今月10日に韓国の国会で来年度予算案が可決されました。額は673兆3000億ウォンで、当初の政府案677兆4000億ウォンから4兆1000億ウォンも削られています。
もちろん、減ったから節約できて良い、などという単純な話ではありません。予算項目の中には削られては困るものも多々含まれています。
また、今年の国税収入は今年度予算(656兆6000億ウォン)より12兆ウォン近く少なくなると見られます。
財政収支は恐らく100兆ウォン規模で赤字になると予想されており、どう考えても「足りない」のです。
そのため、早々に補正予算案が検討されています。補正予算の財源は国債発行になりますが、予想では30兆ウォン規模の補正予算が組まれるのではないかと見られており、場合によっては1度の補正予算では収まらない可能性も...。
来年度の国債発行額はすでに197兆6000億ウォンが確定していますが、ここにさらに追加の国債発行が乗っかってくることになります。
国債の過剰供給が起こると金利が上がって大変。そこで韓国が期待しているのがWGBIによる外国資金流入です。ウォンドル為替レートの安定も測れて一石二鳥、と期待感が高いことが伺えます。果たして、そんなうまくいくのでしょうか?
朝鮮BIZの記事からです。
来年の補正予算で増える「国債負担」...救援投手となるWGBI
(前略)
28日、政府によると企画財政部は補正予算の編成を念頭に置いてさまざまな案を検討している。チェ・サンモク副総理は最近「民生が難しく対外不確実性が拡大するだけに政府が積極的に対応しなければならない」として、直ちにではなくとも補正予算編成が必要だという意見を表明した経緯がある。韓国銀行のイ・チャンヨン総裁も「現在の予算案は経済成長率を約0.06%下げる影響を及ぼしかねない」として「財政をさらに活用する余地がある」と言及した。
政府は来年上半期に全体予算の75%に当たる431兆ウォンを早期執行する計画だ。だが、早期執行だけでは不足しているという指摘が出ており市場では数十兆ウォン規模の「スーパー補正」の可能性も議論されている。シティリサーチは来年度の韓国政府が第1四半期に約30兆ウォン規模の補正予算を編成するものと予想した。
ユジン投資証券のキム・ジナ研究員は報告書を通じて「今回の補正予算は10兆ウォンをはるかに跳び越えることもありうる」とし「次期政権党の性格により1回で終わらない可能性も排除できない」と分析した。続けて彼は「来年が始まってもいない時点で補正予算が議論されるということは来年の補正予算の時期が普段より早くなることを意味する」として「来年第1四半期後半から第2四半期頃に補正予算が現実化する可能性が高い」と説明した。
債券市場では補正予算の時期と規模に神経を尖らせている。補正予算が国庫債の発行負担をさらに加重させる可能性があるためだ。来年度の国庫債発行規模はすでに197兆6000億ウォンで歴代最大値を記録し、ここに対外信任度向上と外国為替市場安定のための最大20兆ウォン規模のウォン建て外平債発行が追加される予定だ。補正予算財源は相当部分国債発行で充当されるが、すでに歴代最大値水準の国債発行に供給が加わるだけに市場に追加的な負担を与える可能性が高い。
(中略)
このような状況でWGBI編入が国債市場安定の核心変数として注目されている。WGBIは世界3大債券指数の一つで、追従資金規模だけで約3兆ドルに達する。WGBIに編入された韓国国債は来年11月から指数内の比重が反映される予定であり約75兆ウォン規模の外国人資金流入が期待される。
WGBI編入で韓国国債は指数内で約2.22%の比重を占めることになる。これは26の編入国のうち9位と高い水準だ。ゴールドマンサックスによると、WGBI編入によりパッシブファンド資金約500億~600億ドル、アクティブファンド資金約100億ドルが追加流入するものと展望される。
このような資金流入は国債市場の安定だけでなく、財政資金調達費用の節減、グローバル金融市場での信頼度向上など多様な肯定的効果をもたらすものと評価される。
(中略)
一部ではWGBI編入効果が第2四半期以降に本格的に現れる可能性が高いという分析も出ている。NH投資証券のカン·スンウォン研究員は「第2四半期からWGBIと金利引き下げ効果が反映され、市場の恐怖が一部緩和される可能性がある」として「第1四半期の間には空白状態で財政政策が過度に集中する場合、市場に負担を与えかねない」と話した。
彼は続けて「WGBI資金は大部分パッシブファンドを通じて入ってくるので外国為替市場の影響は相対的に少なく受けることができる」として「初期には市場変動性が避けられないので政府が発行日程を慎重に調整する必要がある」と付け加えた。
朝鮮BIZ「내년 추경하면 늘어나는 ‘국채 부담’… 구원투수 될 WGBI(来年の補正予算で増える「国債負担」...救援投手となるWGBI)」より一部抜粋
こういうのを「捕らぬ狸の皮算用」と言います。
というか、WGBI編入で外国資金が入ってくる、だから国債発行を増やしても大丈夫だ、とはならないんですよね。そもそもが韓国の経済規模で600兆ウォン規模の予算が大きすぎるわけなので。
まあ、どうなるか見守りましょう。