6年間の所得変化を追跡調査した結果…「階層間移動ハシゴが切れた」という話

韓国の統計庁が2017~2022年の6年間の所得層(五分位層)移動をまとめた報告書を公表しました。
これによると、所得上位20%に入った10人のうち6人は高所得状態を維持し、逆に所得下位20%に入ると10人中3人は低所得層に止まり続けることになるそうです。追跡分析なので同じサンプルに対する長期調査となり、今回初めて行われたとのこと。

一度高所得層になると簡単に下がらず、一度低所得層になると抜け出せないという話ですから、当たり前っちゃ当たり前のことです。コロコロ入れ替わっている方が経済的に不安定な社会なのかと思っちゃいます。
しかしハンギョレはこれを階層移動のハシゴが「切れた」と表現し、「低所得層の泥沼」と報じています。

 



ハンギョレの記事からです。

切れた階層移動はしご…10人中3人は「低所得層の泥沼」


(前略)

統計庁が18日発表した「2017~2022年所得移動統計結果」によると、2017年に1分位(所得下位20%)に属した人々の中で2022年まで継続して1分位に留まった比率は31.3%だ。10人中3人は6年間、一度も低所得層を脱することができなかったという話だ。特に積極的な経済活動参加で所得増大の可能性が最も大きい青年層(15~39才)も15.2%は6年間ずっと低所得層に留まっていた。一方、6年間で5分位(所得上位20%)にとどまった割合は63.1%を記録した。「階層移動はしご」が切れたという社会的認識が統計数値を通じて確認されたわけだ。

今回の統計は統計庁が保有した人口・世帯情報と国税庁の課税情報(勤労所得・事業所得)を合わせて、約1100万人の2017~2022年所得変化を追跡分析した結果だ。

(中略)

今回の調査で、韓国社会の両極化が固まった姿も捉えられた。2021年と比較して2022年の各所得分位維持比率を見れば、高所得層である5分位維持比率が86.0%で最も高かった。2021年5分位に属した10人中9人が翌年にもその場を維持したという話だ。続いて1分位維持比率は69.1%で2番目に高かった。調査期間を2017~2022年に広げても5分位維持比率は毎年85~86%を、1分位維持比率は68~69%を維持した。一度高所得層になると簡単に下がらず、一度低所得層になると抜け出せないという意味だ。

これに比べ2分位(下位20~40%)は2022年所得分位維持比率は49.9%で半分に及ばなかった。2分位階層から1分位または3分位など他の所得階層に移動する障壁が最も低かった。具体的に2021年に2分位階層に留まった内の21.3%は1分位に下落し、20.7%は3分位に上昇した。また、2段階進んで4分位に移動した人も7.1%だった。所得階層の中央に位置する3分位も所得分位維持比率が54.7%で低い方だった。

(中略)

統計開発院のチェ・バウル経済社会統計研究室長は「年齢、性別にともなう分位移動特性を調べ、政策需要の優先順位を精巧化できる」とし「同じ1分位でも低所得層をかけて移動する人々と、数年間1分位に留まっている人々に他の方式で政策支援ができる」と話した。



ハンギョレ「끊어진 계층 이동 사다리…10명 중 3명은 ‘저소득층 수렁’(切れた階層移動はしご…10人中3人は「低所得層の泥沼」)」より一部抜粋

個人的には階層間移動がどうこうより、両極化が顕著という方が気になります。

ところで、韓国において階層間移動ハシゴが切れていない時期というのは存在したんでしょうか?
過去には科挙に合格して両班になるという狭き門が唯一のハシゴ(というか、クモの糸?)だったでしょうし、少し前には大学進学がそれに取って代わりました。みんなが大学に行けるように(みんなが両班になれるように?)と大学を増やす政策がとられたため機能しなくなり、今では大学に行っただけでは両班にはなれませんが。
最近は財閥企業に入ることが両班になる道でしょうね。