契約者貸出が4年で8兆ウォン急増という話

あっちもこっちも借金まみれの韓国ですが、契約者貸出制度による貸出も4年で8兆ウォン程度増えていることが分かりました。

契約者貸出制度とは、生命保険契約者が保険を解約した場合に支払われる払戻金の一部(以下に紹介する記事の場合、最大95%となっている)を一時的に借りられる制度です。
日本では「保険契約貸出し」や「契約者貸付制度」と呼ぶのが一般的だと思いますが、韓国では「約款貸出し」と言うようです。

4年で62兆9000億ウォンから70兆7000億ウォンと、約8兆ウォンの増加ですが、同期間、住宅ローンが5兆2000億ウォン、信用融資が1兆ウォンの増加だったことを考えると急増と言って良いかと。
約款貸出しは銀行ローンと違って審査も無く、DSR規制にも縛られないため銀行圏で融資を受けられない人たちが多く流れてきたものと思われます。

 



ソウル経済の記事からです。

お金を借りる場所のない庶民が急増...「急な入用窓口」約款貸出が4年間で8兆ウォン増える


(前略)

22日、金融監督院(金監院)によると、今年9月末、保険会社の貸出債権残高は266兆9000億ウォンで前四半期末比5000億ウォン増えた。企業向け融資の残高は132兆4000億ウォンで前期末比3000億ウォン減少したが、家計向け融資の残高は134兆4000億ウォンと8000億ウォン増え全体的に増加した。実際、今年上半期に比べて約款貸出は5000億ウォン、住宅担保貸出は4000億ウォン増え、家計貸出の増加傾向を牽引した。

特に、急な借入の約款貸出の増加傾向が尋常ではない。COVID-19パンデミックが始まった2020年9月に62兆9000億ウォンだった約款貸出残高は今年9月に70兆7000億ウォンで7兆8000億ウォンも増えた。同期間、住宅ローンと信用融資の残高がそれぞれ5兆2000億ウォン、1兆ウォンずつ増加したことに比べれば大幅に増えた数値だ。

約款貸出は保険契約解約時に受け取る解約返戻金の最大95%を貸す商品で、通常数百万ウォン水準の貸出を出してくれる。銀行圏貸出に比べて別途審査なしに早く貸出を受けることができるうえに、総負債元利金償還比率(DSR)規制でも自由で庶民が最後に訪れる「急な窓口」に挙げられる。景気が良くない時に市中銀行から貸出を受けにくい中・低信用者が主に訪れるために代表的な「不況型貸出」と呼ばれることもある。しかし、返済できない場合、保険金を踏み倒されることもありうる。

約款貸出残高が急速に増加しているのは新型コロナウイルス感染症以後に襲った景気低迷の長期化の余波のためだ。金融界のある関係者は「COVID-19以後、高金利・高物価現象が持続し、これ以上お金を借りるところがない庶民が集まったと見られる」として「最近の増加傾向は金融当局の銀行貸出の締め付けにともなう『風船効果』もあるだろう」と分析した。

保険会社の貸出債権の延滞率にも警告灯が入っている。今年9月末基準の保険会社の貸出全体の延滞率は0.62%で、前年同期比0.15%ポイント上昇した。家計貸出延滞率は前年同期比0.20%ポイント上がった0.68%を記録した。信用貸出など住宅担保貸出の延滞率が1.97%で、同期間になんと0.81%ポイント急騰した影響が大きかった。住宅ローンの延滞率(0.37%)は0.06%ポイントの増加に止まった。

不動産プロジェクト・ファイナンス(PF)の焦げ付き問題の影響で、中小企業向け融資の延滞率は1%近い水準まで跳ね上がった。全体企業貸出延滞率は今年9月末0.59%で前年同期対比0.13%上昇したが、これは中小企業貸出延滞率が0.89%で同期間0.28%も跳ね上がった影響が大きい。大企業貸出の場合、昨年末以降延滞がない状況であるためだ。 金融界関係者は「保険会社の中小企業貸出の相当部分はPF関連貸出」とし「PF不良余波が依然として持続し延滞率が増加していると分析される」と話した。



ソウル経済「돈 빌릴곳 없는 서민들 급증···'급전 창구' 약관대출 4년간 8조 불어나(お金を借りる場所のない庶民が急増...「急な入用窓口」約款貸出が4年間で8兆ウォン増える)」より一部抜粋