韓国では今、与党も野党も時間との戦いをしています。ユンさんに弾劾判決が出るのが先か、それともイ・ジェミョンさんに有罪判決が出るのが先か、という非常に下らない ...後ろ向きな戦いです。
イ・ジェミョンさんへは、裁判関連書類を「故意に」受け取らずに裁判遅延を図っているのではないか、との指摘が出ています。その間にユンさんへの弾劾判決が出て大統領選が行われれば、イ・ジェミョンさんの逃げ切りになります。
一方、ユンさんの側ですが、現在、憲法裁判所裁判官(定員9名)は6名しかおらず定員割れをしています。急ぎ残りの裁判官の任命を進めようとしているのですが、ハン・ドクス大統領権限代行に「果たして任命権があるのか?」が問題となってきました。法律家の間でも見解が分かれているそうです。
このままだと裁判官6名による審理となりますが「審理は出来ても宣告は出来ないかもしれない」とのこと。
どちらにせよ、ハン・ドクスさんが任命するやしないやでチンタラすれば時間が稼げることになります。
ソウル新聞の記事からです。
ブレーキかかった「韓国代行憲法裁判官任命」...憲法裁「6人体制」は正当性をめぐる論争
国民の力のクォン・ソンドン院内代表が17日、「ハン・ドクス大統領権限代行兼首相の憲法裁判官任命は不可能だ」と明らかにし、空席の裁判官3人の任命が迷宮入りした様子だ。憲法裁判所が直ちに「ハン代行の裁判官任命が可能だ」と反論したが、法曹界でも意見が食い違うなど混乱が加速している。
(中略)
イ・ジン憲法裁公報官はこの日、ハン代行が憲法裁判官を任命できないというクォン院内代表の発言に対して「以前にもファン・ギョアン権限代行が任命した事例があると理解している」と明らかにした。ただしファン前代行は2017年3月10日憲法裁で「パク・クネ前大統領の弾劾が確定した後」同月29日にイ・ソンエ裁判官を任命したので事案が違うという解釈が出ている。ファン元代行は「パク元大統領弾劾が確定する前」である2017年1月31日にもパク・ハンチョル当時憲法裁判所長が退任し空席が発生したが後任を任命しなかったためだ。
ハン代行の裁判官任命が権限代行の職務範囲に属するかどうかをめぐっては法曹界の意見が食い違っている。建国大法学専門大学院のスン・イド教授は「大統領権限代行の職務範囲に対してどの憲法機関も有権解釈を下したことがない」として「結局、ハン代行が判断する問題」と話した。
ハン代行が裁判官を任命せず憲法裁の「6人体制」が持続する場合、ユン大統領弾劾審判宣告が難しいという分析も出ている。憲法裁法は「弾劾を決定する場合、裁判官6人以上の賛成がなければならない」と規定する。6人体制でも議決定足数を満たすことができ、理論的に審理はもちろん決定も可能だが「大統領罷免」という重大性を勘案すれば今後正当性問題が起こりうる。憲法裁も同日、「(6人体制で)判決が可能かどうかは裁判所で決める」と判断を留保した。
(中略)
一方、憲法裁が16日、ユン大統領に国会の弾劾訴追議決書などの書類を送ったが、ユン大統領側は17日まで受領していないことが確認された。憲法裁が人づてと一日特送郵便、電子文書システムなど3つの方式で送達を試みたので、当日受信がなされたとすればユン大統領側は23日までに答弁書を提出しなければならない。このように送達が延ばされ、答弁書の提出期限も遅れている。
ソウル新聞「제동 걸린 ‘韓 대행 헌법재판관 임명’… 헌재 ‘6인 체제’는 정당성 논란(ブレーキかかった「韓国代行憲法裁判官任命」...憲法裁「6人体制」は正当性をめぐる論争)」より一部抜粋
ユンさんも受取引き延ばししてるようですね...。
ところで、記事の中で出て来る前例は、パク・クネさんの弾劾が憲法裁判所で確定後に権限代行が任命したというものです。大統領が弾劾されたので復権することはあり得ず、裁判官任命が行えないことが確定したタイミングです。弾劾確定前のものではありません。
この差は大きいです。状況が異なるため前例と見なせないということです。
そういえば、取り上げてませんでしたがハン・ドンフンさんが国民の力代表を辞任しました。新しい代表はクォン・ソンドンさんというらしですね。
ハン・ドンフンさんはユンさんの2回目の弾劾案で賛成に回っています。 そのため党内部の親ユン派から相当反感を買ったようです。辞任会見で「正常な代表職務遂行が不可能になった」といったようなことを述べています。