韓国雇用情報院が、過去の青年雇用の実体と2021年との動態調査に関する報告書を公開しました。
目を引く部分として、製造業就業者が減少(22%→15%)し、宿泊・飲食業(5.1%→12.1%)が増加しています。
報告書はこの部分を「宿泊、飲食店業は賃金水準・安定性が低く相対的に質が低い働き口と評価される」とし、「良質の働き口就職が難しくなったことを示している」としています。
一方で、賃金に対する満足度は半分を超える55.7%が「満足」と回答しています。
聯合ニュースの記事からです。
「青年層、良質の雇用探しは難しい…宿泊飲食店・小規模事業に就職↑」
(前略)
韓国雇用情報院は2001年、2007年青年パネル調査と2021年青年パネル調査を比較した「青年パネル調査深層分析 - コホート変更にともなう変化」報告書を10日公開した。
(中略)
先ず2007年と比べ、2021年青年就業者の産業分布は宿泊飲食店業と卸小売業の比重が大幅に大きくなった反面、製造業と教育サービス業の比重は大きく落ちた。
宿泊飲食店業は5.1%から12.1%、卸小売は16.6%から19.0%に増加したが、製造業は22.0%から15.2%、教育サービス業は10.3%から6.9%に下がった。
これに伴い、産業別就業者比重も2007年には製造業が1位、卸小売が2位だったが、2021年には2つの産業の順位が逆転した。 宿泊飲食店業は中位圏から3位に跳ね上がった。
これに伴い、職業別でも宿泊・飲食・美容職種の比重は7.2%から15.7%に2倍以上になったのとは異なり、設置・整備・生産職の比重は15.3%から9.0%に減った。
地域別では首都圏偏重現象が深刻化した。
2007年にはソウル(27.1%)と京畿(18.8%)で就職した割合が45.9%だったが、2021年にはソウル(29.1%)、京畿(24.7%)の割合が53.8%で半分を越えた。
2001年と2021年を比較した時、1~4人と5~9人など小規模事業体に就職した比重は各20.7%、13.9%から24.2%、18.1%に増えたが、これより大きな規模の事業体は全て減った。
報告書は「宿泊、飲食店業はまだ賃金水準が低く働き口安定性も落ち相対的に質が低い働き口と評価される」とし、「(小規模事業体就職が増えたこともまた)良質の働き口就職が難しくなったことを示している」と分析した。
2021年に大学を卒業した後、就職状況も2007年と比べて全般的に悪くなった。
大学卒業後に働き口に就職する比率は2007年88.1%から2021年81.4%に低くなり、卒業後の就職期間は2007年10.5ヶ月から2021年12.1ヶ月に1.6ヶ月増加した。
(中略)
ただし、全般的な現在の働き口満足度と賃金満足度は高まった。
特に2001年には賃金に満足するという比率が19.0%に過ぎなかったが、2021年には55.7%で半分以上が賃金に満足していると答えた。
報告書は「勤労契約書作成、最低賃金引き上げと認識改善、勤労時間制度変化などで常用職勤労者比重が大きくなり賃金が増加し勤労時間もまた多く減少したため」と分析した。
雇用情報院が今回の報告書と共に公開した「青年パネル2021 2次(2022)調査基礎分析報告書」によれば、2022年基準で青年就業者が受け取る平均賃金は253万3千ウォンだった。
(後略)
聯合ニュース「"청년층, 양질일자리 찾기어려워…숙박음식점·작은업체 취업↑"(「青年層、良質の雇用探しは難しい…宿泊飲食店・小規模事業に就職↑」)」より一部抜粋
賃金満足度が19%→55.7%はスゴイですね。ムンさんの最低賃金アップの効果でしょうか?
しかし、この結果は報告書の分析と矛盾しているように思えます。
相対的に条件の良くない働き口(=雇用の質が悪化)しているのに、賃金に関しての満足度は上がっています。満足しているのは賃金に関してだけ、という可能性はありますが、それにしても19%→55.7%という伸びは無視できないものがあります。
また、平均賃金を見てみると253万3千ウォン(男性265万6千ウォン、女性241万8千ウォン)...日本円に直すと27万7千円くらいでしょうか。恐らく税引き前の賃金なので、ここから色々天引きされて日本の場合だと手取りは21万ちょっとになります。
韓国の場合、手取りがいくらになるのか分かりませんが、少なくとも日本では賃金に満足と答える比率はもっと下がりそうです。
やっぱり報告書の分析にスッキリしないものを感じます。