「韓国経済に安定的な旨味がないのはなぜ?」→「貿易依存度が高いから」という話

「韓国経済はなぜ安定しないの?」→「貿易依存度が高いからだよ」「主力輸出品が耐久財中心だからだよ」な記事がありましたので紹介します。
貿易依存度…記事では対外依存度という形で具体的な数字が書かれていますが、2024年6月末基準で90.6%と非常に高いです。
耐久財は購入後、少なくとも6ヵ月以上継続して使用する品目のことで、例えばスマートフォンや自動車、家電など物によっては購入後数年単位で使い続けるもののため、単純に「商品回転」が悪いもの、不景気になると買い控えられるものになります。

 



韓国日報の記事からです。

韓国経済はなぜ安定的な旨味がないのか?


韓国銀行が最近発表した「2024年第3四半期実質国内総生産GDP)」統計は非常に失望した。今年7~9月の韓国経済が前四半期に比べ0.1%成長に止まったためだ。第1四半期は1.3%成長し、好景気に対する期待感を高めたが、第2四半期は0.2%の逆成長(マイナス成長)を記録した後、第3四半期にも意味のある反騰を引き出すことができなかった。

(中略)

輸出と輸入が国内総生産で占める割合、すなわち対外依存度が2024年6月末基準で90.6%に達するほど高いため、内需景気がある程度良くなければ輸出景気変動の衝撃を抜け出すことは難しいわけだ。特に2022年から不動産プロジェクトファイナンス(PF)不良化問題が浮上し、建設投資が持続的に減少するだけに輸出に対する依存度がより一層高まるほかはないようだ。

もちろん、韓国政府が内需不振問題を解決する目的で様々な政策を使ったことを無視しようとする意図はない。ただ、1997年の通貨危機以来27年以上の歳月の間、韓国経済の対外依存度がさらに高まったという現実を認めようという話だ。

(中略)

ところが内需景気の慢性的な不振よりさらに大きな問題は韓国輸出の変動性が非常に大きいという点だ。例えば2021年第2四半期の韓国輸出は前年同期に比べ42.0%増えたが、わずか1年余りが過ぎた2022年第4四半期には10.0%の減少を記録した。

韓国の輸出が急騰落する最も直接的な理由は韓国の主力輸出品目の大半が非常に景気変動の大きい耐久財を中心に構成されているためだ。ここで耐久財とは、一度購入すれば少なくとも6ヵ月以上使用する品目を意味するが、冷蔵庫とテレビ、スマートフォン、そして自動車がここに含まれる。

したがって、2000年の情報通信バブルの崩壊や2008年のグローバル金融危機のように失業者が大幅に増える不況に見舞われた時、新しい自動車やスマートフォンに対する需要は急激に萎縮する。

(中略)

2023年基準で韓国の輸出上位10品目を見ると、自動車(2位)と自動車部品(4位)、そして無線通信機器(10位)を見つけることができる。さらに半導体(1位)とフラットパネルディスプレー(8位)など関連部品まで含めれば、韓国輸出品目の大部分が耐久財と関連を結んでいるわけだ。状況がこうであるため、韓国は米国など先進国の消費がほんの少し減っただけでも大きな打撃を受ける。

(中略)

米国は1970年代にも世界消費市場の30%を占めたが、この割合は2022年にも同様に維持されている。これに対してユーロ地域、すなわちユーロが流通する地域の比重は同じほぼ半分水準に減った。2010年に始まった欧州財政危機、そして2022年のウクライナ戦争が欧州経済に大きな打撃を与えたためだ。しかし、この二つの地域だけでも世界消費市場の半分を占めている。

減ったユーロ地域の分け前を満たしたのが中国だった。1970年、世界消費市場のわずか2.5%に過ぎなかったのが2021年には13.7%まで上昇したためだ。しかし、中国の消費市場は米国やユーロ市場に比べて大きく二つの欠陥を抱えている。

第一の欠陥は開放性だ。2017年、韓国産製品とサービスに向けて下された制裁措置、限韓令がよく示しているように、随時各国の商品を対象に強力な不買運動が断行される。2012年には尖閣列島紛争をきっかけに日本の自動車が怒った群衆によって燃え、2021年には新疆ウイグル自治区産綿花の使用拒否を理由にスウェーデンのファッションブランドH&Mに対する不買運動が始まったのが良い事例になるだろう。

これよりさらに大きな問題はデフレ(景気低迷の中での物価下落)だ。2010年を前後して中国消費市場の占有率が鈍化し始め、さらに2022年に減少傾向に転じたのは深刻性をよく示している。

(中略)

最近、中国政府が金利を引き下げるなど強力な景気浮揚政策を展開しているので、あらかじめ希望を捨てる必要はないと見る。

(中略)

以上の内容を簡単にまとめると以下の通りである。韓国経済は輸出比重があまりにも高いため、経済の安定性が落ちる問題を持っている。特に韓国輸出品目の大部分が耐久財に重点を置いているという点で米国など先進国消費の一時的な変動にも大きな影響を受ける構造を持っている。2010年代半ばまでは中国が新しい消費市場になるという期待が高かったが、限韓令と国内大企業進出を難しくする共同富裕政策などで最も敷居の高い市場になってしまった。したがって、今後も相当な期間、韓国経済は米国など先進国の消費市場の変化に影響を受ける立場から脱することは難しい見通しだ。

直ちに日本中央銀行金利引き上げおよび米国労働市場沈滞恐怖が誘発した今年8月初めの株式市場崩壊事態だけを見ても、対外依存度が高い韓国経済の脆弱性を示している。このような点を勘案して金融市場の参加者たちは国内指標よりは海外指標、特に消費者信頼指数や小売販売のように米国消費の流れを速かに示す経済統計に対する関心を失ってはならないだろう。



韓国日報「한국경제는 왜 안정적인 맛이 없을까?(韓国経済はなぜ安定的な旨味がないのか?)」より一部抜粋

不買運動は韓国でもよく見かけますけどね。

ところで、前半部分はよくまとまっていると思いますし、韓国の現状や経済構造を簡潔に表していると思います。しかし、途中から話が「中国」にスリ変わっているのは何なんでしょうね?

韓国経済の問題の話をしていたのだから、その打開案や今後の方向性について話を進めていくのかと期待したのですが、有力な市場と目していた中国が景気的にも開放性的にもイマイチだったから「これからも先進国の消費市場からの影響を受けざるを得ない」でオシマイというのが残念です。

韓国メディアの記事は現状分析が巧いものもそうでないものも、最後の結論や今後の見通し部分をぶん投げて尻切れトンボで終わる文がほとんどなのが本当に残念。そういうところに毎回「どこか他人事」という印象を受けます。