韓国では個人投資家のことを「アリ」と言います。昆虫の蟻のことです。大口投資家を「クジラ」と呼ぶのは金融業界では一般的ですが、個人を「アリ」と呼ぶのは恐らく韓国だけです。
韓国国内市場に投資する個人投資家を「東学アリ」、米国市場に投資する個人を「西学アリ」、日本市場に投資する個人を「日学アリ」と、アリはアリでも分類分けをします。個人的には、国内にも米市場にも投資しているという人は珍しくないと思うのですが、韓国メディアの論調を見ていると、常に「水と油」のように両者は交わることが無く完全に陣営として成立しているかのような印象を受けます。
それはともかく、そのように陣営分け・分類分けをするからには当然、投資成績が意識されます。
今年1月2日~12月20日までの期間、米国、日本、韓国それぞれの市場に投資した個人投資家の成績表が発表されました。東学アリの結果が振るわなかった(オブラート)のは想像に難くないと思うのですが、多分、結果は想像以上に悪いと思います。
ファイナンシャルニュースの記事からです。
100%の西学アリが笑うとき…-40%の東学アリ血の涙
(前略)
25日、韓国取引所と韓国預託決済院によると、今年1月2日から12月20日までの買い越し上位5銘柄を基準に米国証券市場に投資した「西学アリ」の平均収益率は100.70%と集計された。同期間、ナスダック指数(32.55%)とスタンダード&プアーズ(S&P500)指数(24.49%)の上昇率の3~4倍に達する数値だ。
(中略)
一方、東学アリは悲惨な成績表を受け取った。同期間、東学アリの国内株式買い越し上位5銘柄の平均収益率は-39.78%だ。同期間、コスピ(-9.46%)、コスダック(-22.88%)指数よりも低迷している。
(中略)
不振な収益率に今年、東学アリは国内株式市場を大挙離脱したりもした。今年、東学アリは有価証券市場だけで4兆4349億ウォン分を売りさばいた。同期間、外国人と機関がそれぞれ1兆4149億ウォン、9429億ウォン分を買い入れたのとは対照的だ。
日学アリの今年の平均収益率は33.22%で比較的良好な収益率を記録した。今年1年間、日経225指数の上昇率15.95%の2倍を超える。昨年、ソニーと日本の半導体企業に投資する商品を大量に盛り込んで平均収益率22.29%を達成した日学アリは、今年も2桁の収益率を上げた。
サンサンイン証券のキム・ヨング株式戦略チーム長は「今年全世界の株式市場は米国と米国以外の主要国家間の景気モメンタムが極端に交錯し、証券市場の両極化が現れた」として「グローバルファンドの流れと投資心理が強勢を示した米国にさらに集中した」と評価した。続けて「国内証券市場は経済の支えであり主力輸出品である半導体の危機、下半期にはトランプリスクに戒厳および弾劾政局まで加わり打撃を受けた」として「このような状況が投資家の投資成績表にもそっくり反映された」と診断した。
アイエム証券のイ・サンホン研究員は「今年、米国は技術株の優位を基盤に2年連続で上昇の流れを見せた。日本もバリューアップを基盤に米国と上昇の流れを共にした」とし「反面、韓国は輸出が折れ、対内外的な悪材料まで続き証券市場の不振が続き投資家の成績にも反映された」と付け加えた。
ファイナンシャルニュース「100% 서학개미 웃을때...-40% 동학개미 피눈물 [2024 증시 결산](100%の西学アリが笑うとき…-40%の東学アリ血の涙)」より一部抜粋
ちなみに去年は西学アリは-37%、東学アリは72%だったそうなので状況が逆転しています。そういう意味では、去年も今年も2桁の+成績を出した日本が安定しているという見方が出来ます。
今後、韓国ではさまざまな経済的失速の原因をユン政権に押し付ける流れが加速していきそうですね。