不動産PF手数料を削減させる話

不動産PF(プロジェクト・ファイナンス)リスク問題が持ち上がって少し経った頃、建設業界が金融監督院に「金融会社の手数料が高すぎるんです」と泣きついたことがありました。
金融監督院はその後調査してたみたいですが、方針が決まったみたいです。
もちろん、建設業界の肩を持って手数料を削減にかかります。

 



デジタルタイムズの記事からです。

金監院、不動産PF手数料は正当な用役にだけ…「べたべた手数料」慣行を防ぐ


(前略)

金融監督院は18日、ソウル中区の銀行会館で金融界、建設業界が共に参加する「不動産PF手数料制度改善懇談会」を開催した。

この席で8ヶ金融協会と4ヶ建設関連団体、外部専門家などで構成された「不動産PF手数料T/F」が5月から用意した制度改善方向を説明し業界意見を聞いた。

金融監督院は現在、PF手数料が用役遂行対価以外の信用危険負担対価、開発利益共有目的などが混在していると指摘した。

これを改善するために手数料賦課対象を用役遂行代価に限定し、信用危険上昇分は貸出金利に、開発利益共有目的は開発事業に対する持分投資参加に代替するようにした。

別途用役提供がない手数料は廃止し、満期延長時に用役提供なしに繰り返し受け取る斡旋・諮問手数料などの賦課を制限した。

手数料は類型別に標準化した。現在32個に達する手数料項目を11個に統合・単純化する。約定変更や冊準延長、約定関連手数料は約定変更手数料に、事業性検討や諮問手数料は諮問手数料一つに統合した。

(中略)

建設業界はこれまで特に類似手数料の統廃合、手数料の賦課対象の明確化、手数料情報提供の拡大などを要求した。

金融界も制度改善の趣旨に共感し、今後、借主に対する用役遂行関連情報を忠実に提供し、PF手数料関連全般的な内部統制を強化すると明らかにした。 今回の制度改善案は、業界の意見収集を経た後、来月中に最終確定される。 各金融圏別の模範規準制定など、全体金融圏を対象に来年1月に施行する計画だ。 金融監督院のイ・セフン首席副院長は「制度改善時、建設業界は事業費の重要部分を占める金融費用の予測可能性が高まり、事業を円滑に進行するのに役立つだろう」とし「金融界も運営リスクが軽減される効果があると期待している」と話した。



デジタルタイムズ「금감원, 부동산PF 수수료는 정당한 용역에만…'덕지덕지 수수료' 관행 막는다(金監院、不動産PF手数料は正当な用役にだけ…「べたべた手数料」慣行を防ぐ)」より一部抜粋

この前の土地所有者に土地を「出資させる」場合もそうですが、こうすれば見かけ上の自己資本比率は上がるでしょう。
でもそれはあくまで数字(%率)上の話で、金額ベースで見ると建設業者が投入する自己資本額は変わらないのではないでしょうか?
事業性評価があがるわけでもリスクが下がるわけでもないので(不渡りリスクは下がるでしょうが)、自己資本比率20%以上になるように数字をこねくり回しているように思えてなりません。

韓国では金融業に対する見方が厳しいというか...「悪」のような見方をします。
経済関連のニュースで銀行の四半期利益が報道されたりすると、庶民が高金利に苦しんでいるのに銀行は歴代最高益との報道が目につきます。まるで「人に金を貸して手数料で儲けようなんてけしからん」というように。

恐らく、そうした考えが前提になるのだと思いますが、土地代を土地所有者に出資させて0に抑えて、それ以外は金融業者が「手数料」という名の利益を削ることで建設業者の自己資本比率を20%水準に高めるつもりなのでしょう。
実際にこの「手数料」がどこまで不当なものなのかは分かりませんけれど、結局どっちも韓国企業ですから、それなりにボッタくってる可能性も高そうです。
韓国の不動産PFの低すぎる自己資本比率が手数料の多さ(32項目)のせいである可能性もありますし、多分、金融監督院はそうだと考えているのだと思います。