ユンさんへの逮捕状執行(1回目)失敗という話

本日の午前に高位公職者捜査処がユンさんへの逮捕状執行のために大統領官邸に立ち入り大統領府警備処に阻まれ断念する事態が発生しました。
私はユンさんの戒厳令は支持しません。しかし、その後の野党の対応や裁判所の恣意的な法解釈は無茶苦茶だと思っているので、とりあえず警備処は立派だったと思います。

当時、現場では警備処長を現行犯逮捕しようとする場面もあったとか。結局は公捜処が一旦手を引く形で収まったようですが。
逮捕状の期限は6日までです。韓国では1日が祝日で、人によっては2日まで休みになります。4日、5日は週末ということで、今日3日は中日です。恐らく、大統領府前に集まった保守層の「人の盾」が薄くなる今日を狙ったんだろうと思います。

与党・国民の力はこの対応を強く批判しています。しかし言っているのは結局「公捜処に内乱罪の捜査権は無い」ということだけで、これで現状を変えられるとは思えません。

 



中央日報の記事からです。

ユン、捜査不応にどうにもできない与党…憲法裁だけを待つ


3日、警察国家捜査本部特別捜査団(特捜団)・高位公職者犯罪捜査処(公捜処)などで構成された共助捜査本部が龍山大統領官邸でユン大統領に逮捕令状の執行を試みたことについて、クォン・ヨンセ非常対策委員長は「非常に不公正で非常に越権的な不当行為」と反発した。クォン委員長はこの日午後、緊急記者会見を行い「今回の事態は一言で言えば公捜処と政治判事の不当取引」としてこのように話した。

令状を発行した裁判所に対しては「判事弾劾感」という主張まで出ている。クォン・ソンドン院内代表は同日午前、院内対策会議で「令状に刑事訴訟法110条と111条の適用を例外とすると明示したが、判事が法の上に立った」とし「司法府は(令状を発行した判事を)職務排除しなければならない」と主張した。この他にも「公捜処が捜査を担当すること自体が問題」というのが与党内の意見だ。

(中略)

与党内では「結局、静かに憲法裁判所の判決だけを待つ局面」という自嘲も出ている。党指導部関係者は「今、ユン大統領がよくやったと言う人がいるか」としながらも「憲法裁判所に渡ったので見守らなければならない」と話した。別の関係者も「大統領が捜査に応じなければ、党にできることは何もない」とし「このようにユン大統領が持ちこたえている状況がむしろ憲法裁に早く結論を下すようにすることもありうる」と話した。パク・スミン院内報道官はこの日の会議直後、記者たちと会い「司法手続きが衝突なしに落ち着いて執行されることを見守っている」として「司法は司法であり、私たちは国政安定に注力する」と言葉を慎んだ。

(後略)



中央日報「尹 수사 불응에 이도 저도 못하는 與…헌재만 바라보며 버틴다(ユン、捜査不応にどうにもできない与党…憲法裁だけが依り代)」より一部抜粋

刑事訴訟法110条と111条の適用例外について補足しておきます。

110条「軍事上の秘密を要求する場所」は責任者の承諾なしには押収・捜索できないと規定されており、111条は公務員が所持・保管する職務上の秘密に関する物は所属公務所や監督官公署の承諾なしには押収できないと規定されています。

これらを「適用例外」とするということは、無制限に押収・捜査出来るということです。それを一判事の判断で行ったのです。法の適用・不適用を判事が決められるということです。メチャクチャです。