています。29日の終値より57%も安い価格です。(新株の20%は従業員に割り当てられるとも)
このことを嫌気してか30日の市場で高麗亜鉛は30%安、時価総額にして70億ドル(約1兆円)が吹き飛びました。
韓国が推進しようとしているバリューアッププログラムは、株主への利益還元を拡充することで韓国株を「正当に」評価してもらおうという趣旨だったはずですが、今回の高麗亜鉛は完全に株主を軽視していると受け取られても仕方ないでしょう。
韓国経済の記事からです。
「バリューアップではなくバリュー破壊」 高麗亜鉛の足首掴んだ「爆弾増資」
高麗亜鉛が2兆5000億ウォン規模の一般公募有償増資を奇襲発表し、資本市場も大騒ぎになった。支配構造諮問業界と行動主義業界は今回の増資が「バリューアップではなくバリュー破壊」として直撃発言を吐き出した。
31日、韓国企業ガバナンスフォーラムのイ・ナムウ会長は論評を通じて「高麗亜鉛の今回の新株発行決議は株主にメガトン級衝撃」とし「会社の主人が株主だと考えるならばとうてい考えられない発想であり、株価墜落で見るように資本市場撹乱行為だと判断する」と明らかにした。
(中略)
続けて「高麗亜鉛だけの問題ではなく国際金融市場で韓国企業に対する否定的な認識を育てることが憂慮される」と付け加えた。
(中略)
MBKパートナーズと永豊連合が法的に欠陥が多い有増だとし、直ちに反発に乗り出した中、高麗亜鉛側は適法な手続きだとし、これを否認している。
(中略)
手続き自体は問題がなくても自社株公開買収を進めていたところ、有償増資を準備した情況が捕捉され資本市場法違反の素地が大きいという見方も出ている。高麗亜鉛有増主管を引き受けた未来アセット証券は自社株公開買収が真っ最中だった14日から実態調査作業に着手した。11日に提出された訂正公開買付申告書にはこのような内容が予告されていなかった。資本市場法の専門弁護士たちは、この部分で資本市場法上の不正取引疑惑が提起される余地が大きいと見ている。大規模な有増が市場混乱を招く可能性が高いということを認知しているにもかかわらず、故意に記載しなかった可能性があるということだ。
金融監督院も同日、緊急ブリーフィングを通じて資本市場法違反の可能性を検討すると明らかにし緊張感を高めた。金融監督院のハム・ヨンイル副院長は「公開買収期間中に有償増資を同時推進した経緯など具体的な事実関係を調べ、不正な手段計画や位階を使う不正取引など違法行為が確認される場合、高麗亜鉛だけでなく関連証券会社に対しても厳重に責任を問う」と話した。
(後略)
韓国経済「"밸류업이 아니라 밸류 파괴" 고려아연 발등 찍은 '폭탄 증자'(「バリューアップではなくバリュー破壊」 高麗亜鉛の足首掴んだ「爆弾増資」)」より一部抜粋
不正は無かったかもしれません。違法では無かったかもしれません。高麗亜鉛側は「巧くやった」と思っているかもしれません。
でもそれって、「今は」よくても二度と同じ手は使えませんよね。だって、市場は「韓国企業のやり口」として見ていますから。