一定期間の営業利益で利子を返済できない企業のことを「限界企業」とか「ゾンビ企業」と呼びます。どうやら日本には明確な定義は無さそうですが、韓国にはいくつか定義があります。
メディアや調査機関によって使い分けれれますけれど、よく見かけるのが「1年間の営業利益で利子が返済できない」というものと、その状態が「3年連続で続いている」状態です。下で紹介する記事では「3年連続」の基準が採用されています。
韓国経済人協会が主要五ヵ国(米・日・独・英・仏)と韓国の上場企業を分析し、限界企業の割合を比較したレポートを発表しました。
それによると、限界企業の割合・増加率とも一番多かったのは米国で、次いで韓国が多かったそうです。
ソウル新聞の記事からです。
上場企業5社のうち1社は「限界企業」...増加速度早く8年間で2.7倍
(前略)
韓国経済人協会が6日、韓国と主要5カ国(米国・日本・ドイツ・英国・フランス)の上場企業を分析した結果、韓国の限界企業の割合は昨年第3四半期基準で19.5%(2260社中440社)と集計された。米国(25.0%)に次いで2番目に高く、3~6位にはフランス(19.4%)、ドイツ(18.7%)、英国(13.6%)、日本(4.0%)が占めた。限界企業は利子補償倍率(営業利益/利子費用)が3年連続で「1」を下回る企業をいう。財務構造が不十分で営業利益で利子費用さえ耐えられずにいるという意味だ。
増加幅も米国に次いで2番目だった。韓国の限界企業比重の変化を見ると、2016年7.2%(163ヵ所)から2024年第3四半期19.5%(440ヵ所)へ12.3%ポイント増加し、米国は9.2%(2016年)から25.0%へ15.8%ポイント増加した。韓国経済協力は「韓国の場合、景気不振長期化にともなう販売不振、在庫増加で企業収益性が大きく悪化したことに起因したと見る」と分析した。
(中略)
韓国は当該年度の利子補償倍率が1未満の「一時的限界企業」比重も6ヵ国の中で2番目に高かった。米国(37.3%)が最も高く、韓国(36.4%)、フランス(32.5%)、ドイツ(30.9%)、英国(22.0%)、日本(12.3%)の順だった。
特に中小・中堅企業が多数を占めるコスダックの限界企業比重(23.7%)が大企業が属する有価証券市場(コスピ・10.9%)に比べて高かった。コスピは749社、コスダックは1511社の企業が上場されている。コスピの限界企業比重は2016年から2024年第3四半期まで2.5%増加したが、コスダックは同期間17.1%増加した。中小・中堅企業が景気不振の長期化にともなう打撃をさらに大きく受けたのだ。
(後略)
ソウル新聞「‘상장사 5곳 중 1곳 ‘한계기업’…증가 속도 빨라 8년 새 2.7배(上場企業5社のうち1社は「限界企業」...増加速度早く8年間で2.7倍)」より一部抜粋
延命体質をどうにかしないと、バリューアップなんて無理ですね。
金融委員会はコスピ、コスダックの上場廃止ルールを強化してゾンビ企業を淘汰する改善案を検討しています。(時価総額:コスピ=500億ウォン、コスダック=300億ウォン。売上基準:コスピ=100億ウォン、コスダック=100億ウォン)
これが上手く行けばバリューアップも夢では無いと思うんですけど、そのためには相当な数の死に体同然の企業を蹴り出さないといけなくなります。試算ではコスピで60社、コスダックで130社ほどが足切り対象になるとされています。