経済関連で先行きの暗い話題が増えました。さすがに韓国メディアも既に韓国経済が「低成長」入り間近(私はすでに入っていると思いますが)であることを否定できなくなっています。
この週明けからは韓国と中国とのシェア比較記事が一気に増えた気がします。
特にバッテリーとメモリ半導体を比べているものが多かったのですが、以下で紹介する記事はより大きな枠組みで調査されています。
朝鮮日報が韓国経済人協会と共同で過去10年間の輸出市場シェアを分析したところ、韓国が「8大核心産業」と位置付ける半導体、造船、鉄鋼、自動車、無線通信機器、石油化学、二次電池、ディスプレイ…このうち7つまでが既に中国に「押された」状態であることが分かったとのこと。
朝鮮日報の記事からです。
8大核心産業、7つは中国に押された... 「中国ブラックホール」に陥った成長エンジン
(前略)
1日、本紙が韓国経済人協会(韓経協)と共同でこの10年間、韓中8大主力産業の世界輸出市場占有率を分析した結果でも、すでに「中国ブラックホール」の影響圏に入った韓国経済の現在地が如実にあらわれた。韓国はこの10年間、半導体、造船、鉄鋼など7部門で中国に輸出シェアを追い越されたり首位の中国との格差に追いつけないほど大きく広がった。唯一、石油化学だけで1%ポイント水準の首位を辛うじて守った。
国家3大先端戦略産業である半導体・ディスプレイ・二次電池は2013年には中国の世界市場輸出占有率が韓国の2倍水準だったが、10年間でこの格差は少なくは3倍から多くは8倍水準まで大きく広がった。中国の早い輸出シェアの成長だけでなく、韓国が後退した結果のためだった。
造船・鉄鋼・自動車・石油化学など韓国経済を支えてきた主力産業群も一斉に不振を見せた。韓国が優位だった船舶と自動車輸出は10年間で中国に追い越され、中国の低価格(安売り)攻勢に苦しんでいる鉄鋼は、中国とのシェア格差が10%以上広がり、生存の危機に直面している。
(中略)
財界関係者は「中国は米国との葛藤で相当な貿易制裁を受けているにもかかわらず、韓国の主力産業が中国の前に相次いで競争力を失っている局面」と話した。
「64の核心技術のうち57の中国が1位、米国は7の技術だけで1位」(豪州戦略政策研究所)、「中国、米国の制裁の中で『製造2025』目標86%以上達成」(香港サウスチャイナモーニングポスト)、「韓中産業技術格差0.3年」(韓国産業技術企画評価院)...
今年に入って国内外の研究所と外信が出した中国関連報告書の主要内容だ。韓国は「中国が足元まで追撃した」という表現をよく使うが、すでに「追撃」ではなく「追越」が適しているという証拠があふれ出ているのだ。
(中略)
最近、韓国銀行が来年1.9%、2026年1.8%の低い経済成長率を予測した理由もこれに基づいている。 もしこの展望が現実化すれば、ユン・ソンニョル政府5年間の年平均成長率は1.98%で歴代政府初めて2%以下に落ちることになる。
(中略)
このように成長の勢いが弱まる理由は、人口構造の高齢化の中で輸出大企業中心の経済構造が限界に達したためだという分析が出ている。韓国経済研究院のイ・サンホ経済産業本部長は「輸出と製造業中心の成長動力が大きく弱まった中で新しい成長動力を見つけられなかった結果」と話した。韓国の核心輸出産業である自動車と造船でもこのような現象が目立つ。自動車産業の未来の戦場である電気自動車市場は、すでに米国テスラと中国のBYDに二分されている中、中国の新生電気自動車メーカーも急速に頭角を現している。スマートフォンメーカーとして有名なファーウェイは、今年上半期の自動車事業で約4300億ウォンの初黒字を出し、シャオミも初の電気自動車「SU7」を生産してから8カ月後の先月、10万台の生産を達成した。
(中略)
高付加価値の「エコ船舶」競争でも中国が韓国の競争力を越えるのは時間の問題だという評価が出ている。9月、世界5位の海運会社ハーパークロイトが発注した5兆ウォン規模のコンテナ船24隻受注戦で、中国最大の民営造船所である揚子江造船とニュータイムズ造船が韓国企業を抜いて契約を獲得したのが代表的だ。
(中略)
中国は果敢かつ愚直な投資で先端産業を育てている。中国は昨年、半導体やディスプレーなど自国の代表企業にそれぞれ2億7000万ドル(約3770億ウォン)と4億2000万ドル(約5865億ウォン)の補助金をつぎ込んだ。二次電池の代表企業であるCATLも韓国ウォンで1兆ウォンを超える補助金を受けた。同期間、国内代表企業が受領した政府補助金は0ウォンだった。
これは中国企業の研究開発(R&D)の力量と直結している。最近の韓経協の分析によると、昨年の中国先端企業のR&D投資(2050億8000万ドル)は韓国先端企業(510億4000万ドル)の4倍に達した。2013年から10年間、韓国は年平均R&D増加率が5.7%だったが、中国は年平均18.2%で3倍以上だった。その結果、韓国と中国の産業技術の格差は、過去10年間(2013~2023年)の1.1年から0.3年へと急激に縮まった。
朝鮮日報「8대 핵심산업, 7개는 중국에 밀렸다... ‘中 블랙홀’에 빠진 성장엔진(8大核心産業、7つは中国に押された... 「中国ブラックホール」に陥った成長エンジン)」より一部抜粋
結局最後は「お金」の話です。国が補助金さえ出していれば今の状況は無かったとでも言うのでしょうか?そこは残念。
記事内で専門家が指摘しているように「輸出大企業中心の経済構造が限界に達した」のであれば、補助金だけで解決できる問題とも思えませんが。
また、サラっと書かれていますが、米中対立で色々と規制の対象となっているのは中国のはずなのに、その中国はシェアを伸ばしていて韓国が追い詰められている状況というのは、もっと突き詰めて考えてみる価値がある部分のように思います。