10月に韓国銀行は政策金利を3.50%→3.25%に引き下げました。政策金利はローンや預金金利の基準になるので、普通ならこれらも連動して下がります。
しかし今、韓国では預金金利は下がるのにローンの金利は上がるという不思議な現象が起こっています。
基準金利引き下げ直後は、これらの金利適用時期に時差が生じるため、と説明されていましたが、1ヵ月経っても相変わらずです。
ファイナンシャルニュースの記事からです。
韓銀の金利引き下げで5大都市銀行の預金金利がすべて引き下げられた、貸出金利はなぜ上がるのか
(前略)
13日、金融界によると国民銀行はこの日から据え置き式預金9種、積立式預金13種商品の金利を0.10~0.25%ポイント引き下げた。国民銀行が預金金利を下げたことで5大都市銀行が全て市場金利の下落を反映して預金金利を下げることになった。
先立ってウリ銀行は先月23日「ウリファースト定期積金」(12ヵ月)基本利率を年2.2%から2.0%に0.2%p引き下げ、農協銀行も主要預金商品を0.25~0.55%p引き下げた経緯がある。ハナ銀行は1日から給与ハナ月複利積金、369定期預金など11種に対する基本金利を0.05%~0.25%p下げ、新韓銀行も8日から据え置き式預金14種、積立式預金16種商品の金利を0.05~0.3%p引き下げた状態だ。
このように5大市中銀行が預金金利は市場金利台に下がったが、貸出金利は引き上げており、手軽な「利子商売」に対する批判も提起されている。銀行連合会の公示によると、5大都市銀行の9月の新規取り扱い額基準の家計預貸金利差(政策庶民金融を除く)は平均0.734%pで、8月の0.570%pより0.164%p広がり、2ヵ月連続上昇している。
しかし銀行圏の貸出金利は依然として高い水準にとどまっている。特に、金融当局が今年銀行の年明けの家計貸出目標値に合わせることを再度明らかにし、今年中に貸出金利の下落は期待しにくい状況だ。この日基準で5大都市銀行の住宅担保貸出固定型金利(5年物)は年3.733~6.10%と集計された。韓国銀行が基準金利を引き下げた先月11日、年3.71~6.11%と似た水準を維持している。
(中略)
住宅担保貸出固定金利基準である金融債5年物金利は11日3.253%を記録した。1ヵ月前(3.304%)と比較すると、0.051%p引き下げられたが、固定型住宅ローン金利は下がらず、貸出者が金利引き下げ効果を体感できずにいる。
(後略)
ファイナンシャルニュース「한은 금리 인하에 5대 시중은행 예금금리 다 내렸다, 대출금리는 왜 오를까(韓銀の金利引き下げで5大都市銀行の預金金利がすべて引き下げられた、貸出金利はなぜ上がるのか)」より一部抜粋
貸出金利が下がらないことを「手軽な『利子商売』に対する批判も提起」としていますが、具体的にどこからそういった批判が出ているのかハッキリしません。これは世間の声としてそういった批判があるというより、記事の趣旨(あるいは記者の視点)として書かれたものという気がします。
しかし、貸出金利が下げられない理由は明白です。記事でもちゃんと書かれています。「家計貸出目標値」があるからです。
これは家計貸出をこの数値「以内」に収めるための目標値です。超えるとその金融機関は当局からペナルティを受けます。
今年はDSR規制強化前の駆け込み需要で目標値超過が懸念されているのでこれ以上貸し出し規模を増やしたくないのが本音でしょう。そのため、条件を悪くして利用者を遠ざけているんですね。
ただ、DSR規制強化前は需要の冷え込みを心配して逆に貸出金利を引き下げたりしていましたから、金融機関の対応もかなり行き当たりばったり感があります。
振り回される利用者は気の毒というか...まあ、銀行もユン政権の政策に振り回されてる側ですけれども。